●●● 本調子(その1) ●●●
 端唄の転用。「その1」には元唄に比較的近いと思われるものを集めた。

1-1-1 盆踊り唄「本調子」 佐伯市泥谷(下堅田)、蒲江町屋形島(蒲江) <小唄、本調子>
△オイヤ桶屋さん門中で 底つきなき輪を締めしゃんせ
 やっぱり本輪がよいわいな
☆ハイヤハー 船は出て行く帆かけて走る(アリャアリャアリャ)
 茶屋の娘が(合) 出て招く ヤー(合) ヤー(合) 招けど船は寄らばこそ
 思い切れとの風が吹く(イヤマダマダ) ソレソレソレ ホンカイナ(ハー)
☆竹になりたや紫竹の竹に もとは尺八 中は笛
 裏はそもじの筆の軸 思い参らせ候かしこ
☆文はやりたし書く手は持たぬ やるぞ白紙 文と読め
 書いたる文さえ読めないわしが まして白紙なんと読む
☆梅も八重咲く桜も八重に なぜに朝顔 一重咲く
 わしは朝日に憎まれて お日の出ぬ間にちらと咲く
☆ここは色街 廓の茶屋よ のれん引き上げ お軽さん
 由良之助さんわしゃここに 風に吹かれているわいな
☆鷺を烏と見たのが無理か 一羽の鳥さえ鶏と
 雪という字も墨で書く あおいの花も赤く咲く

1-1-2 盆踊り唄「ほんかいな」 佐伯市波越(下堅田) <小唄、本調子>
☆船は出てゆく帆かけて走る(イヤマダマダマダ)
 茶屋の娘が出て招く ヤー(合) ヤー(合) ソイ
 招けど船の(アーヨイトセー) 寄らばこそ
 思い切れとの風が吹く(イヤマダマダ)
 ソーレソレソレ ほんかいな ヤー(合) ヤー(合) ソイ



●●● 本調子(その2) ●●●
 こちらは全体的に陰旋化している。リズムが取りやすく、「その1」にくらべると唄い易い。

2-1-1 盆踊り唄「無理かいな」 佐伯市波越(下堅田) <小唄、本調子>
☆江戸に姉さん大阪に妹(合) 母は京都の(合) 島原に
 花じゃなけれども散り散りに 開けて悔しい玉手箱 思うてみさんせ無理かいな

2-1-2 盆踊り唄「花笠」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、本調子、女踊り>
☆菊も八重咲く桜も八重に(合) なぜに朝顔(ヨイトセ) 一重と咲く
 わしは一重に咲きかねて お日の出ぬ間にちらと咲く
 思うてみさんせ無理かいな ソレ
☆鷺を烏と見たのが無理か 一羽の鳥さえ鶏と
 雪という字も墨で書く あおいの花も赤く咲く 思うてみさんせ無理かいな
☆会いた見たさは飛び立つごとく かごの鳥かや ままならぬ
 かごの鳥ではなけれども 親が許さぬかごの鳥 思うてみさんせ無理かいな
☆竹になりたや紫竹の竹に もとは尺八 中は笛
 裏はそもじの筆の軸 思い参らせ候かしこ 思うてみさんせ無理かいな
☆文はやりたし書く手は持たぬ やるぞ白紙 文と読め
 書いたる文さえ読めないわしが まして白紙なんと読む 思うてみさんせ無理かいな
☆江戸にあねさん大阪に妹 母は京都の島原へ
 花じゃなけれど散り散りと 開けて悔しき玉手箱 思うてみさんせ無理かいな



●●● 本調子(その3) ●●●
 これのみ毛色が異なるが、元は「その1」「その2」と同じ仲間かと思われる。ものものしい雰囲気の節。

3-1-1 盆踊り唄「花扇」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、本調子、女踊り>
☆三五の月の乱れ髪(合) 兼ねて逢いたさ 見たさをば
 その日の契りカネつけて ソリャ(合) ソリャ(合)
 末はお前に任せる身じゃぞえ
☆熊谷次郎真実は 須磨の浦にて敦盛を
 打ちて無情を悟りしが 末は蓮浄法師となる身じゃぞえ
☆千鳥も今はこの里に いとし可愛いの源太さん
 鎧代わりに三百両 辛や無間の鐘つく身じゃぞえ
☆手樽の山に差し向い 茶碗引き寄せ二つ三つ
 たがやき水の香りぞや 顔に紅葉がちりちりぱっとえ
☆軒端を伝う鶯の いとし恋しに来たものに
 もとの古巣に帰れとは あまりつれなや情けないぞえ



●●● わが恋 ●●●
 端唄の転用だが、元唄から離れて陽旋化している。

1-1—1 盆踊り唄「わが恋」 佐伯市府坂(下堅田) <小唄、本調子>
☆わが恋は(合) 細谷川の 丸木橋(合)
 渡るに怖し渡らねば(合) 可愛いトイチの手が切れる(ソレ)
☆わが恋は 住吉浦の 景色にて
 ただ青々と松ばかり まつはよいもの辛いもの
☆出てみれば 蝶が牡丹で 羽を休め
 猫めは日向で昼寝する 寝ては夢見る心地かな
☆初花が 夫の勝五郎 介抱して
 箱根の山を引く車 さても貞女な操かな
☆美津姫が 主を殺した 天罰に
 報いは親にこの通り 槍の穂先に手をかけて
☆奥山の 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
 声聞く度に慕い来る 逢うてどうしょうこうしよう

1-2-1 盆踊り唄「わが恋」 佐伯市竹角・波越(下堅田) <小唄、本調子>
☆わが恋は(合) 住吉浦の(ヤレソレヤレ) 夕景色(合)
 ただ青々と待つばかり(合) 待つは憂いもの辛いもの
☆わが恋は 細谷川の 丸木橋
 渡るに怖き渡らねば 可愛いトイチの手が切れる
☆奥山の 紅葉踏み分け 鳴く鹿の
 声聞く度に慕い来る 逢うてどうしょうこうしょうと
☆初花が 夫の勝五郎 介抱して
 箱根の山を引く車 さても貞女な操かな



●●● よしよし節 ●●●
 古い流行小唄の転用。元唄とほとんど変わらないが、陽旋化している。

1-1-1 盆踊り唄「十二梯子」 佐伯市波越(下堅田) <小唄、本調子>
☆十二梯子の二階より(ヤレソレヤレ) 上からお軽さんがのんのべ鏡
 下じゃ由良之助文を読む ささ 縁の下 九太夫がな ヨシヨシ
☆塩冶判官高貞が 白木の三方に腹切刀
 力弥 由良之助まだ来ぬか ささ 只今参上でな
☆鶴岡なる紫宸殿に 数多の兜のある中で
 これが高貞さんの兜じゃと ささ 顔世が目利きでな


●●● お竹さん ●●●
 古い流行小唄の転用。

1-1-1 盆踊り唄「お竹さん」 佐伯市波越(下堅田) <小唄、二上り>
☆黒い羽織に三つ紋つけてナー してこりゃ男がどうしゃんす
 しゃならしゃならでストトントン アンゲラモンゲラ アンゲラモンゲラ
 しゃならしゃならとストトントン  小藪の陰からもうしもうしと
 お竹さんかいな アイナ アイナ アーンコアイナ
☆黒い羽織に三つ紋つけて してこりゃ男がどうしゃんす
 しゃならしゃならで しゃならしゃならと
 障子の陰からもうしもうしと お竹さんかいな
☆嘘じゃござんせんほんとの女郎衆 してこりゃ男がどうしゃんす
 しゃならしゃならで しゃならしゃならと
 柳の木陰でもうしもうしと お竹さんかいな

1-2-1 盆踊り唄「お竹さん」 佐伯市石打(下堅田) <小唄>
☆嘘じゃござんせんほんとの女郎衆 なんしてなんして 男がなんとするか
 いつも振袖ナンアンアン アンゲラモンゲラ モンゲラアンゲラ
 いつも振袖ナンアンアン 柳の木陰でもうしもうしと
 お竹さんかいな アイナ アーンガ アイナ



●●● 小野道風 ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「小野道風」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、本調子、男踊り>
☆小野道風 青柳硯(合) 姥が情けで清書書く
 ソリャ情けで姥がナ 姥が(ヤットセイ) 情けで清書書く
 「イヤそれでもなったらしようがない
 そうじゃわ そうじゃいな ソレ
☆斧九太夫は胴欲者よ 主の逮夜に蛸肴
 逮夜に主の 主の逮夜に蛸肴
 「胴欲者なら仕方がない
 そうじゃわ そうじゃいな
☆早野勘平さんは主人のために 妻のお軽にゃ勤めさす
 お軽にゃ妻の 妻のお軽にゃ勤めさす
 「前世の業なら仕方がない
 そうじゃわ そうじゃいな
☆もののあわれは石堂丸よ 父を尋ねて高山に
 尋ねて父を 父を尋ねて高山に
 「登れど父方 名が知れぬ
 そうじゃわ そうじゃいな
☆ものの不思議やクネンボが生えた 九年待てとのことじゃげな
 待てとの九年 九年待てとのことじゃげな
 「九年待てとのことじゃげな
 そうじゃわ そうじゃいな

1-1-2 盆踊り唄「小野道風」 佐伯市竹角(下堅田) <小唄、本調子>
☆小野道風 青柳硯 姥が情けで清書書く
 ソリャ情けで姥がナ 姥が情けで清書書く
 「それでもなったらしようがない
 そうじゃわ そうじゃわいな

1-2-1 盆踊り唄「小野道風」 佐伯市黒沢(青山) <小唄>
☆小野道風は青柳硯(ヨイ) 姥が情けで清書書く
 情けで姥がナ 姥が(コラセイ) 情けで清書書く
 「それでもなったらしようがない
 そうじゃ そうじゃわいな
☆四反五反の豆の垣ゃなるが 一人娘の垣ゃならぬ
 娘の一人 一人 娘の垣ゃならぬ
 「それでもなったらしようがない
 そうじゃ そうじゃわいな



●●● お夏清十郎 ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「お夏清十郎」 佐伯市宇山・汐月・江頭・津志河内・小島(下堅田)、長谷(上堅田) <小唄、三下り> 
☆お夏どこ行く手に花持ちて わしは清十郎の ヨイヨー
 墓参り(アラソノ ヨイトナー サーヨイトナー)
☆み墓参りて拝もとすれば 涙せきあげ拝まれぬ
☆清十郎二十一お夏は七つ 合わぬ毛抜きを合わしょとすれば
☆合わぬ毛抜きを合わしょとすれば 森の夜鴉 啼き明かす
☆向こう通るは清十郎じゃないか 笠がよく似た菅の笠
☆笠が似たとて清十郎であれば お伊勢参りは皆清十郎

1-2-1 盆踊り唄「お夏清十郎」 佐伯市泥谷(下堅田) <小唄、二下り>
☆お夏どこ行く手に花持ちて わしは清十郎の
 ほんに清十郎の墓参り(アラソノ ヨイヨナー サーヨイヨナー)
☆向こう通るは清十郎じゃないか 笠がよく似た ほんによく似た菅の笠
☆笠が似たとて清十郎であれば お伊勢参りは ほんに参りは皆清十郎
☆み墓参りて拝もとすれば 涙せきあげ ほんにせきあげ拝まれぬ



●●● きりん ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「きりん」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、三下り、女踊り>
☆清十郎二十一お夏が七つ(ヤレーソレーソレ)
 合わぬ毛抜きを合わしょとすれば(アーオーイ) 森の夜鴉鳴き明かす
 ヨイヤサー(アーソーレー ソーレードッコイ ソーレーヤートヤー)
☆天下太平治まる御代に 弓は袋にその矢は壺に 槍は館のお広間に
☆関の女郎衆と将棋の駒は 差しつ差されつ差し戻されつ 金銀なければ不挨拶
☆関の女郎衆と御手洗つつじ 宵につぼみて夜中に開く 朝の嵐に散り散りと



●●● ご繁昌 ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「ご繁昌」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、二上り、男踊り>
☆これな座敷はめでたい座敷 鶴と亀とが舞い遊ぶ(ドッコイ)
 これもお家の福となる おお、ご繁昌エー ソレ(合) トコ(合) ソレ
☆これなお庭に茗荷と蕗よ 茗荷めでたや蕗繁盛 これもお家の福となる
☆これなおうちに二又榎木 榎実ならいで金がなる これもお家の福となる
☆飲めや大黒 唄えや恵比寿 中で酌する宇迦の神 これもお家の福となる
☆年の始めに若水むかえ 長い柄杓で宝汲む これもお家の福となる
☆お前や百までわしゃ九十九まで ともに命のある限り ともに命のある限り
☆智慧の海山 唐高麗の 寄せ物細工 からくりの 夜毎走るが智慧くらべ
☆お前や釣竿わしゃ池の鮒 釣り上げられてお座敷の 酒の肴となるわいな
☆これなお庭に井戸掘りすえて 水はもちろん金が湧く これもお家の福となる

1-1-2 盆踊り唄「智慧のうみやま」 佐伯市波越(下堅田) <小唄、二上り>
☆智慧のうみやま唐高麗の(合) 寄せ物細工カラクリの(アラドッコイ)
 智慧と竹田の知恵くらべ アーそうじゃいな(ソレジャワナ ソレジャワナ)
☆お前や百までわしゃ九十九まで ともに白髪の生えるまで ともに白髪の生えるまで
☆恋し小川の鵜の鳥見やれ 鮎をくわえて瀬をのぼる 鮎をくわえて瀬をのぼる



●●● お染久松 ●●●
 元唄は不明だが「ご繁昌」と似通ったところがあり、同じ流れのものかと思われる。

1-1-1 盆踊り唄「お染」 佐伯市石打(下堅田) <小唄>
☆夕べの風呂の上がり場で(合) この腹帯を(コラセ) 母さんに
 見つけられてこりゃお染 この腹帯は何事ぞ ホホお染さんせ(ハイ)
☆父は高いのを上と言うて 母は低いのを 上と言う
 何のことかと問うたなら 上りかまちのことじゃげな お染さんせ
☆ここは都の大阪で きいつ着物を 角屋敷
 瓦屋橋とや油屋の 一人娘のお染とて お染さんせ
☆夕べお染が寝間にいて といつくどいつ 異見すりゃ
 泣いてばっかりいやしゃんす 泣いてばっかりいるわいな お染さんせ
☆さても優しき蛍虫 昼は草葉に 身を隠し
 夜は細道 灯をとぼす 今の若い衆のためになる お染さんせ



●●● 大阪節 ●●●
 古い流行小唄の転用。

1-1-1 盆踊り唄「大阪節」 佐伯市府坂・竹角(下堅田) <77・75一口>
☆大阪出てからまだ帯ゃとかぬ 帯はとけても気はとかぬ
☆ござれ話しましょ小松の下で 松の葉のよに細やかに
☆松の葉のよな細い気持たず 広い芭蕉葉の気を持ちゃれ

1-2-1 盆踊り唄「芸子」 佐伯市波越(下堅田) <77・75一口、二上り>
☆わしは卑しき芸子はすれど 言うた言葉は変わりゃせぬ
 ヨーイヨーイ ヨーイヨーイヤナー
☆縞の木綿の切り売りゃなろが 芸子切り売りゃそりゃならん
☆わしは今来てまたいつござる 明けて四月の茶摘み頃



●●● ぼんさん忍ぶ ●●●
 流行小唄の転用。上句が「高い山」に近い節であり、旧調の面影をよく残している。

1-1-1 盆踊り唄「ぼんさん忍ぶ」 佐伯市府坂・竹角(下堅田) <小唄、二上り>
☆ぼんさん忍ぶは闇が良い ソーレ月夜には 頭がぶうらりしゃあらりと
 コチャ 頭がぶうらりしゃあらりと
☆お前待ち待ち蚊帳の外 蚊に食われ
 七つの鐘の鳴るまでは 七つの鐘の鳴るまでは
☆お前さんとならばどこまでも 奥山の
 ししかけいいとろの中までも ししかけいいとろの中までも
☆ここは石原 小石原 ちょっと出て
 下駄のはまちゃんとしもうた 下駄のはまちゃんとしもうた

1-1-2 盆踊り唄「ぼんさん忍ぶ」 佐伯市黒沢(青山) <小唄>
☆ぼんさん忍ぶは闇が良い(ソレ) 月夜には 頭がぶうらりしゃあらりと
 コチャ 頭がぶうらりしゃあらりと(ヨイ)
☆ぼんさん袂から文が出た 文じゃない 手習い子供の書き崩し 手習い子供の書き崩し



●●● 伊勢節 ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「伊勢節」 佐伯市泥谷(下堅田) <小唄、二上り>
☆笛の音に寄る秋の鹿(マダセ) 妻ゆえ身をば焦がすなり
 豊年女の山路笛(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)
☆そもそも熊谷直実は 花の盛りの敦盛を 打って無情を悟りしが
☆打って無情を悟りしが さすがに猛き熊谷も ものの哀れを今ぞ知る
☆咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が勇めば花が散る 駒が勇めば花が散る
☆一かけ二かけて三かけて 四かけて五かけて橋かけて 橋の欄干に腰かけて
☆はるか向こうを眺むれば 十七八の小娘が 片手に花持ち線香持ち

1-2-1 盆踊り唄「南無阿大悲」 佐伯市波越(下堅田) <小唄、二上り>
☆南無弥大悲の観世音 導き給えや観世音
 いつよりわれらを流転して(ヨイヤサテナー ヨイヤサテナー)
☆むつの巷にさまよえる 大師は娑婆に流転して あらゆる苦患にさまよえる
☆今年は豊年万作じゃ 道の小草に米がなる 道の小草に米がなる



●●● 茶屋暖簾 ●●●
 端唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「茶屋暖簾」 佐伯市柏江(下堅田) <小唄、三下り>
☆茶屋の暖簾なイロハニホヘト(合) 嫁や娘を皆うち連れて
 ぴらしゃらしゃんすに見惚れつつ 思わずまがきに抱きついて
 おお そそうな人さんじゃ
☆宇治は茶所 茶は縁所 同者同行 皆引き連れて
 摘み取らしゃんすに見とれつつ 思わず茶の木に抱きついて
 おお そそうなことぞいの
☆松は唐崎 矢走の帰帆 月は石山 三井寺の鐘
 堅田の落雁 瀬田の橋 比良の暮雪に粟津路や
 おお 見事なものぞいな
☆間の山ではお杉とお玉 お杉お玉の弾く三味線は
 縞さん紺さん浅葱さん そこらあたりにござんせん
 おお 見事なことぞいの
☆可愛い勝五郎 車に乗せて 引けよ初花箱根の山に
 紅葉のあるのに雪が降る さぞや寒かったでござんしょう
 おお 辛気なことぞいの
☆園部左エ門清水寺に 太刀を納めてその帰るさに
 薄雪姫に見とれつつ 思わずまがきに抱きついて
 おお そそうなことぞいの
☆可愛い川辺に出る蛍虫 露に焦がれて身を燃やすなり
 我が身は蛍にあらねども 君ゆえ身をば燃やすなり
 おお 辛気なことぞいの
☆恋し恋しと鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を燃やすなり
 我が身は蛍じゃなけれども 君ゆえ身をば燃やすなり
 おお 辛気なことぞいな
☆可愛い可愛いと鳴く鹿よりも 鳴かぬ蛍が身を燃やすなり
 我が身は蛍にあらねども 君ゆえ身をば燃やすなり
 おお 辛気なことぞいの


●●● 淀の川瀬 ●●●
 端唄の転用。一般に知られている「淀の川瀬」とは別の唄。

1-1-1- 盆踊り唄「淀の川瀬」 佐伯市波越・石打・府坂・竹角(下堅田)、蒲江町屋形島(蒲江) <小唄、本調子>
(段前)
☆淀の川瀬の水車(合) 誰を待つやらくるくると(合)
 水を汲めとの判じ物 汲むは浮世のならいぞや
 ありゃあれ そりゃそれ 柄杓さんをまねく ヨーイ ヨーイ ヨーイヤーナー
☆一字千金二千金 三千世界の宝ぞや 教える人に 習う字の
 中にまじわる菅秀才 武部源蔵夫婦の者が
☆ここを尋ねて来る人は 加古川本蔵行国が 女房戸無瀬の 親子連れ
 道の案内の乗り物を かたえに控えただ親子連れ
☆かたえに直れば女房も 押しては言わぬもつれ髪 鬢の解れを なぜつける
 櫛の胸より主の胸 映してみたや鏡たて
☆映せば映る顔と顔 引けよ鈴虫それぞとは かねて松虫 ひなぎぬも
 手燭携え庭に下り 母様お越し召されたか



●●● おいち後家女 ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「お市後家女」 佐伯市西野(下堅田) <77・75一口、二上り、男踊り>
☆お市後家女にナー サー(ヤレサーコレサー) 三年通うたヨ(合)
 通うた ソージャロカイ コラかどめに子ができた おいち後家女
 ヤレコノ うんと抱えた ソレ(合) トコ(合)
☆鮎は瀬に棲む 鳥ゃ木にとまる
 人は 情けの下に住む おいち後家女 うんと抱えた
☆あなた百まで わしゃ久十九まで
 ともに 命のあるかぎり おいち後家女 うんと抱えた
☆様は今来て またいつ来やる
 明けて 四月のお茶摘み 頃かいな うんと抱えた
☆茶摘み頃かや わしゃ待ちきらぬ
 せめて 菜の葉の芽立つ頃 おいち後家女 うんと抱えた
☆様は三夜の 三日月様よ
 宵に ちらりと見たばかり おいち後家女 うんと抱えた
☆恋で身を病みゃ 親達ゃ知らず
 薬 飲めとは親心 おいち後家女 うんと抱えた
☆恋に焦がれて 鳴く蝉よりも
 鳴かぬ 蛍が身を焦がす おいち後家女 うんと抱えた



●●● 鍛冶屋の娘 ●●●
 古い流行小唄の転用。

1-1-1 盆踊り唄「対馬」 佐伯市城村(上堅田)、宇山・汐月・江頭・泥谷(下堅田) <77・75一口、二上り>
☆われは ヤーレー 対馬の アーヤーレーサーテーナ 鍛冶屋の娘
 (ハーンーヤーハー ハリワッター ホイ カエガナイ)
☆ここの 座敷は めでたい座敷
☆鶴と 亀とが 舞い遊ぶ
☆竹に 雀が しなよくとまる
☆とめて とまらぬ 色の道



●●● 初春 ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる

1-1-1 盆踊り唄「初春」 佐伯市黒沢(青山) <小唄>
☆明けて初春 初夢に(ヨーイ) 恋という字を帆にあげて お客を(ヨイセ)
 乗せます宝船 ハーヤレ イヤソレ ソレソレ ヨーイヤナー
☆もはや紋日の 如月の 客を待つ夜のその長さ 道理じゃ 今年は午の年



●●● 帆かけ ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「帆かけ」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、三下り、女踊り>
☆沖を走るは丸屋じゃないか 船は(コラセ) 新造でソレ櫓は黄金
 丸に(コラセ) 矢の字の帆が見える サー帆かけて来い も一つ
☆船は出て行く帆かけて走る 茶屋の娘はソレ出て招く
 招けど船の寄らばこそ 帆かけて来い も一つ
☆恋の車にお米をのせて 江戸に送ろか大阪に行こか
 又は浪花の島原に 帆かけて来い も一つ
☆沖の暗いのに白帆が見える あれは紀の国ソレみかん船
 明日はみかんの市が立つ 帆かけて来い も一つ
☆前の山椒の木 三四郎さんと 思うて抱いたらわしゃ目をついた
 どうせ養生せにゃならぬ 帆かけて来い も一つ



●●● チョイトナ ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「チョイトナ」 佐伯市西野)(下堅田) <小唄、二上り、女踊り>
☆天地天野の秋の日の(アレチョイトナー) 刈穂の上の(オイオイ) 群雀
 引くに(オイオイ) 触らぬ鳴子縄 アチョイトナー(ソレーソレーソレ)
☆酒はよいもの色に出て 飲みたや加賀の菊酒を 飲めば心はうきの島
☆父は長良の人柱 鳴かずば雉も撃たれまい 助け給えやほけきょ鳥



●●● いろは ●●●
 古い流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「いろは」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、二上り、女踊り>
☆アリャドッコイ いの字がエ いの字がエ ヤレーサテーナ
 いの字で言わば サイナー いつの(ドッコイ) 頃より
 つい馴れ初めて(ドッコイ) ソーレジャワー ソーレジャワー(合)
 「今は思いの種となる 恋じゃえ ソーリャー
☆ろの字がえ ろの字がえ ろの字で言わば 路地の駒下駄つい踏み鳴らし
 「あとは思いの種となる 恋じゃえ
☆はの字がえ はの字がえ はの字で言わば 羽交揃えて空舞う鳥も
 「吹いて止めます尺八の 音色かな
☆にの字がえ にの字がえ にの字で言わば 憎い男のその立ち振りは
 「思い直して晴れ晴れと 恋じゃえ
☆ほの字がえ ほの字がえ ほの字で言わば 惚れた男のその立ち姿
 「長い羽織に落とし差し 恋じゃえ



●●● 浮名節 ●●●
 古い流行小唄の転用。

1-1-1 盆踊り唄「浮名」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、本調子、女踊り>
☆浮名は立つとも変わるまい 身はただ塵と捨てら 捨てられぬ
 ナンマイダー コラセ ナンマイダーで浮名立つ
 ハレワイサーコノ トチンチン トチンチチンチリ チリツンシャン
 ヤレーサーテー ヤレーサーテー ヤーヤートヤー
☆恋しき人のためじゃとて しきびの花を手向け 手向けつつ
 ナンマイダー ナンマイダーで浮名立つ
☆仏の奥の大黒は 福神ならで貧乏 貧乏神
 ナンマイダー ナンマイダーで浮名立つ



●●● 新茶 ●●●
 古い流行小唄の転用。

1-1-1 盆踊り唄「新茶」 佐伯市西野(下堅田) <小唄、男踊り>
☆新茶点ちょうより 濃茶買うて ちと買うて 茶々とでな
 新茶点ちょうより 濃茶買うて ちと買うて 茶々買うて ションガイー
 アーコノ 買うて ちと買うて 茶々買うてな
☆わしはこの町の すいか ぼうぶら 売りじゃとな
 わしはこの町の すいか ぼうぶら 売りじゃと
 すいか ぼうぶら 売りじゃとな
☆わしは黒沢の おすみ すみつけ 駄賃とり
 わしは黒沢の おすみ すみつけ 駄賃と
 おすみ すみつけ 駄賃とり



●●● 竹に雀 ●●●
 古い流行小唄の転用。

1-1-1 盆踊り唄「竹に雀」 佐伯市石打(下堅田) <77・75一口、二上り>
☆竹に雀がしな良くとまる 止めて止まらぬ色の道
 「サマ 三石六斗で二升八合 サマションガエー
☆お前や加古川本蔵が娘 力弥さんとは二世の縁
 「サマ 三石六斗で二升八合 サマションガエー
☆お前や嫌でもまた好く人が なけりゃ私の身が立たぬ
 「サマ 三石六斗で二升八合 サマションガエー



●●● ヒヤヒヤ節 ●●●
 流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「団七棒踊り」 佐伯市石打(下堅田) <77・75一口>
☆富士の白雪朝日でとける 娘島田は寝てとける(アーヒヤ アーヒヤ)
☆娘島田に蝶々がとまる とまるはずだよ花じゃもの



●●● 様は三夜 ●●●
 流行小唄の転用と思われる。

1-1-1 盆踊り唄「様は三夜」 佐伯市泥谷・石打(下堅田) <77・75一口、二上り>
☆様は三夜の三日月様よ 宵にちらりと見たばかり(アラホーンボニ)
 見たばかり 宵にちらりと見たばかり(ハーテッショニ) 様はよいよな
☆咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が勇めば花が散る
 花が散る 駒が勇めば花が散る 様はよいよな
☆お前釣竿わしゃ池の鯉 釣られながらも面白や
 面白や 釣られながらも面白や 様はよいよな
☆お前松の木わしゃ蔦かずら 絡みついたら離りゃせぬ
 離りゃせぬ 絡みついたら離りゃせぬ 様はよいよな
☆お前百までわしゃ九十九まで ともに白髪の生ゆるまで
 生えるまで ともに白髪の生ゆるまで 様はよいよな
☆山があるから故郷が見えぬ 故郷可愛や山憎い
 山憎い 故郷可愛いや山憎い 様はよいよな


●●● ヨンゴヨンゴ節 ●●●
 曲調から、そう古い唄でもないように思える。昭和初期まで挾間方面で流行した。

1-1-1 盆踊り唄「ヨンゴヨンゴ節」 挾間町北方(挾間) <77・75一口>
☆盆が来たならネ(ハラドッコイ) 踊ろや競ろや
 オチュチューラドン(ハラヨイショ)
 しなの良いのを嫁にとる(ハーラヨーンゴヨンゴ)
☆好きと嫌いが 一度に来たら ほうき立てたり倒したり



●●● ドッコイサノサ(その1) ●●●
 筑豊方面で盛んに唄われている節で、日田の一部で流行した。

1-1-1 盆踊り唄 日田市小迫(朝日) <77段物>
☆三で讃岐の金毘羅様よ(ヨイトサッサノドッコイサノサ)
☆四で信濃の善光寺様よ



●●● ドッコイサノサ(その2) ●●●
 「その1」の音頭を若干「鯖ん寿司」風にしたもので、やはり日田の一部で流行した。

1-1-1 盆踊り唄「団七踊り」 日田市小迫(朝日) <77段物>
☆次は団七 三人 団七やろか(トコ団七ゃワッサッサ)
☆誰かどなたか ヤレサン 声継ぎ頼む(トコ団七ゃワッサッサ)



●●● 竹田踊り ●●●
 竹田は日田市内の地名。何らかの元唄があるのだろう。日田の一部で流行した。

1-1-1 盆踊り唄「竹田踊り」 日田市殿町(小野) <77・75一口>
☆唄は唄いたし(唄の数ゃ知らぬ 大根畑の アナンデモ くれがえし
 アソリャ くれがえし さりとはくれがえし)
☆大根畑も(二度まじゃよいが 三度かえせば くどうござる
 くどうござる さりとはくどうござる)
☆私ゃ英彦山(ざっつさんの娘 米のなる木を まだ知らぬ
 まだ知らぬ さりとはまだ知らぬ)
☆米のなる木を(知らんなら教ゆ すわる高木の 裏を見よ
 裏を見よ さりとは裏を見よ)



●●● チロリロリン ●●●
 珍妙な囃子を伴い、「弓引き」の音頭ではあるも「三勝」の系統とは異なる。荻から高森にかけての流行。

1-1-1 盆踊り唄「弓引き」 荻町宮平(柏原) <77段物>
☆弓引きヤーレー やりましょ(アラヨイヨイヨイ)
 しばし間はその調子にて(サマーこれもサンサのチロリロリン)
 ヨイサ チロリロリンならハチリンと(アラどっちが千草でトッホンシャン)
☆踊りゃ やめまい 踊りゃやめまい夜明けまで



●●● サンサオ ●●●
 作業唄の転用かと思われる。嫗岳の一部で唄われていた。

1-1-1 盆踊り唄「サンサオ」 竹田市倉木(嫗岳) <47・75一口>
☆アラ田中に布旗立てて(波に乗らせて サマ瀬で)
 ドッコイ(瀬でさるす サーンサオ)
 アラ乗らせて 乗らせて波に(波に乗らせて サマ瀬で)
 ドッコイ(瀬でさるす(サーンサオ)
☆踊ろや若い時ゃ一度 (二度と枯木に花 花咲かぬ)
 枯木に 枯木に二度と(二度と枯木に花 花咲かぬ)



●●● 相撲甚句 ●●●
 流行小唄の転用。

1-1-1 盆踊り唄「さんごや」 西国東郡 ※『俚謡集』より
☆エー さんごや 四十目の相撲取り様を見やれや(アラドスコイドスコイ)

1-1-1 盆踊り唄「相撲取り踊り」 西国東郡 ※『俚謡集』より
☆エー 豆腐の口説をやるなれば 私程因果な者はない(オイオイ)
 九丁の箱にぞ詰められて 上から重石かけられて
 一丁二丁と切り売られ 友達ないかと尋ぬれば(オイオイ)
 友達お花とあるけれど 一文二文のつかみ売り(オイオイ)
 親はないかと尋ぬれば 親は野山のエー 豆の木よ
 オショカ ショカ ショイ