夢の浮橋

下記3点に内容を絞って一から出直しです。 民俗・文化風俗や伝承音楽の研究に寄与できればと思っています。 ・大分県の唄と踊りの紹介 ・俚謡、俗謡、新民謡の文句の蒐集 ・端唄、俗曲、流行小唄の文句の蒐集

2019年11月

流行歌「ヨコハマ懐古」 唄:渡辺はま子、霧島昇
〽野毛の山からボンと鳴る鐘に 明けて波止場のあの蒸気船
 文明開化の煙がなびく ハマの娘の千鳥がけ
〽粋なマントル山高シャッポ さげたカバンも商館通い
 馬車がなければ相乗り車 明日のドンタクどこへ行こう
〽街の盛り場ガス灯が燃えて 夜は牛鍋ヤレ源氏節
 レターの横文字忘れた人に かけてやりましょテレグラフ
〽野毛の山からボンと鳴る鐘に 明けて波止場のあの蒸気船
 文明開化の煙がなびく ハマは日本の表口

新民謡「軍港小唄」 唄:久龍、稲千代、まり子 ※レコード聴き取り
〽月にゃ猿島大砲が三つ 間を二丁櫓で主ゃ来やる
 「船のラッパで夜が明ける 港よいとこ軍港
〽波は白浜みぎわにゃ三笠 空にゃ鴎が逢いに来る
〽吹けよ汐風走れよ帆船 新地安浦灯が入る

新民謡「浦賀船渠音頭」 唄:照香、伊藤久男 ※レコード聴き取り
〽サー 愛宕山から港を見れば(ハー見ればネ)
 浦賀ドックの灯が見える 作業の船の(ソレ)
 帆柱たたくヨイトサノサ さっと流れた金の星 金の星
〽流す馴染みの新造船が(船が) 晴れて嬉しや引き渡し
 別れ惜しむか出船の笛か 遠く響くよ朗らかに 朗らかに

新民謡「城ヶ島の雨」 唄:小唄勝太郎
〽雨は降る降る城ヶ島の磯に 利休鼠の雨が降る
〽雨は真珠か夜明けの霧か それともわたしの忍び泣き
〽舟はゆくゆく通り矢のはなを 濡れて帆上げた主の舟
〽エー 舟は櫓で遣る櫓は唄で遣る 唄は船頭さんの心意気
〽雨は降る振る 日はうす曇る 舟はゆくゆく 帆が霞む

流行歌「夢の城ヶ島」 唄:青葉笙子
〽雨か涙か沖まで曇る 濡れた白帆の アノ後ろ影ヨ
 やるせ渚の やるせ渚の城ヶ島
〽燃ゆる思いを椿の花に 見せて引きたい 主の袖
 三浦岬の 三浦岬の月の暈
〽夢の逢瀬は数々あれど さめりゃ儚い 影ばかり
 誰にこがれて 誰にこがれて泣く千鳥

流行歌「城ヶ島新調」 唄:青葉笙子
〽三浦岬は 名を呼びゃ届くヨ
 なぜにあなたは来てくれぬ 涙あふるるヨ 城ヶ島
〽ところ一里と 隔てぬ恋も
 翼なければままならぬ 寄せる波さえ 片しぶき
〽せめてなりたや 逢われぬときは
 岬通いのあの船に 涙暮らしの 城ヶ島

流行歌「由比ヶ浜夜曲」 唄:青葉笙子 ※レコード聴き取り
〽星降る今宵の由比ヶ浜 波の音聞く横顔の
 春は若宮宵桜 逢うて別れた磯に見る
〽鎌倉むすめの愛しさは 静見るよなそんなよな
 あつい情けの黒髪に かざす真っ赤な沙羅の花
〽松風涼しや段葛 濡れた瞳に誘われて
 上るきざはし八幡宮 灯り消す間に秘めた恋

新民謡「小田原おどり」 唄:小田原芸妓連 ※レコード聴き取り
〽ハー 一度おいでよ(コリャセ) 小田原町へ(ガットネ) 
 四季の眺めは 四季の眺めは尽きやせぬ
 「ガットネ ガットネ ガット ガット ガットネ
〽花の二ノ丸 緑の天守 招く尾花は 招く尾花はお城山 
〽堀の桜か 小峰の梅か 映えて旅館の 映えて旅館の藤の花 
〽紅の反り橋 三原へ懸けて 呼んでみたさの 呼んでみたさの島娘 
〽町じゃ繁盛の 小田原おどり 浜じゃ豊漁の 浜じゃ豊漁の大漁船 
〽小田原踊りに 北条様の 石の蛙が 石の蛙が音頭とり 

新民謡「小田原小唄」 唄:小田原芸妓連
〽ハー 早瀬早川われても末は 御幸浜辺の 御幸浜辺の夫婦波
 「アーどんときた どんとね
〽恋の小田原灯にこがれ 会いに黒潮 会いに黒潮南風
〽酸いは梅干甘いは湯餅 苦い涙は 苦い涙は誰ゆえに
〽社二ノ宮開運守り 桜花漬 桜花漬湯で開く
〽とんとこまないた蒲鉾つくり 心底迷わす 心底迷わす罪つくり

新民謡「平塚小唄」 唄:平塚芸妓連
〽相州平塚(コイナ) つるつるお芋(ホラエ)
 一度返して 返して返して 根がほきる
 「ほっくりほっくりほっくりよ わら火でほっくり十三里
〽道は平塚 大山詣り 開けておくれよ おくれよおくれよ お花講
〽銅の鳥居に 心願かけて チャラリ裏町 裏町々々 まだ暮れぬ
〽お前火薬廠 飴色火薬 まさかズドンと ズドンとズドンと 来やしまい
〽見ろや春日の 腕骨祭り 足は千鳥の 千鳥の千鳥の 浜おろし
〽誕生池から 飛び出す鳥は 鴨だ鴨だよ 鴨だよ鴨だよ 好きな鴨
〽須賀の西瓜も すぐ花盛り けいなやんべか やんべかやんべか 早嫁に
〽桃に袋を かぶせておいて お主ばかりが ばかりがばかりが 構う気か
〽地曳ゴロ曳 夜焚の網は 雑魚も魚も 魚も魚も ひと網に
〽お前いい気だ 馬入の砂利よ 角の篩で 篩で篩で 丸八分
〽海は遠浅 砂山小松 島の御神火 御神火御神火 見て浴びる
〽塚は平塚 けさかけ松よ 宵はさんさと さんさとさんさと また濡れる
〽花は花水 片岡つづみ 橋の袂で 袂で袂で ぽっと来る

新民謡「平塚音頭」 唄:平塚芸妓連 ※レコード聴き取り
〽白鷺の 白鷺の 飛べば夕日の高麗寺 月になるやら風じゃやら
 ヨーイヤヨーイヤヨーイヤナ 月になるやら なるやらなるやら
 風じゃやら ヤレコノ ションガエ
〽白鷺の 白鷺の 群れて下り来る諏訪の森 松に来たやら影じゃやら
 松に来たやら 来たやら来たやら 影じゃやら

新民謡「ヘッチョイ節」 唄:朝居丸子/曽我直子/小唄勝太郎、三島一声
〽二つ流れもネ 逢瀬の湯本 忍び寄り添い
 岩に寄り添い ヘッチョイ鳴く河鹿
 「ほんのりほんのり湯の煙 箱根 湯の山 湯の煙
  ヘッチョイ ヘッチョイ ヘッチョイナ
〽寝物語の 枕の下を 水も流れる 霧も流れる 塔之沢
〽意気なブロンド ミセスかミスか 色香ほのめく 湯の香ほのめく 宮之下
〽雲に浮寝の 底倉どまり 夢の通い路 君へ通い路 八千代橋
〽藤は紫 瀧白糸よ かかる木の間の かかる谷間の 堂ケ島
〽谷は藍染 紅葉は緋染 木賀は湯もやの なびく湯靄の ぼかし染
〽歌の山彦 湯靄にかすむ 桜吹雪の 花の吹雪の 小涌谷
〽明けの蘆の湖 朝霧分けて 山で鳴く鳴く 谷で鳴く鳴く 閑古鳥
〽強羅初夏 茂山葉山 湯浴み姿に 百合の姿に 風香る
〽招くすすきよ 仙石便り 空に錦の 尾根に錦の 小塚山
〽姥子岩の湯 底まで透ける 月に覗かれ 星に覗かれ 恥ずかしい
〽川は早川 滝津瀬早瀬 水のしぶきは おどる飛沫は 雲となる
〽谷で鶺鴒 広野でゴルフ 尾羽根振り振り クラブ振り振り 日を暮らす
〽胸に思いは 大湧谷よ 君にこがれて 空にこがれて 立つ煙
〽君とドライブ 長尾の峠 崖の桔梗が 憎や桔梗が 投げキッスする
〽燃えるつつじに 蓬萊山の 霧もほのぼの 雲もほのぼの 紅をさす
〽晴の小袖は 千鳥か蝶か 墓も並んで 峰も並んで 二子山
〽道中双六 お関所跡に 咲いて夢見る 昔夢見る 合歓の花
〽瑠璃の蘆の湖 寝ざめの富士が 逆さ姿の 扇姿の 水鏡
〽恋慕宵闇 燈籠流し 胸に火をたく 峰に火をたく 大文字
〽国立公園 世界の箱根 山にほれぼれ 水にほれぼれ 旅心
〽サクラフジヤマ ビュテフル箱根 国のはてまで 海のはてまで 名も高い

新民謡「箱根節」 唄:小永、栄子
〽ハー虹は七色湯靄にかかる 箱根八里を 箱根八里を渡り鳥
 「アー山坂そうだね
〽乙女峠の尾花が招く 富士を見初めて 富士を見初めて穂が招く
〽霧の山駕籠山百合添えて 君を偲ぶの 君を偲ぶの箱根草
〽谷の深間に湧く湯のけむり 別れ惜しんで 別れ惜しんで木にからむ
〽二子しぐれる蘆の湖煙る 間のお関所 間のお関所袖の露
〽登るケーブル針金だより 夢に見たよと 夢に見たよと湯の便り
〽思い寄木の箱根のみやげ 恋のからくり 恋のからくり誰が解く

新民謡「宮之下音頭」
〽待つは春風 ヨイサ 梅ヶ枝町に ソリャ ヨイトヨイヤサノ
 冬もうぐいす啼きに来る ハヤッサラサ ハヤットサラサ
 冬もうぐいす啼きに来る ソラ ヨイトヨイヤサノサ
〽明星岳から 朝日があがりゃ
 宮之下から夜は明ける 宮之下から夜は明ける
〽松が岡から 吹く風さえも
 女松恋しと吹いて来る 女松恋しと吹いて来る
〽堂ヶ島には 対星館と
 並ぶ大和屋軒つづき 並ぶ大和屋軒つづき
〽見ても見飽かぬ 奈良屋の庭は
 池の湯にさえ鯉がすむ 池の湯にさえ鯉がすむ

新民謡「湯河原節」 唄:音丸、伊藤久男 ※レコード聴き取り
〽上り下りの 笑顔に笑顔 花がもの言う 花がもの言う桜山
 「湯河原 湯どころ よいところ ほんに名どころ よいところ
〽滝は清滝 達磨に不動 しぶき涼しや しぶき涼しや渋うちわ
〽みかんとる手の 鋏の音の 合間々々に 合間々々に鵯の声

新民謡「多摩川音頭」 唄:藤本二三吉/稲田村青年団員
〽囃せ囃せや多摩川音頭 チリヒョトチリヒョトチリヒョトヒョッヒョ
 笠は鮎鷹 笠は鮎鷹手はさらり
 「月の砧は昔のことよ 今は鮎鷹 チリヒョトヒョッヒョ
〽私ゃ鮎鷹多摩川育ち 水の瀬の瀬を 水の瀬の瀬を見てはやる
〽晒すたづくりさらさら流れ なぜにあの子が なぜにあの子がこう可愛い
〽多摩の登戸六兵衛様よ 富士は六尺 富士は六尺いま盛り
〽夜目にほのりと見たよな娘 梨の花かよ 梨の花かよ白々と
〽桃の花咲きゃ河原が明かる 誰か呼ぶよな 誰か呼ぶよな声もする
〽鮎は鮎でもお許しなけりゃ どうせ白ハヤ こちゃハヤだ
〽袋かけかけホロリと泣いた しかもこなたの しかもこなたの梨山で
〽五宿通いかあの音のよさは 笛は短夜 笛は短夜 夜は一夜
〽五宿帰りだ素っ裸だ川だ ままよ笛吹け ままよ笛吹け徒歩渡れ
〽下へ下れば二子に丸子 上は六社の 上は六社の闇祭り
〽鮎は過ぎてもまた来ておくれ 梨の実りの 梨の実りのよい秋に
〽おいら蠅追い瓢箪ひとつ 雌獅子隠して 雌獅子隠して睨まれた

新民謡「奥多摩よささ節」  唄:青梅芸妓連/五日市芸妓連
〽青梅青梅と エーショコ ショコ 青梅の町はヨ 
 帯の長さも エーショコ ショコ ヨササノサ あるものをヨ 
〽青梅青梅と よささで来たら ほんによささで 日も暮れる 
〽東京十二里 離れちゃおれど 多摩の川水ぁ 日に通う 
〽私ゃ機場所 青梅の生まれ 戻しゃせぬぞえ 恋の撚り 
〽梭にもつれる 糸さえ憎い 誰が着て寝る 夜具じゃやら 
〽青梅夜具縞 縞柄一つ 唄のヨササは 声一つ 
〽月は御岳の 山の端入るに 忘れたのやら まだ来ない 
〽私ゃ多摩川 川瀬の河鹿 唄は唄えど 泣きはせぬ 
〽青梅よいとこ 住吉様の 蔭ゃ物言う 花が咲く 
〽春の奥多摩 吉野の梅見 花が咲きます 村の里 
〽梅の吉野か 吉野の梅か ほんに嬉しい 間柄 
〽夏の奥多摩 燈籠流し 川が照ります 七色に 
〽秋の奥多摩 御岳の紅葉 山が燃えます 目もあやに 
〽御嶽晴れれば 奥多摩日和 思案なさるな 雨じゃない 
〽晴れる奥多摩 曇るな御岳 その日帰りの 旅じゃもの 
〽わしが情夫は 御岳の下で 雨に濡れつつ 山女魚釣る 
〽春は嬉しい 奥多摩川よ 海苔も採れます 川海苔が 
〽ヨササ小唄に 奥多摩盛る 鶴の温泉 湯でさかる 
〽青梅五日市ゃ 三里の違い わしと君様は 三つ違い 
〽五日市場は 五日目毎に 可愛いお方は 日の暮れに 
〽網代温泉 夫婦の風呂は 人目離れて 水入らず 
〽伊達の白萩ゃ 根分の萩よ 多摩の増戸にゃ 根が残る 
〽大岳山から 煙が昇る あれは炭焼く 煙じゃやら 
〽南奥多摩 神戸の岩は いつも離れぬ 夫婦岩 
〽青梅街道へ 松の木植えて 待つと言うたとて わしゃ知らぬ 
〽雨にゃ傘 恋路にゃ闇夜 唄にゃ奥多摩 よささ節

新民謡「東京小唄」 唄:藤本二三吉
〽東京よいとこ アリャセノセ 三尺降りりゃ コリャセノセ
 忍ぶ 忍ぶ恋路の ヨンヨンヤサノ 鉄路がある
 ヨイヨンヤセノ スッチョンチョン
 ヨイヨンヤセノ スッチョン スッチョン スッチョンチョン
〽下に地下鉄 二階は銀座 昇り 昇り下りの 夕涼み
〽山手男に 下町娘 仲を 仲を取り持つ 日本橋
〽逢うて浅草 別れて上野 またの またの逢瀬は 新橋で

新民謡「東京万歳」 唄:豆千代、松平晃 ※レコード聴き取り
〽ジャズは浅草 柳は銀座(ハヨイトサト) 私ゃあなたとエー 松の内
 (アリャまったく アリャアリャアリャサ)
〽恋の新宿 逢瀬を重ね 添えば世帯が ひと苦労
〽ネオンライトの 女給さんはかわい 貰い煙草で 煙に巻く
〽今宵逢いたや お顔が見たや 恋じゃないぞえ 金がない

新民謡「東京かっぽれ」 唄:玉野小花、田中文州 ※レコード聴き取り
「かっぽれかっぽれ 東京かっぽれ ヨイトナ ヨイヨイ
〽恵みしたたる代々木の緑(ハヨイトコリャサ)
 仰ぐ民草 ヤレコノコレワノサ ヨイトサッサ 神の森じゃえ
〽日本晴だよ日の丸日和 国の礎 丸の内じゃえ
〽花に霞んで鳥居が見える あれは九段の 軍神じゃえ
〽国の鎮めに出で立つ君を 送る品川 万々歳じゃえ
〽鐘は上野か浅草寺か おぼろ月夜に 花の弓じゃえ
〽銀座八丁柳が招く 寄せて返すは 人の波じゃえ
〽月の武蔵野新宿姿 一目灯の街 恋の街じゃえ
〽雪の浜町更けゆく夜を 逢瀬かなしや 千鳥啼くじゃえ

新民謡「東京小原良節」 唄:谷田信子 ※レコード聴き取り
〽春のネ(サテ) 春のたよりを燕に聞いて(ヨイヨイ)
 芽ぐむ銀座の オハラハー糸柳(アリャセーアリャセ)
〽日暮れ 日暮れひととき浅草あたり 濡れて別れた 人もある
〽いつか いつか浮名も辰巳の鐘に こころ隅田の 都鳥

新民謡「東京甚句」 唄:長谷川清、梅子 ※レコード聴き取り
〽東京よいとこ朝日に明けてヨ(オヤ スチャラカドンドン)
 暮れりゃネオンの ヤレホイソレ 花がすみ
 (ハギッチョンギッチョンギッチョナット)
〽恋の新橋金春通り あの妓いとしや 柳腰
〽おらが銀座はお洒落で粋で 魔風恋風 胸に吹く
〽なさけ深川隅田の空に 昔恋うかよ都鳥
〽上り下りの東京駅で 今日も別れの 笛が鳴る

新民謡「府中小唄」 唄:小唄勝太郎
〽ハー 六社明神さま暗闇祭ヨ(アリャヨイヨイ)
 暗に旅所へササラサイサイ 暗に旅所へ御渡なさる(ソジャソジャソジャ)
 あれは灯じゃない空の星 星さえ府中を出てのぞく
 サーサヤッサキタ ササラサイサイ
〽今朝も見ました馬場大門の 欅並木に 欅並木に立つ風を
 あれは空吹く通り風 風さえ素通りゃ出来やせぬ
〽鮎は若鮎早瀬が頼り 水に急かれて 水に急かれて瀬を登る
 あれは関戸の川遊び 府中多摩川見においで
〽恋の懸橋金仏様も 一人渡りは 一人渡りはなさりゃせぬ
 あれは身籠り金仏さん 身重が悪けりゃお詫びする
〽ここは名高い分倍河原 道は鎌倉 道は鎌倉街道筋
 あれは新田と北条と 火花を散らした古戦場
〽武蔵府中は自慢じゃないが 萱や芒の 萱や芒の中じゃない
 あれは府中の六社様 松は憂いもの杉ばかり

新民謡「大塚小唄」 唄:朝居丸子 ※レコード聴き取り
〽恋の街かよ アリャサ 好いた気の甘さ
 三味に大塚 トントトトン 夜は浮かぶ 浮かぶヨ
 チョイトチョイトチョイトサッサ チョイトネ
〽街の行き来の自動車 電車 会いに来るならそっと忍べ 忍べ
〽お酒飲むなら 飲んで唄 唄おう ほんに極楽 気は浮いて 浮いて
〽酒場女と わしゃ唄われて 恋に切ないこの胸は 胸は

新民謡「赤坂ジャズ音頭」
〽聞くも懐かし柳堤橋の 残るその名にしみじみと 通り昔が偲ばれる
 「ササカ 赤坂 恋の街
〽吹けよ春風弁慶橋に 可愛い振袖水かがみ 映す姿に花が散る
〽夏の名残を山王山に 声も涼しや蜩の 鳴いて泣かせるこの胸を
〽濡らす片袖相合傘に 粋を聴かすか夕時雨 またも浮名の花が咲く
〽田町色街灯の赤坂に なぜか心も浮き浮きと 三味の音色に夜を焦がす
〽無理な願いを豊川様へ かけて嬉しい朝詣り 引いた御籤も吉と出て

新民謡「大江戸夜曲」 唄:藤本二三吉
〽鐘も上野の初桜 散るよ新造の鬢の髪
 おぼろおぼろの夕がすみ 夢もゆかしや江戸の春
〽神田祭の賑わいに 派手な揃いの伊達姿
 気負う手古舞山車の数 暮れて屋台の遠囃子
〽月も隅田の屋形船 羽柴今戸の都鳥
 波に浮き寝のささめごと 名さえゆかしや枕橋

新民謡「浅草おどり」 唄:市丸、久富吉晴 ※レコード聴き取り
〽踊りましょうかよ 踊りましょうかよサーサヨイトヨイトナ
 隅田の流れヨ コラサノサ(ハナントショト)
 江戸の名残の ヨーイヨイヤサノ 星月夜ヨ コラサノサ
 (ハナントナントナントショト)
〽南無や大悲の 南無や大悲の 観音様よ 昭和浅草 この繁昌
〽東京いちばん 東京いちばん この仲見世は いつも灯の波 人の波
〽羽柴今戸や 羽柴今戸や あの待乳山 波も誘えや 江戸の月
〽廓五丁町 廓五丁町 時代は移る 今じゃネオンの 夢の街

新民謡「浅草小唄」 唄:鳥取春陽/浅草房奴 ※レコード聴き取り
〽恋に忍ぶ身柳が招く 月もおぼろにわが身の春よ
 鐘は上野か弁天山か 結ぶ神さま平内さんの
 裏に別れのサ 鐘が鳴る
〽あがる夕立恋しい屋根に 渡す虹橋五色に映えて
 晴れたあの森弁天山か 結ぶ神さま平内さんの 裏に別れの 鐘が鳴る
〽落葉はらはら逢われぬ恋の 辛い涙とはらはら散るか
 濡るる秋雨弁天山か 結ぶ神さま平内さんの 裏に別れの 鐘が鳴る
〽粉雪ちらちら下駄踏みしめりゃ 二世の二の字が続くも嬉し
 お礼参りに弁天山か 結ぶ神さま平内さんの 裏に別れの 鐘が鳴る

新民謡「吉原囃子」 唄:小唄勝太郎 ※レコード聴き取り
〽ハーレヤレソレ ヨイトヨイヤサノサ(アリャドッコイサノサ)
 月の出汐じゃ吉原囃子(コリャドッコイサノサ)
 どんと打ち込む どんと打ち込む寄せ太鼓 寄せ太鼓
 「さあさ来なんし踊りゃんせ さあさ来なんし踊りゃんせ
〽お手が揃うたら踊ろよ踊ろ 空にゃ笑顔の 空にゃ笑顔の盆の月 盆の月
〽浮いた苦労も三年三月 雪の降る夜も 雪の降る夜も霜の夜も 霜の夜も
〽霜の夜更けの大門口に 主を待つ間の 主を待つ間の時の鐘 時の鐘

新民謡「吉原音頭」 唄:三島一声 ※レコード聴き取り
〽恋の五丁町朝霧くれて 春の灯がつきゃ花吹雪 ホンニヤレコノ花吹雪
〽風になよなよ見返柳 伊達な木遣は仲ノ町 仲ノ町
〽菊は籬に色には早生に 廓そだちの片えくぼ 片えくぼ
〽雪に更けゆく新内ながし 私ゃあなたの一夜妻 一夜妻

新民謡「隅田おどり」 唄:東海林太郎/浅草芸妓連
〽お江戸恋しや隅田のほとり ギッコイ櫓の音渡し舟 アレサ 都鳥
 「鐘が鳴ります観音様の さあさ踊れよ踊りましょうよ
〽お江戸恋しや隅田のほとり 出船入船屋形船 花が散る
 「玉屋が取り持つあの川開き さあさ踊れよ踊りましょうよ
〽夜の浅草五色に燃えて 波に映して花が咲く 隅田川
 「風は涼風隅田のほとり さあさ踊れよ踊りましょうよ
〽お江戸恋しや隅田のほとり 岸の柳にほんのりと 月が出た
 「隅田おどりは後生楽踊り 天下泰平と踊りましょうよ

新民謡「浜町音頭」 唄:葭町信八、ゑつ/葭町芸妓連 ※レコード聴き取り
〽手前揃えて足拍子軽く(ヤットナ)
 浜町踊りは一踊り ヨイヨイヨイヤサ ソレエー
〽仲も葭町気も柳橋 踊る手振りもしなやかに
〽船じゃ櫓拍子こちゃ糸竹の 唄で夜が明け日が暮れる
〽河岸の小唄に鴎が舞えば 恋の中洲にゃ灯がともる
〽園の千草に涼風吹けば 月の大川 金の波
〽浜町よいとこ涼みにござれ 水の公園 舟の唄
〽間の花火が千両ならば 金座月夜は二千両
〽今年ゃ世が好うてお茶屋は繁盛 愛し君様なお繁盛
〽お江戸日本橋金座に住めば 蔵を建ちょうもの金蔵を
〽浜町名物踊りがござる ほんにその夜の月の色

新民謡「芝音頭」 唄:東海林太郎、芝神明芸妓連/新橋喜代三
〽三味で日暮れて踊りで明けて 粋な格子の烏森
 かけた願いは金毘羅様に 雨も泣くよな虎ノ門
 「芝はよいよいヨイヤセノセ さっさ踊ろか芝音頭 ヨイヨイ
〽恋の階のぼればままよ 夢もほのぼの愛宕山
 逢うて別れた夜の数よりも 今じゃラジオの唄の数
〽月はお台場かもめの別れ 待って待たれて忍ぶ夜の
 夢は白銀思いは黄金 明日の逢瀬は札ノ辻

新民謡「新銀座行進曲」 唄:高井ルビー ※レコード聴き取り
〽春の宵 春の宵 無理に差されたカクテルを 受ける手元にゃナ
 花が散る グラスにゃ紅が散る 紅が散る
〽宵闇の 雨の街 幌も目深な自動車の 急なカーブにゃ
 ちょっとつないだ 二人の腕と腕 腕と腕
〽ひと踊り 踊りましょ 響く音楽ジャズバンド 今日のクルーは
 夜会服 振袖 タキシード タキシード

新民謡「雪の上野」
〽降り積みし 雪の上吹く風ならで 梢しづるる白い空
 それも日の暮れ両大師 月が声しているわいな
 「アリャアリャアリャリャ ホリョホリョホリョリョ
  じつ上野の雪じゃえ
〽ほろほろと 啼けば燃えたつ顔世鳥 枝にぬめりの濡れ跡や
 それも短日夕みぞれ 暮れてほのりといるわいな
〽薄墨に 霰小紋の中空や 見えて細みの人の声
 それも不忍夜明け前 何か氷につむわいな

新民謡「霊岸島」
〽永代の 月の出潮の身は浮寝鳥 宵は灯の濡れ色や
 飛んでうつつの橋構え 桁が高うはないかいな
 「エーソレほのりと影が来る ホホヤレ 新川新堀茅場町
  こちゃおぼろの霊岸島じゃえ
〽八幡の 粋と勇の世は夏祭り 茶釜茶柄杓敲き鉦
 晴れて神輿のまち迎え お日がちゃんちゃと照るわいな
 「ちゃらりと影が来る 新川新堀茅場町 しゃぎりの霊岸島じゃえ
〽酒蔵の 水に艶増す早や秋日和 橋は豊海港橋
 かしぐ伝馬の夕げむり 風も酒から染むわいな
 「ほそりと影が来る 新川新堀茅場町 彼岸の霊岸島じゃえ
〽忍ぶとも ついにほのぼの夜は明鴉 雪の艫綱あゆび板
 それも初荷の樽の菰 しゃんと締めたがよいわいな
 「ちらりと影が来る 新川新堀茅場町 新酒の霊岸島じゃえ

新民謡「新川小唄」 唄:小徳、小房、定子
〽新川新堀酒さえよけりゃ よけりゃサ いつも配づけこちゃ祭
 「一の橋 二の橋 三の橋 霊岸橋なら 左様さ 宵の汐
〽筵早う敷けほら来た樽が 樽が 転げ転げて逢いに来た
〽酒は喉越し新川恋し 恋し 夏は宵越し樽神輿
〽ちびりちびりと利き酒上手 上手 いたみいります冷酒で
〽渡すあゆびもお心まかせ まかせ 潮がそこれば高くなる
〽何とつかずの私は荷役 荷役 だって汽笛がボーと鳴る

新民謡「大森海岸小唄」 唄:大森海岸芸妓連
〽沖はトントン遠浅 シビには海苔よ チララ サララ トントン
 後ろ見返りゃ ホホホイ 富士の山 ホホホイ 見返りゃ富士の山
 「大森海岸 柵づくり さらりとお舟で漕いだ漕いだ
〽はるか彼方は上総に安房よ いつも向う地なぜ霞む 向こう地なぜ霞む
〽汐干々々とどこまで行ったぞ 今は月夜の潮の音 月夜の潮の音
〽立つな朝霧ほのぼの夜明け 主の飛行機 二つ羽根 飛行機 二つ羽根
〽夜目で見たのは気強い若衆 待てと誰が出た鈴ヶ森 誰が出た鈴ヶ森
〽浜で細るは月夜の蟹よ どうせ網打つ人もない 網打つ人もない
〽宵はひととき涼みは夏場 若いうちなら揚げ花火 うちなら揚げ花火
〽雨に笠島 はや入新井 どこに羽田だ木原山 羽田だ木原山

新民謡「海苔の香(大森新曲)」 唄:大森海岸芸妓連
〽シビの柵 沖とこなたの海苔の香や 間の舟路潮の路
 ほのと夜霧を曳舟の 笛も枕に鳴るわいな エーソリャ夜明の曳舟
〽春霞 かけて汐干の紅だすき 出てか待つ身か遠浅に
 あさりはまぐり浜千鳥 声もちりぢり呼ぶわいな 彼岸のしびぬき
〽待てばとて 月は八幡に入不斗 海苔の簀の移り香や
 いつかしらじら飛行機の 影が東に飛ぶわいな 簀の海苔の香
〽思えども 忍び忍びの海苔ひろい 人に知られず誰知らず
 柄杓片手に汐の瀬に 濡れて凍えているわいな 流れの潮の瀬

新民謡「柿の木坂」 唄:佐藤千夜子 ※レコード聴き取り
〽柿の木坂の柿の木はナ 枝に鈴なり実がさがる
 柿の木坂の柿の木はマ 馬子の万吉がちょいと横目 ちょいと横目
〽柿の木坂の柿の木をナ あぶれ鳥もちょいと横目
 下手な鉄砲撃ちゃ柿の木のナ 鳥を撃とうとて柿を撃った 柿を撃った
〽柿は転げる鳥ゃ逃げる 下手な鉄砲撃ちゃ柿を追っかけた
 柿の木坂の柿の木はナ 柿は柿でも渋柿だ 渋柿だ 

新民謡「波浮の港」 唄:佐藤千夜子/藤原義江
〽磯の鵜の鳥ゃ日暮れにゃ帰る 波浮の港にゃ夕焼け小焼け
 明日の日和は ヤレホンニサ なぎるやら
〽船も急かれりゃ出船の仕度 島の娘たちゃ御神火暮らし
 なじょな心で いるのやら
〽島で暮らそにゃ乏しうてならぬ 伊豆の伊東とは郵便だより
 下田港とは 風だより
〽風は潮風御神火おろし 島の娘たちゃ出船のときにゃ
 船の艫綱 泣いて解く
〽磯の鵜の鳥ゃ沖から磯へ 泣いて送らりゃ出船もにぶる
 明日も日和で なぎるやら

新民謡「大島音頭」 唄:三島一声、福むら貴美子 ※レコード聴き取り
〽ハー 風は辰巳か五丁櫓で漕げば(ホイノホイ ホイノホイ)
 どこへ響くよ雲の嶺 ホンニホッチョセノ雲の嶺
 ホンニホッチョセノ雲の嶺 ホイノホイ ホイホイ
〽椿咲く島三原の煙 月は汐波風ほがら 風ほがら
〽遠く離れて便りを風に 霞む汐路の七つ島 七つ島
〽くじら汐吹くあの黒潮の 果ては紫、日は暮れる 日は暮れる
〽お吉いとしや黄金に煙る 下田港の遠灯り 遠灯り

新民謡「大島ばやし」 唄:美ち奴 ※レコード聴き取り
〽ハー 島の乙女の黒髪かわいヨ ハキタサノサッサ
 匂う 匂う椿の紅そえてヨ
〽今宵一夜は大島ばやし 明けりゃ 明けりゃ下田へ船枕
〽別れつらいと椿の花は 月の 月の渚にほろり散る
〽夢の大島えにしを乗せて 帰りゃ 帰りゃまた来る通い船

新民謡「三原おけさ」 唄:繁代 ※レコード聴き取り
〽ハー 黒髪の なぜか乱れる花蔭でヨ
 薄い情けの夢とも知らず 娘泣く

新民謡「島でうたえば」 唄:市丸 ※レコード聴き取り
〽島は恋しや船端たたく 荒磯つづきに
 荒磯つづきに アレサホイホイ 主の声
〽碇あげたよ流線形の 舵を命の 舵を命の 主の顔
〽月がはずめば今宵の唄に 光る波間に 光る波間に 主の影
〽あだな煙と恨むは月夜 島じゃ御神火 島じゃ御神火 主のみち

流行歌「島の椿」 唄:佐藤千夜子
〽浜は夕焼け遠茜 無事でいるやらあの人は
 ほんにそうなら ほんにそうなら言伝しょもの
 便り聞きたや鴎の鳥よ
〽主の情けで泣けばとて どうせ儚い島椿
 ほんにそうなら ほんにそうなら諦めましょが
 私ゃ悲しいおぼこの花よ
〽いとし三原の煙さえ 風の吹きよじゃ西東
 ほんにそうなら ほんにそうならわしゃ待ちましょが
 忘れられないあの日の夢よ

流行歌「大島つばき」 唄:青葉笙子 ※レコード聴き取り
〽呼びに来たのか誘いに来たか 沖の瀬の背の白帆影 白帆影
〽風の吹きよで十六つばき 咲きも萎れもするものを するものを
〽山の煙はなびきもするが 浮いた気はない島育ち 島育ち

流行歌「椿咲く島」 唄:青葉笙子 ※レコード聴き取り
〽赤い椿の 咲く島は 乙女の胸の燃ゆる島
 便り来ぬ日はなお燃えて 遠い灯りにすすり泣く
〽燃ゆる御神火 誰ゆえに 寂しく見えるちぎれ雲
 といて甲斐ない黒髪の 両手に余る遣る瀬なさ

流行歌「椿島田」 唄:美ち奴
〽ハー 艶のよいのはサ 椿に島田ヨ
 娘十七 花盛り チョイトコラ ナンダネ
〽島の椿は しんとろとろり 油壺から 嫁に行く
〽わしが命の この黒髪で とめてみせましょ 主の船
〽沖は山背か 遣らずの雨か 主は白帆で 上の空
〽着せてやりたや 薄情な人に わしが情けの 黄八丈

流行歌「御神火ぐらし」 唄:谷田信子 ※レコード聴き取り
〽もしや来ぬかと待つうちに 花も流れる島の暮れ
 風のたよりも絶え絶えに 今日も空ゆく渡り鳥
〽涙ばかりの夜な夜なを 赤い御神火燃えている
 過ぎたあの日の思い出に 遠い潮鳴り聞くばかり
〽月に入船笛が鳴る 港どまりか船頭さん
 どうせ私も波まくら かけておくれよ徒なさけ

流行歌「御神火夜曲」 唄:青葉笙子 ※レコード聴き取り
〽思い切ろとてヨ 別れちゃみたが
 燃えて空焼く 御神火さまに 恋しナ 恋し下田のあの人が
〽呼ぶな汐風 招くな夜風
 募る思いに わしゃ泣かされる 磯の 磯の千鳥か島育ち
〽せめて立つなら 御神火さまよ
 夜ごと主待つ 思いを乗せて 恋し 恋し下田のあの空までも

新民謡「八丈島小唄」
〽行こか行きましょか八丈ヶ島へ
 いとし南洋の風が吹く 遠くマリアナ群島から
〽啼きに来ました人懐かしく
 私ゃ八条の時鳥 今日も底土のあの磯に
〽船の出る時ゃ別れを惜しみ
 泣いて振りますハンカチを 船は波間に遠くなる
〽待っておりますまたすぐおいで
 月に二度でも三度でも 東京夜出りゃ朝は着く
〽思い出してはまた沖眺め
 泣いているのになぜ来ない 赤い椿の花陰で
〽離れ島でも来る気があらば
 三日空けずに船が着く 八丈垂戸のあの沖へ
〽風に吹かれる八丈ヶ島は
 いとし南洋の汐風に 赤い椿の咲く頃は
〽思い出します底土の浜に
 今日も南洋の風が吹く 風の吹く日に別れたが

流行歌「八丈おけさ」 唄:東海林太郎 ※レコード聴き取り
〽ハー 八丈八重根の松葉でさえもヨ 落ちて枯れても二人連れ
 それを想えば船出のときの 別れ辛さが 気にかかるヨ
〽来いと言うたとて行かれもせまい 島に掟があるうちは
 沖の鴎よ伝えておくれ 実と情けの 一言を
〽下田通いのあの船ならば 止めて訊きたいことがある
 今日も岬で便りを待てば 便り来もせで 日は暮れる

新民謡「房州よいとこ」 唄:四家文子/藤本二三吉 ※レコード聴き取り
〽房州よいとこ南を受けてヨ ショコショコショコヤレサノサ
 夏はそよ風 たもとを払い 冬も菜種の花が咲く オーサ菜種の花が咲く
〽房州よいとこ大波小波 沖のかもめが 夕陽に舞えば
 音頭勇まし鰹船 勇まし鰹船
〽房州よいとこ夜明けの空に あれは鋸 七峰八谷
 東清澄雲が湧く 清澄雲が湧く
〽房州よいとこ皐月の小笠 見やれ岡辺の 親牛子牛
 枝に黄金の南無谷琵琶 黄金の南無谷琵琶
〽房州よいとこ名にこそ残れ 神の天富 武門の里見
 法の光の朝日森 光の朝日森
〽房州よいとこ都も間近 咲くは文化の 心の花よ
 咲いて栄えて八千代まで 栄て八千代まで

新民謡「千葉小唄」 唄:藤本二三吉/千葉芸妓連 ※レコード聴き取り
〽エー 千葉の妙見様ヨイトヨイトサ 祭りの太鼓ヨ
 七日叩いて七夜なるヨ
 「さあさどんとぶて どんとどんとどんとぶて
  ササヨイトヨイト ヨイトサノサ
〽春の千葉寺 観音様は 屋根の上まで花が咲く
〽袖ヶ浦さえ 様にはならぬ 沖の遠浅汐次第
〽見るも床しや 羽衣松は 昔ながらの葉が繁る
〽御茶ノ水さえ 一人じゃ寝ない 月に添い寝の宿も貸す
〽都川には 君待つ橋で 水も流れて川となる
〽忘れられよか 千葉蓮池を 花は五色でとりどりに
〽ただの人目に 猪の鼻山は 千葉の見張りの番とやら

新民謡「佐原音頭」 唄:佐原芸妓連 ※レコード聴き取り
〽利根の川瀬に 追風をはらむ
 舟にゃ 米積む真帆片帆 ヨイヤサ ヨイヤサ
〽色も香取の 神路も春は ほんのり 美人の桜色
〽譲る神垣 氏子の栄え 諏訪の 杜は花盛り
〽七里八坂の 夜道を越えて 末を 遂げたい神頼み
〽利根の川面に 白帆が浮かぶ 佐原 下りの祭り舟
〽実る豊年 佐原の宝 福を 量りの米の升
〽樽にたたえし 黄金の水は 富と 宝を造り酒
〽利根の川風 袂へ入れて 月に 棹さす涼み舟

新民謡「佐原小唄」 唄:新橋八重三 ※レコード聴き取り
〽佐原港の川霧晴れて(ヤッコラサ)
 鳴くよ葦切 芦の中(ホイ) 鳴くよ葦切 芦の中
 「佐原よいとこ水の郷 サッサ佐原はヨイヤサ
〽水に浮かんだ十六島の 島にゃ黄金の波が打つ 島にゃ黄金の波が打つ
〽利根は川風筑波は霞む  真菰隠れの真帆片帆 真菰隠れの真帆片帆
〽香取鹿島を結んだ橋は 利根の大橋 神の橋 利根の大橋 神の橋
〽美人桜はほんのり霞 浮いておぼろの大鳥居 浮いておぼろの大鳥居
〽思い出しましょポプラの駅を 水郷娘のあの瞳 水郷娘のあの瞳
〽島は十六娘は十九 菅の小笠がちょいと招く 菅の小笠がちょいと招く
〽八坂七月諏訪さん九月 派手なお祭り関東一 派手なお祭り関東一
〽月はよい月水郷の月は よそにない月 日本一 よそにない月 日本一
〽さっさ踊れよ円くなって踊れ 佐原小唄の足拍子 佐原小唄の足拍子

新民謡「小見川音頭」 唄:羽根川芸座連 ※レコード聴き取り
〽ヨサホホイホイ
 おいで小見川水面の花よ いとし三筋の花さえ咲いてナ
 誰に散るやら(アリャアリャアリャ) 散らすやら
〽行こか城山操は松に 心中立てなら桜の花よ 散れば共にと 雨あられ
〽船頭かわいや水郷の小唄 鳩も招けば帆綱を緩め 黄金乱るる 波の上

新民謡「東金小唄」
〽わしが東金東の上総 マットマット 黄金町とは誰がつけた
 「鴇ヶ嶺なら赤ボッケ 七里法華で ドンツク朝の風
〽意気でゆくなら東金囃子 ならば祭で押してみろ
〽さぞや昔は茂右衛門様よ ここは東金嫁恋し
〽通や東金百夜も一夜 なんの七浦九十九里
〽来たよぼてふりお池のそばを 花見がてらにふれてきた
〽北之幸谷の牡丹の頃に 晴れて逢いましょその頃に
〽打つな昼鐘昼間は怖い ならば朝夜にほのぼのと

新民謡「埼玉民謡」 唄:小唄勝太郎、鈴木正夫 ※レコード聴き取り
〽ハー 秩父山から吹く青嵐ネ 今日も田畑の
 今日も田畑の ハー中に吹く トントロリコセ
 「ハ三峰山でも東京は近いが 一目にゃ見えない エッサカホイノホイ
〽梅見帰りか新月ヶ瀬の 袖に残せぬ 袖に残せぬ 香が残る
〽浅瀬々々で急かれた水も 末は長瀞 末は長瀞 とろ流れ
〽浦和川越熊谷までも 逢いに来よなら 逢いに来よなら 通うて行く

新民謡「越生小唄」 唄:越生芸妓連
〽歌に床しいあの山吹の あの山吹の 里よ武蔵の アリャ越生町
 「オヤ七重に一重に越生の山吹 黄金に咲きます愛しやこの花
  ソレ ヤッチャラホイサノ ヤッチャラセ
〽月は啼きゃせぬ高鳥山で 高鳥山で 啼くは夜明けの 時鳥
〽越辺川原の蛍でさえも 蛍でさえも 石と寝やせぬ 草と寝る
〽東山見りゃ松の木ばかり 松の木ばかり 便り待てとの 謎かしら 
〽西に西山あの空あたり あの空あたり 今日も日暮れか 夕焼ける 
〽越生名物 生絹に団扇 生絹に団扇 誰が着るやら 使うやら 
〽山という山 躑躅が咲くに 躑躅が咲くに なぜか私に 花咲かぬ 
〽春の山々 木の芽に蕨 木の芽に蕨 秋にゃ茸狩り 栗拾い 
〽梅に名高い新月ヶ瀬よ 新月ヶ瀬よ 小雪降るのに 花が咲く 
〽夏の三滝どんどと落ちて どんどと落ちて 肌に涼しい 霧となる 
〽梅の梅園とけぬか氷 とけぬか氷 谷の鶯 春を待つ

新民謡「秩父節」
〽秩父銘仙機場の煙コラサノサ 空に靡いて絶えはせぬ
 「来てみな秩父はよいところ 一度が二度でもまたおいで
〽山は高くも三峰山は 楽にケーブルカーで行く
〽昇る煙に夜昼なしに 秩父セメント工場から
〽水は流れて長瀞あたり 桜躑躅の花も咲く
〽空に雲なくハイキングコース 秋は紅葉の奥秩父
〽巴川から武甲山かけて 雪も朧に薄く降る
〽時鳥啼く三峰秩父 宝登山まで空を行く
〽クローム会社は御国の誉れ 国防資源で見られない
〽炭や木材秩父の駅を 積んで山ほど送り出す
〽屋台囃子に打ち出す煙火 秩父神社の夜祭り
〽雪がかかれば雪取山は 雨が降るやら晴れるやら
〽三十四番は札所の頃は 空に雲雀も高く啼く
〽生まれつきなら秩父の気質 深い情けも熱くなる
〽銅を掘り出し秩父の里は 年号和銅と改まる
〽仇な姿で柳の枝も 風に吹かれて靡くやら
〽秩父会館武甲山かけて 庭も晴れ晴れ変わりゃせぬ

新民謡「大宮おどり」 唄:市丸、三島一声 ※レコード聴き取り
〽ここは大宮ノーホホホイ ここは大宮踊りは音頭(サノセーヨイトセ)
 松の公園 松の公園賑わしさ
 「ヨッソレソレソレ手拍子揃えて ささ踊れやシッチョイチョイ
〽並木十八町 並木十八町鉾杉つづき 神代ながらの 神代ながらの宮参道
〽君が御幸に 君が御幸に尊さ増して 都守りの 都守りの一宮
〽できた機関車 できた機関車凡汽車曳いて 旅に名高い 旅に名高い大宮を
〽桜葉桜 桜葉桜そよ風吹けば 灯篭流しの 灯篭流しの月が来る
〽町にゃ人波 町にゃ人波のぼりが見える 葉月一日 葉月一日夏祭り
〽揃い浴衣で 揃い浴衣で若衆が見場 山車じゃ囃子が 山車じゃ囃子が音頭とる
〽広いスタンド 広いスタンド芝丘続き おらが自慢の おらが自慢の野球場

新民謡「上州小唄」 唄:佐藤千夜子/藤本ふみ・はな
〽赤城山から風が吹き出して 風で蝶々が飛ばされる
 さあさ妙義の山時鳥 朝の草刈る目を覚ませ
 ホラギッチョンギッチョン チョンチョン
〽湧いて流れる草津の湯さえ 別れ惜しさに霧となる
 さあさ山越え谷川越えて 四方は浮世の外にある
〽赤城つつじは赤城の山に 昼の蛍は草の葉に
 さあさスキーは赤城のシャンツェ 踏んで解けない雪が降る
〽利根の河原の一本蓬 流れ流れて花咲いた
 さあさ上州は花咲くところ 川原蓬も花が咲く
〽榛名山から雲が脚出して またも伊香保に雨降らす
 さあさ前橋高崎までも ゴロリピカリと雨が来る
〽桐生伊勢崎 空の月ゃ晴れた 機場夜去りの月となる
 さあさ機場は生糸が頼り 糸は蚕の繭頼り
〽桑にゃ川霧 桜にゃ日和 山にゃ山霧 野にゃ雲雀
 さあさ二度摘み四度摘む桑の 摘めば緑の緑の芽も伸びる
〽天道様出てこの世を照らす 新田高山 国照らす
 さあさ上州は音にも響け 男伊達ならひけとらぬ

新民謡「上州よいとこ」 唄:市丸 ※レコード聴き取り
〽上州ナ 上州よいとこ出湯の名所 おぼろ湯煙り情けに濡れりゃ
 名残つきない湯の香がしみて そよろそよかぜ夢ごころ
 ソレ ヨイヨイヨイ 夢こごろ
〽上州 上州よいとこお山が招く 赤城つつじに榛名のわらび
 香る若葉の妙義の山は 谷の郭公が唄で呼ぶ 唄で呼ぶ
〽上州 上州よいとこ白ま繭黄繭 シルク娘が紡いで織れば
 海を渡った景気の波で 桑に黄金の花が咲く 花が咲く
〽上州 上州よいとこ皆の意気が さっと踊って八木節音頭
 絵傘踊れば夜更けの月に ぶんぶく茶釜が浮かれ出る 浮かれ出る

新民謡「四万の湯煙」 唄:丸山和歌子 ※レコード聴き取り
〽山奥の 煙る湯煙渓間の流れ 四万は湯どころほのぼのと
〽すんなりと 四万の娘は湯の香に育ち 浮世知らずの無垢の花
〽紅に 燃ゆる紅葉は化粧をこなし 四万の川瀬に水鏡
〽シャンコシャンコと 馬に揺られた四万への旅は 今は車でひと走り

新民謡「高崎小唄」 唄:南地久龍/淡谷のり子 ※レコード聴き取り
〽月の清水おぼろになれば 霞む神武は 雪洞ともる
 夜の帳に桜をたずね 人も頼政公園地
 アヨイトナ ヨイトナ ヨイトヨイトナ
〽廻るお堀の曲輪の内は 昔しゃ和田城 今では兵舎
 遠く旅順の高崎山に 立てた名誉の聯隊旗
〽共に手を取りすずろに行けば そよぐ烏の 夕風涼し
 上が君が代下聖石 渡る高崎夫婦橋
〽秋の日脚は観音山に 落ちて夕焼け 立田の姫御
 織るか紅葉の錦山荘は 浮世離れた別天地
〽恋の高崎小唄に更けて 流す口三味 柳川情緒
 投げる誘いに浮かれる人の 顔に五色の 灯が揺れる
〽恵比寿講には高崎来ませ 福が渦巻く 熊野の社
 汽車は四方に八高線路 かけた高崎交通網

新民謡「高崎新調」 唄:天野喜久代/朝居丸子 ※レコード聴き取り
〽西へ東へそなたの町へ 通う心は汽車の窓
 ここは高崎レールの筬は 恋の心を縦横に
〽風に吹かれて柳川小路 唄で流せば招く袖
 投げたえくぼを拾うて戻りゃ 名残り惜しそな月の影
〽熊野清水二つの腕に かけた願いが今日効いて
 繭は千貫車は重い やんれ引け引け腕かぎり
〽花の吹雪に観音山は 松もおぼろの裾模様
 夜は夜桜神武の丘へ 更けてほのかな捨て篝
〽烏川原に風吹く頃は 聖石から虹が立つ
 虹は七色だんだら絞り 染めてやりたい人がある
〽朝のラッパに見も世も晴れて のぼる旭の聯隊旗
 つきぬ勲は高崎山に 飾る錦の草紅葉

新民謡「伊香保新小唄」 唄:伊香保芸妓連
〽ハー 私ゃ伊香保のナ 私ゃ伊香保の山ほととぎす
 初音聞かせる人を待つ サッテモナ 待つのは辛いと知りながら
 ヨイトサカ サテ イヤサカサ
〽私ゃ榛名湖 私ゃ榛名湖岸辺の菖蒲
 人が知ろうが知まいが 迷うて咲くよな花じゃない
〽可愛や窓から 可愛や窓から湯槽の中も
 のぞく伊香保の山紅葉 秋には紅葉のオンパレード
〽行きも帰りも 行きも帰りもケーブルカーで
 榛名登りは二人連れ 伊香保は気晴らし温泉場
〽落ちて流りょと 落ちて流りょと鞍掛岩を
 添うて下されわしゃ渡る 伊香保で結んだ縁じゃもの
〽冬は賑わう 冬は賑わう榛名のスキー
 雪は白雪 山に降る 積もれば伊香保も銀世界
〽恥ずかしいのは 恥ずかしいのは物聞山に
 内証話をつい聞かれ 伊香保で浮名をまた流す
〽中子稲荷の 中子稲荷の桜の花は
 いつの夜の間に咲くのやら 伊香保の湯槽に香をこぼす
〽誰に逢おうと 誰に逢おうと約束したが
 伊香保湯元の花つつじ 咲いても咲いても咲きたがる
〽子無しゃ嘆くな 子無しゃ嘆くな嘆くは野暮よ
 伊香保温泉子宝湯 一人で来るより二人連れ

新民謡「桐生音頭」 唄:桐生芸妓連
〽ハー 機の起こりは ヨイヨイ 白瀧姫よ ヨイヨイヨイ
 姫は機神 チャチャッカ チャッチャカ キリハタトントン 
 蚕飼に糸とり 機織教えた セセッセッセとキリハタトントン 
 「市が立つ立つ桐生の市が 市で逢いましょ桐生の市で 
  ハーチャチャッカ チャッチャカ キリハタトントン 
〽桐生名物 横丁が途子よ どこもかしこも
 そら来た空風 内儀さん頼むよ
〽桐生よいとこ 後生楽男 とても安楽土の
 染屋の織屋の 女の天下だ 
〽桐生々々と 通うはよいが すぐに浮名の
 経糸緯糸 抜き差しゃなるまい 
〽桐生着倒れ そりゃ名が持たぬ もちはお召よ
 伊達なら着もせぬ お着もしませぬ
〽可愛いあの子に 着せたいものは 縞か絣か
 派手でもおっとり 桐生のお召だ 
〽着れば着寒い 御恩にゃならぬ 私ゃ織ります
 さらりと銘仙 帯なら黒繻子
〽お前どこ行った 祇園の晩に 山車の彫物
 四丁目の先まで 眺めて歩いた
〽元は白絹 仁田山絹よ ここで興った
 新田は義貞 源氏は白旗 
〽恵比須講なら 二十日の晩よ 買った宝は
 ヤッコラサとかついで あの子にやりましょ

新民謡「からりこ節」
〽わたしゃ伊勢崎 機場の育ち チャッカリンチャッカリン
 筬のネ とんはた テイホロテイホロ 聴き暮らす
 とんはた聴き暮らす イヤカラリコリンリン チャッカリンノセッセ
〽昔ゃ国定 長脇差よ
 今に 赤城の 空っ風 赤城の空っ風
〽山は赤城よ 妙義に榛名
 どれに 着しょうぞ 大絣 着しょうぞ大絣
〽さあさ織りましょ 思えばつまる
 筬に 杼が鳴りゃ 気が晴れる 杼が鳴りゃ気が晴れる
〽糸の二十重の 線筋よりも
 胸の ほぐれが ままならぬ ほぐれがままならぬ
〽いつか伊勢崎 見初めて染めて
 わたしゃ 心も 乱れ縞 心も乱れ縞
〽糸の経緯 主ゃ知りながら
 恋の 経緯 なぜ分けぬ 経緯なぜ分けぬ
〽華蔵寺出て見よ 妙義が晴れた
 筬の 響きで よう晴れた 響きでよう晴れた
〽こちら晴れても あちらは晴れぬ
 西の 浅間の ヨナ曇り 浅間のヨナ曇り
〽お前連取 笠松なら
 なぜに 忘れた 雨に蓑 忘れた雨に蓑

新民謡「草津小唄」 唄:藤本二三吉 ※レコード聴き取り
〽朝の湯けむり夕べの湯もや ヨイトサノサ
 草津ゃ湯の町 サーサヨイトサノ夢の町
 「ヤーレ揉んだ揉んだ ヨイトコリャセ
〽積もる思いと草津の雪は 解けるあとから 花が咲く
〽浅間おろしに木茅もなびく 草津恋しと 言うてなびく
〽時雨はらはら草津の宿で ひとり寝て聞く 湯揉み唄
〽草津恋しや白根の山の 雪の消え間の お駒草

新民謡「前橋新音頭」 唄:赤坂小梅 ※レコード聴き取り
〽星はめぐれど変わらぬものは 利根の瀬音に松の風
 こぼれ松葉もナーソレ 落ちて離れぬ色のあと
 「サッサ前橋 ヨイヨイヨイトナ
〽なびく工場の煙も恋し 糸の艶より数多い
 かわいあの娘に 怨み切る気はさらにない
〽上州前橋来てみやさんせ 繭の市塲の出盛りに
 浅間夕焼け 続く車も黄金色

新民謡「尾島小唄」
〽尾島飛行場ヨイトセノセ 利根川べりよ
 夏は涼風 アリャ月見草 ソレ飛ばすぞえ
 「のしてけのしてけあの雲までも かわいあの子の空までも グン
〽日限地蔵と 定めておいて お願掛けなら 青蓮寺 いそいそと
〽宵のおぼろに あの空見れば 桜ちらほら 触地蔵 安養寺
〽春蚕づうなる 桜はふける 赤城榛名の 遠霞 夏が来た
〽リヤカリヤカで 繭場へ詰めて リヤカリヤカで 帰るのか 今晩も
〽新田源氏よ 男はここよ 昔ゃ白旗 関八州 白い旗

新民謡「塩原もみじ小唄」 唄:章子、銀子 ※レコード聴き取り
〽秋の深さを塩原富士に アノサ 覗き込ませるもみじ谷
 「富士はもみじの中の富士 照る照る日に照る 日に照る
〽思いありげに燃え立つもみじ やるせないかや濡れかかる
 「滝はもみじの中の滝 照る照る日に照る 日に照る
〽露に色よいなよなよもみじ 岩の朝霜 解ける頃
 「岩はもみじの中の岩 照る照る日に照る 日に照る
〽見上げ見下ろす見頃のもみじ ちょいと染め合う顔と顔 
 「人はもみじの中の人 照る照る日に照る 日に照る 
〽うつつ心に明るいもみじ 夢ともつれる湯の煙 
 「宿はもみじの中の宿 照る照る日に照る 日に照る

新民謡「宇都宮小唄」 唄:根本美津子 ※レコード聴き取り
〽西は日光 東は那須湯 サテネ 宮はつれない分かれ道 分かれ道
 「サーサヨイキタ 宇都宮 宇都宮
〽着せてみせたい 都で浴衣 愛と情けの絞り染め 絞り染め
〽行こか八幡山 あの公園に 日にち毎日花だより 花だより

新民謡「宮小唄」 唄:宇都宮芸妓連 ※レコード聴き取り
〽ここは名に負う玉櫛笥 その二荒の 二荒の 神の守りの宮の町
 「誰も来てみや 寄ってみや そしてお手々を宇都宮
〽花は桜木 人は武士 その軍道に 軍道に 咲くや桜の花の雲
〽名にし大谷の観世音 その石山に 石山に かたい誓いをかけ守り
〽武士の鑑は蒲生さん さて横綱は 横綱は それよ明日の志賀の助
〽四季の眺めは八幡の その山桂 山桂 富士と筑波を両の手に
〽雲のさわりもない空に あれ照る月の 照る月の 澄むや鏡の池の水
〽聞くも哀れや求食川 あの鴛鴦の 鴛鴦の 塚に涙の語り草
〽木こそ若けれ花もみじ あの公園に 公園に やがて織り出す綾錦
〽舟で涼みを仙波の その川波に 川波に 夏を忘れる柳かげ
〽いつか数えて昔から 世に聞こえたる 聞こえたる 七木七水八つ河原
〽宮の町でも江の町は ても面白や 面白や ほんによいよい中央がよい

新民謡「栃木音頭」 唄:藤本二三吉 ※レコード聴き取り
「サーサヨイトコヨイトコヨイトコドッコイサ
 音頭とれとれヨイトコドッコイサ
〽赤い紅緒の麻裏はいて 麻の葉っぱの笛を吹く(ハイ)
 あれは野狐茂みが原に ほんに狐(ハイ)
 「提灯つけたか灯が見える(ハイ) 栃木の町まで
  サーサヨイトコヨイトコ ヨイトコドッコイドッコイドッコイサ
〽願い叶うて権現様に 月のない夜の礼詣り
 思い出すぞえ赤い手絡の あの夜さを
〽花の盛りにゃ音頭で暮らせ 浮世離れたこの土地で
 ままよ踊れよ浮名で来る日にゃ 花咲かす

新民謡「大平小唄」 唄:佐藤千夜子 ※レコード聴き取り
〽わいた雲なら田んぼの雲か わしが心にわく雲か
 さっとしぐれてカラリと晴れて 長も涙の雨となる
 「日立大平なつかし深山 恋の小鳥が巣をつくる
〽人目忍んで眉間もとかせ 恋の投げ石 届くよに
 願いかけましょ虚空蔵様よ 筑波山さえ二人連れ
〽そより春風 新芽が伸びりゃ 村の娘の気ものびる
 どうせ気ままな深山の紅葉 すぐに思いの色を増す

新民謡「足利節」
〽水道山から見る足利は 機屋繁昌の煙立つ
〽昔ながらの大日様は 七堂伽籃と武者屋敷
〽昼も静かに白石山房 逆さ水さえ流れゆく
〽前は渡良瀬織姫様は 遠く富士さえ一眺め
〽赤城筑波も左と右に 今日も足利ハイキング
〽鏡岩見りゃ空まで赤く 遠い東京の夜は映る
〽春の公園躑躅に桜 花も小枝に揃うて咲く
〽古く名高い足利学校 庭のかなふり松もよい
〽行道山越え両崖山へ 啼いて空ゆく時鳥
〽流れ見ながら渡良瀬橋を 渡りゃ川風袖に吹く
〽誰が撞くやら毘沙門様の 山に響いて鐘が鳴る
〽日本最初の足利学校 今に国宝の書籍類
〽春の公園桜の下に 八潮躑躅の花が咲く

新民謡「織姫音頭」 唄:青葉笙子 ※レコード聴き取り
〽青葉そよ風織姫山に あれさ仲良く日傘が登る
 やんれやんれと 機場娘は 機場娘は何願かける(ソレ)
〽頼む心は渡良瀬川に かけた中橋いついつまでも
 やんれやんれと 誓う誠は 誓う誠は織姫さまに
〽娘ごころを打ち込む糸の 通う杼ごとに真心こめる
 やんれやんれと 着せてやりたや 着せてやりたや足利絹を

新民謡「織姫まつり」 唄:有島通男 ※レコード聴き取り
〽神輿かついで織姫まつり
 山のヨ 神楽ばやしは 神楽ばやしは 花降らす
 トコトロリコトンカラリ トントントロリコトンカラリ
〽お稚児かわいや織姫まつり 花の 花の冠 花の冠 紅衣
〽赤い御社織姫まつり 朝の 朝の足利 朝の足利 花化粧
〽みんな揃うて織姫詣で 西に 西に東に 西に東に よい眺め

新民謡「足尾小唄」 唄:〆蝶 ※レコード聴き取り
〽足尾よいとこ河鹿の里よ ヨイヨイ 日光結構は ソラヨイ峰つづき
 「ソーレソレヨイ トコ掘れな 足尾輝く金の山
  石刀ひと打ち 掘れ惚れ小金花
〽敷の中には黄金の屏風 山は山一 世に響く
〽想い渡良瀬二人の仲も 五日荘かと 花霞
〽仰ぐ備前楯日本晴よ ほんに日本の 金蔵よ

新民謡「足尾行進曲」 唄:二村定一 ※レコード聴き取り
〽仰ぐ備前楯朝曙の空 晴れてのどかな工場の響き
 あれは製錬火を吐く溶鉱炉 男肌よい銅の色
〽日傘かざして若葉の道を 行くは柏木あのパラダイス
 みどり広々気も晴々と 休む豊潤銅蝶おどる
〽小滝小川の忙しい流れ 恋の岩淵ひとすじ通い
 遠く思いは紅葉を散らす 秋の庚申山なつかしや
〽河鹿笛吹き賑わう灯り 燃ゆる花色渡良瀬橋よ
 山はほのぼの街照る月も 丸く黄金の色に出る

新民謡「黒羽小唄(水の黒羽)」 唄:美ち奴 ※レコード聴き取り
〽水の黒羽 早瀬にさめて 月に寝られぬ
 窓に明けゆく花の城 チョイト 花の城
〽急くなひぐらし まだ日は高い
 今が釣りどき 川は那賀川鮎の川 鮎の川
〽那須の篠原 時雨が渡る
 八溝おろしか 霧に渦巻く枯れすすき 枯れすすき
〽紺の手差しに 編笠すがた
 煙草掻かや 野辺にちらちら紅だすき 紅だすき
〽朝の那賀橋 狭霧がこめて
 渡る紅帯 後姿のほのぼのと ほのぼのと

新民謡「鬼怒川音頭」
〽春は八汐よ秋来りゃ紅葉 錦鬼怒川 しんしんしんとろ お湯が湧く
 「サラサラ瀬の瀬で鳴く河鹿 サテ鬼怒川湯どころコーロコロ
〽水も思いを堰かれりゃ積もる 滝は大瀞 とんとろとろりこ 深情け
〽鬼怒と男鹿の逢瀬の岩を 飛ぶよ鶺鴒 つんつんつんつく つがい鳥
〽焦がれ松原中岩通い 渡る垂橋 ゆらゆらゆんらり 夢心地
〽川治川の湯岩根に抱かれ 聞けば早瀬の ねんねんころりよ 子守唄
〽滝は大滝わたしは見たき 逢うて話が しみじみしんみり してみたき
〽あの娘誰待つ湯上り姿 情け細かな つるつるつるりよ 絹の肌
〽別れともなやあの後朝に 肌へ絡まる やわやわやんわり 湯の煙り

新民謡「古河小唄」 唄:古河芸妓連 ※レコード聴き取り
〽小麦をさがす青空ひばり のびる猿島は金の波ヨ
 「猿島よいとこナ 猿島古河町ゃ海の町ヨ
〽私ゃ渡良瀬ぬし大利根よ のびる猿島で添いとげる
 「猿島よいとこ 猿島古河町ゃ川の町

新民謡「磯原小唄」 唄:市丸
〽天妃山から ハ東をネ 東を見れば テモヤレコラサ
 見えはしないが見えたなら あれはアメリカ チョイト合衆国
〽二つ島でも 世間を 世間をかねて
 顔を見合わせ朝夕に 離れ離れに 暮すもの
〽尾形山には 松の木 松の木ばかり
 誰を待つのか知らないが 待つはおよしよ 辛いから
〽名さえ響いた 茨城 茨城炭の
 ここは磯原海の端 山と海とで 夏知らず
〽私ゃ心は 火よりも 火よりも熱い
 来れば来るほど温泉の 湯ではなけれど 冷めやせぬ
〽川は大北 川なら 川なら海へ
 たとえ涸れても細ろとも 水の流れは 絶えやせぬ
〽上野朝出りゃ 日帰りゃ 日帰りゃ楽よ
 どうせ来るなら磯原へ 帰す帰るは あとのこと

新民謡「磯原節」 唄:磯原お鯉
〽末の松波東は海よ 吹いてくれるな潮風よ
 風に吹かれりゃ松の葉さえも オヤ こぼれ松葉になって落ちる
〽お色黒いは磯原生まれ 風に吹かれた潮風に
 鳴いてくれるな渚の千鳥 末の松波ゃ風晒し
〽潮は引き潮まだ月ゃ出ない 出れば東が白くなる
 夜明け千鳥かあの鳴く声は 便り少ない声ばかり
〽波はドンドと小磯に打てど 打つは仇波音ばかり
 風にゃ晒され波には打たれ 沖の磯石ゃ一人ぽっち

新民謡「大工町小唄」
〽水戸の大工町花揃い 梅の匂いよ桜の色よ チョイト梅桜
 姿も愛嬌も振りもよし ヨイヤサノサノ 花揃い
〽旦那横丁の春の雨 傘も差さずにあの色つばめ 色つばめ
 濡れて行くとはしおらしや 春の雨
〽朧月夜の広小路 後姿がよう似た人よ 後追えば
 邪魔な電車が自動車が 広小路
〽暗い横丁の鳥見町 柳かげから揃いの浴衣 二人連れ
 翼かわして飛んで行く 鳥見町

新民謡「大子小唄」
〽常陸大子でノーホホホイ 濡らした袖はヨ ソレソレソレ ヤンレサホイ
 水戸や湊じゃ乾きゃせぬ 乾きゃせぬ チョイチョイ
 「ヤンレ見ましょう流れの水を 川は久慈川 瀬は早瀬
  アリャセノセノセ チョイチョイ
〽春の大子は 十二所様の お庭前まで花が咲く 花が咲く
 「花なら大子の町の 愛宕山からちらちらと
〽大子見落とし 若鮎さえも 石が邪魔すりゃ瀬でとまる 瀬でとまる
 「押川急かれる水は どこで今宵は止まるやら
〽つつじ桜は 矢祭山の 松や雑木の中で咲く 中で咲く
 「恥ずかし木の葉でさえも 秋の紅葉で色がつく
〽秋は嬉しや 矢祭山に 浮世忘れて紅葉狩り 紅葉狩り
 「夏なら青葉は香り 岩に根上松ばかり
〽空の月さえ 月居山の 山の蔭から出て覗く 出て覗く
 「月さえあの袋田の 滝に見とれて出るのやら
〽八溝山から 久慈川さえも 流れ流れりゃ海に出る 海に出る
 「行きましょ男体山へ 長い久慈川一眺め

新民謡「助川節」
〽日立 コリャサ ちょいと出りゃ助川の浜はヨ ソカネ
 松に松風 波は渚をどんと打つ
 ドントドント ドントドント ドントドント ドントサ
〽白帆 ちょいと避け助川の沖を 波に打たせて 舟が行きます粋なもの
〽千鳥 ちょいと聞きゃ可愛いの声で ここは助川 波に戯れ濡れて啼く
〽今日も ちょいと吹くそよそよと風が 会瀬初崎 磯鳴小松の上越しに
〽後ろ ちょいと見りゃ懐かしいことは 山は高鈴 茅の小蔭に桔梗が咲く
〽空に ちょいと立つステムネーは日立 のぼる煙が 空を流れて雲となる

新民謡「筑波節」 唄:筑波芸妓連
〽筑波月の出 夜明けの日の出 アリャコラサ 山は遠靄うす灯り
 「ツク筑波が縁どころ
〽花は咲いても 八重には咲かぬ 私ゃ筑波の山つつじ
〽筑波街道の 北条の町で ほろり泣いたもいつじゃやら
〽雪が降るのに 筑波の山は 春の鶯笹で啼く

新民謡「筑波小唄」 唄:筑波芸妓連
〽思い懸け橋 筑波へ架けて ヨイショ アリャリャンセ
 薄い情もかけるやら ソレナントシヨ サイコドン ハトコヤンサノセ
〽男女川さえ 恋路が積もりゃ 流す浮名も淵となる
〽真壁出て見りゃ 南に筑波 逢いに行きます山越えて

新民謡「鹿島囃子」
〽鹿島神宮の宮山躑躅 花は美し赤く咲く
〽幾日経っても御手洗こそは 湧いて流れて尽きはせぬ
〽地から湧いたか不思議なものは 世にも名高い要石
〽浪逆浦から東を見れば 鹿島神宮は森蔭に
〽広い神の池水さえ澄んで 空の雲まで影映す
〽月は夜な夜な砂丘の上を 鹿島灘から出て照らす
〽鹿島灘から朝日が昇りゃ 筑波山まで夜が明ける

新民謡「潮来月夜」 唄:音丸 ※レコード聴き取り
〽利根の遥かに白帆が見えりゃ 月に潮来が 青い出島が夢と浮く
〽菖蒲咲いても帰らぬ人が なぜか恋しゅて 今日も嘆きの思案橋
〽恋の伊達巻 涙で締めて 一人寝る夜は 遠く真菰が風に鳴る

新民謡「潮来ながし」 唄:浅草染千代 ※レコード聴き取り
〽咲いた舳のいとしいあやめ それも名残か旅の夢
 乗せて流した エー 潮来の夜舟
〽赤城榛名も時雨れりゃ曇る 青い真菰のお月さま
 情けもろいと 笑わずおくれ
〽泣いて別れてちぎれの雲か 西と東に離れても
 心濡らすな 出島の灯し

流行歌「真菰月夜」 唄:音丸 ※レコード聴き取り
〽泣いて行くやらあの人は 夜風寒かろ冷たかろ
 雨に真菰もよしきりも 寂しけりゃこそ泣くものを
〽送る身よりも送らるる 夜船辛かろ寂しかろ
 風にちぎれる涙さえ 浪に消されて届くやら
〽泣くなよしきり夢にさえ 結ぶ縁はあるものを
 雨の潮来よいつまでか 晴れて逢う日は星月夜

流行歌「出島恋しや」 唄:青葉笙子 ※レコード聴き取り
〽出島見よとて川原に出たが 利根は夕霧流れも煙る
 恋しあの家のナーソレ 恋しあの家の灯は見えぬ
〽恋の櫓櫂に身を投げかけて お顔見る夜は雨でもよかろ
 逢わにゃ狭霧も 逢わにゃ狭霧も憎らしや
〽思い焦がれりゃ船頭さんの唄に 出島恋しや心が濡れる
 泣けば涙で 泣けば涙で身も濡れる
〽利根の夕霧真菰も濡れて いとし恋しと堰かれる夜は
 いつか小糠の いつか小糠の雨となる

流行歌「利根の娘さん」 唄:音丸 ※レコード聴き取り
〽月も出ぬのにくるくると 誰を待つやら水車 青い真菰の葉隠れに
 呼んでみましょか声かけましょか 利根の娘は舟の上
〽春は名もない草にさえ どこかやさしい色と艶 赤い夕日に頬染めて
 桃か桜かあやめの花か 利根の娘は器量よし
〽帰るかもめが愛しゅてか 別れ白帆が恋しゅてか 明日の日にちもある筈に
 波に揺られてしぶきに濡れて 利根の娘はもの思い
〽遠い戦場の許嫁 ひとり偲べばほのぼのと 潮来出島に月が出る
 月を眺めて小舟に揺れて 利根の娘は夢心地

流行歌「利根の夕波」 唄:青葉笙子 ※レコード聴き取り
〽棄てた情けは谷間の霧か 六十八里の瀬音を聴けば
 泣くなよしよし エー 泣くなよしよしねんねしな
〽葦の片葉の思いを乗せて 雨の利根川なみだで越えりゃ
 知らぬ他国の 知らぬ他国の灯が寂し
〽恋は気まかせ身は旅まかせ 土手はしぐれて八州は暮れて
 どこへほろほろ どこへほろほろはぐれ鳥

新民謡「大利根小唄」 唄:茨城県三業組合連
〽大利根の 水は流れる燕の鳥よ 布佐と布川が ソラ近くなるヨ
 「ちょいと見えます吊橋が アラドッコイサ あれは大利根 ソラ栄橋ヨ
〽大利根の 上り下りに白帆をかけて 唄うて川船 寝ててゆく
〽大利根の 布川金比羅様ではないが ただじゃ素通り させやせぬ
〽大利根の 布佐の大師に両手を合わせ かけた願いじゃ 無にゃせまい
〽大利根の 土手の上まで出は出てみたが 末は見知らぬ 人ばかり
〽大利根の 川の眺めを絵に描いたなら 紙の百帖じゃ なお足らぬ

新民謡「龍ヶ崎音頭」
〽今朝も別れか龍ヶ崎ゃ チョイナ 並木の松に オヤサ
 またも涙の ヤッサイ 雨が降る
〽稲穂雀か龍ヶ崎ゃ あれ見な今日も 稲とたわむれ 帰りゃせぬ
〽お月様なら龍ヶ崎ゃ 一人じゃ寝ない 可愛や夜中に 露と寝る
〽愛宕山には龍ヶ崎ゃ 桜と桜 どれが先咲く 桜やら
〽町のはずれに龍ヶ崎ゃ 出て待つからは 風が吹いても 気がもめる
〽靡け靡けと龍ヶ崎ゃ 女化狐 靡け穂に出た 尾花なら

新民謡「龍ヶ崎小唄」
〽粋なうぐいす龍ヶ崎町へ サテ 梅は咲かずも来てとまる
 逢いに来たのか私にちょいと モダン龍ヶ崎ゃリントリントサ
〽繭の出どころお米の出どこ 別れ惜しけりゃ来ぬところ
 帰しゃしないよ私はちょいと モダン龍ヶ崎ゃリントリントサ
〽富士は懐かし筑波は愛し どちら向くにも身は一つ
 困りましたよ私はちょいと モダン龍ヶ崎ゃリントリントサ
〽子安観音 悋気はおよし 二人連れでも恋じゃない
 可愛い子ゆえに私もちょいと モダン龍ヶ崎ゃリントリントサ
〽江川蛍はありゃ気が多い 日さえ暮れればそわそわと
 ほんにそうだよ私もちょいと モダン龍ヶ崎ゃリントリントサ
〽枝垂桜に色香がなくば 般若院さえ名は出ない
 捨てちゃ嫌だよ私をちょいと モダン龍ヶ崎ゃリントリントサ

新民謡「笠間ぶし」
〽主と願掛け笠間の稲荷 待てば御利益胡桃下
 「家でも蔵でもおこしでホイ 笹目の籠ならたんとたんと
〽笠間八万石胡桃の稲荷 花に実がつく葉も繁る
〽晴れて逢いましょいっそのことに お願成就のあかつきに
〽逢えば逢えたで胡桃の下に またもかけたい願がある
〽笠間お稲荷御利益まいり 嫁もござれよ子も連れよ
〽笠間々々と諸国の人が くぐる鳥居は誰が建てた
〽霞かけたよ十三峰が 中の笠間の窯場から
〽あまりのどかで出かけてみたら 様も桜の行在所
〽濡れて別れた雨降り桜 いつか霞にほのぼのと
〽お宮まわれば早や目にかかる 長い袂の藤娘
〽男持つなら大石様の 庭の柏の若緑
〽つけてやりたや卯の花つつじ お田の田植の菅笠に
〽せめてカチリと大黒石よ 小石投げましょ嫁恋し
〽いつか一度は佐白の山に 月の出るよな念晴らし
〽菊の見頃に見立てておいて あとはこなたの神まかせ
〽見たか石倉お山の風に 岩を抱寝のひとつ松
〽紅葉しぐれてつれないときは おいで笠間の窯元に
〽のぼり窯でもほのりと焼いて 朝はお返し笠間焼
〽さしのさの字はお酒のさの字 笠間さが無きゃ窯ばかり
〽横目横櫛横町の横で なんと喜楽な横車
〽タガは締めても花火の筒さ どうせ筒抜け上の空
〽細工仕上げて御造酒を詰めて ぶらり瓢箪それかつげ
〽たまに来る身が濡れよとままよ 雨も笠間もあるものか

その1 
端唄 からくり、こぼれ松葉、恋すちょう身、梅干、思いをば、ほんのりと(替唄)、田舎造り、勝ち名乗り、草も寝静む、桐の雨、住吉、されば浮世、忍ばんせ、世辞で丸めて、過ぎし夜すがら、思案半ば、しがらみ(替唄)、年増盛り、鳥影に、達磨大師、月夜がらす、辻占や、濡れてしっぽり、鳴いてくれるな、張子の寅、一言、百万石、ぴんとすねては、白扇、室町、任せたからは、待ちわびて寝るとも、待ちわびて襲い、夜の雨、お互いに知れぬ、悋気らしいが、お互いに深く、色がある、愚痴、かわい男に、紙を畳んで(替唄)、雀の子(替唄)、どうぞ叶えて(替唄)、くどいようだが、川竹(替唄)、伽羅の香り(替唄)、いとしさに、逢えば別れ、色がある、おしどり、かわいお方を(替唄)、君来ずば(替唄)、わしが思い、わしに逢いたくば(替唄)、渡る世間に、我が住家、色の名を(替唄)、かねてより(替唄)、ほんに思えば(替唄)、芸者商売(替唄)、腹の立つときゃ(替唄)、柳々(替唄)、よりを戻して(替唄)、嘘と誠(替唄)、転寝、浮気同志、水の出端(替唄)、浮名立てじ、浮世話、三日月(替唄)、紫の結び目(替唄)、徒な笑顔、姐さん本所、忍ぶ恋路(替唄)、惚れて通う(替唄)、更けて逢う夜(替唄)、短夜に、羽織隠して(替唄)、今朝の別れ、佃流し、夕暮(替唄)、青柳の糸より、男がようて、うからうから、待乳沈んで(替唄)、山谷の小舟(替唄)、土手を通るは(替唄)、粋な烏、籠の鳥、涙隠して、ぬば玉、吉原見たか、ずぼんぼや、紀伊の国(替唄)、心で帰し(替唄)、口舌して、辰巳やよいとこ、綱は上意(替唄)、王子さんへは、玉川(替唄)、西行さん、浪花の色街、ここは島原、茶屋暖簾、関の地蔵さん(替唄)、重ね扇、桜霧島、ずぼらん、背戸が畑、月の八日、富士の白酒、十二月、十二月手まり唄、春は鶯、初春、年に一度、長き夜、新玉

その2 
端唄 初音聞かして、愚痴は去年(替唄)、梅に鶯(替唄)、四方も霞、鶯、梅にも春(替唄)、待つ春、梅が主なら、御所車(替唄)、めぐる日、春の曙、春風が誘う、春風に梅が(替唄)、鶯もねぐら、梅が香、梅と松、粋な浮世、香水、香の衣、梅はもの云う、五郎、月影に(替唄)、春雨(替唄・早口春雨)、春雨に口舌、番離れぬ、春風に吹きまわされて、ささ機嫌、花のねぐら、花の曇り(替唄)、春霞、雲にかけ端、咲いた桜、桜見よとて(替唄)、八重一重、夜桜、おりてゆく(替唄)、花筏、人の謗り、葉桜、空仄暗き、むっとして(替唄)、巷々、青柳の陰に(替唄)、空や久しく、菖蒲に似たる、五月雨に池の、五月雨や空に、紫の色、紫は江戸の花、菖蒲浴衣、水に映れる、土手に飛び交う、折よくも、物言わで、梅雨の晴れ間、濡れてみたさに、止めても帰る、朝顔の露(替唄)、朝顔に釣瓶(替唄)、露の干ぬ間、その日暮らし、七夕(替唄)、夕立や田を見囲、夕立やさっと吹き来る、蝙蝠(替唄)、打ち水に、起きて見つ、岸の柳、話しらけて、一声、時鳥、髪結い新三、君は今頃、無理な首尾、身は一つ、筆の傘、川風につい(替唄)、晴れて雲間、月明り、夏の夕暮れ、上汐、川風に簾、屋根の簾、簾下ろした、初秋(替唄)、時雨ある、露は尾花(替唄)、夏過ぎて、色も香るも、鈴虫、更ける宵、嫌と飛びのく、萩桔梗中に怨み、萩桔梗中に玉章(替唄)、秋の七草(替唄)、河太郎、秋風に、薄墨、濡れぬ先から、雨の降る夜は恋しさ、雨の降る夜はしんしん、秋の夜(替唄)、秋の夜はいとど、二人が仲、晩に忍ばば、木津川、秋の景色、紅葉の橋、誰と根岸、彼野床しき(替唄)、十日戎(替唄)、都鳥、わがもの(替唄)、色の通うに(替唄)、雪の朝、雪のだるま、雪はしんしん、雪は巴(替唄)、雪折れ笹、白雪、書き送る(替唄)、駒とめて(替唄)、ほんに待つ身、夕霧、橋本、酒呑めば(替唄)、鵜飼して、小諸出て見よ、上り下り(替唄)、坂は照る照る、五万石、志賀の唐崎、松は唐崎、わしが国さ(替唄・鎌倉節)

その3 
端唄 蓬莱、宇治茶(替唄)、ここは住吉、淀の川瀬(替唄)、淀の車(替唄)、吉野山(吉野山くずし)、美吉野の、わしが在所(替唄)、京の四季(江戸の四季・伊勢の四季)、京の四季(春の眺めは)、海晏寺(替唄・海晏寺くずし)、和歌の浦(替唄)、薩摩さ、岡崎女郎衆、銀のびらびらかんざし、とんがらし、ぶらり、船に船頭、からかさ(鹿児島三下り)、浜節、騒ぎ、ほんかいな(無理かいな)、竹になりたや(替唄)、花扇、雁と燕、いろは、恋慕、獅子、そよそよ風(猿丸大夫・笠づくし)、槍錆(替唄・字余り)、矢矧の橋、野暮な屋敷、心中づくし(繁昌づくし・酒宴づくし)、夕桐節、小野道風、与三郎、お染久松、お夏清十郎、桂川、お伊勢参り(替唄)、紙屋治兵衛、菅相丞(替唄)、勧進帳、三つの車、源氏車、源氏侍、金時、小町思えば、肩車、与作思えば、与作丹波、桃太郎、蟹殿、松づくし(替唄)、鶴亀、高砂、京鹿子、芝垣、花匂う
組唄 片撥、葛の葉、忍び、下総ほそり
舞踊小唄 愛馬雪月花、筏乗り、埋火、浦漕ぐ舟、扇かざして、お染、お伝情史、お夏、踊る弥次喜多、松魚富士、神楽面、勝鬨三番叟、吉三節分、寿三番、河童、子守、桜禿、七五三

その4
舞踊小唄 助六、伊達奴、峠、浜松屋、春雨傘、初出姿、牡丹隈、三輪の里、娘道成寺、紅葉、弥次喜多狐、与三郎小唄、両国夜景
流行小唄 かっぽれ、奴さん(奴さんかっぽれ)、深川(深川くずし)、六段くずし、伊勢音頭(騒ぎ・騒ぎ字余り・ヤートコセ・ヨンヤソレ)、万歳くずし、木遣くずし大津絵節(ものはづくし・雑・梅川・お半長右衛門・お雪吉三・葛葉の子別れ・仮名手本忠臣蔵1・仮名手本忠臣蔵2・菅原伝授手習鑑・荒木又右衛門・石川五衛門・一谷嫩軍記・淀川下り・鹿児島大津絵・土佐の町づくし)、越後獅子(五段返し・浅草詣り・大阪名所・関西港町)、節季候節、潮来節(旧調1・旧調2・音頭・甚句

その5 
流行小唄 よしこの節(字余りよしこの・早口よしこの・間違い節・都々逸1・都々逸2・字余り都々逸・二上り都々逸・吉原都々逸・芝都々逸)、茄子と南瓜(足りないだらけ)、小倉いたこ、浅くとも(有明節)、菊三節、イヨコノ節(五尺節・舟橋節・サイノコ節)、よしよし節(替唄)、招き節、よろこび節、源五兵衛節(源五兵衛くずし)、古今節、四季色の世界節、浮気節、下関節、加賀節、ノンヤホ節(ノンヤホくずし)、二上り新内(二上りくずし・こつこつ節)、大文字かぼちゃ(十二月・三つ合せ)、ないかいな節、分きて節、申し上げます節、新吉原節、裏の背戸屋、三鼓節、戻り橋、長き夜節、紫暮らすえ節、三朝節、いよさかすのしょて気はサンザ節(旧調・旧調字余り・新調・岳の信太郎さん)、豊国節、ドンドと鳴るのは節、とっちりとん

その6 
流行小唄 投げ節、元禄節、ヤンレサホイ(字余り・変調)、フイトサ節、どっこいしょ節(変調・新京の四季・春は嬉しや・通わしゃんせ・名所節)、わが恋三下り(その1・その2・騒ぎ)、よいわいな節、勇み節、いなせ節、豊年やるせがないわいな節、さわりくずし(その1・その2)、御所のお庭、金平したりや節、逢いたさ節、しょうなら節、こちゃえ節(旧調・新調・お江戸日本橋・尾鷲の道中唄・ピヨピヨ節・こちゃ構やせぬ節・にこにこ節)、やだちゅう節(ぶらぶら節)、四季くずし(江戸・浪花・博多)、大きにお世話エ節、四季の縁(替唄)、世の中よござんしょ節、世の中おもしろ節、よふき節、ヨホン節、よろこび節、よいじゃないかえ節、ヤッチョロマカセ節、オッチョコチョイ節(猫じゃ猫じゃ・とらとら・コリャコリャ節・三階節・字余り三階節・しげさ節・なぜまま節・字余りなぜまま・尾鷲節)

その7 
流行小唄 かんちろりん(変調・かんちょろりん・八丈島のかんちろりん)、ションガエ節(旧調1・旧調2・旧調3・旧調4・新調・梅は咲いたか)、ドンドン節(高い山・ドンドン節旧調・ドンドン節新調・新時代節・東雲節・柳節・丹後の宮津・名所々々・字余り名所々々・肥後節・土佐なまり)、本調子甚句(名古屋甚句・隠岐の相撲取り唄・熊本甚句・オーシャリ節・金来節・波乗り甚句)、二上り甚句(字余り・角力甚句・樵くずし・のんのこ節・二上りさんこ・太政官節・木更津甚句・下ノ江節・安房節・三崎甚句・下田節)、運動甚句、ぎっちょんちょん、わしほど因果な、都節(その1・その2)、ヤトトン節、ヤレコリャ節、これはちょいと節、こんにゃく玉、コイコイ節、気まま節(新きまま節)、南瓜踊り、一つとせ節(鉄砲伝来・大漁節)、何とも言わず節、ヘラヘラ節、ヘラヘラ拳、振ったね節、ヒヤヒヤ節、パーパー節、バイトコズイズイ節、呆れるね節

その8 
流行小唄 開帳拳節、サイサイ節(その1・その2)、サイコドン節、さっさこれこれ節、ずんべら節、お医者お医者、乙だね節、さんさ節、そうだんべい節、かもめ節、推量節、スタタ節、淡海節(浮気節・左様か節・成金節・漁師節・二上り鬢ほつ)、トンヤレ節(その1・その2・その3)、できますものかいな節、棚のだるまさん、トコショイ節、トコホイ節、チャカポカ節、チョイトチョイト節、チョンキナ節、びんほつ(びんほつくずし・陽気節)、おもしろや節、合羽屋、大盃、びんごえ節、越後の国、かんかんのう(梅ヶ枝節・べろべろの神様)、よしかいな節、さのさ節(三下りさのさ・何だ何だ節・新さのさ・鴨緑江節・新鴨緑江節・書生さん・薩摩さのさ・五島さのさ・二上りさのさ・紫節・新法界節・レールエ節・博多踊り・辛いね節)、茶の子節、謎唄、金毘羅船々、薩摩踊り、コリャサ節、よさこい節(鹿児島よさこい・土佐よさこい)、エンヤラヤ(富山節・平戸節・あんこ節)、鹿児島節、有馬節

その9 
流行小唄 新保広大寺節(広大寺節1・広大寺節2・広大寺くずし・神楽広大寺・殿さ節1・殿さ節2・殿さ節3・どっさり節・字余りどっさり節)、立山節(新立山節)、伊予節(四季の遊び)、キンニャモニャ(キンニョムニョ)、長崎節、浪花さっくり節、伊香保節、若狭節、浪花名所、ハットセ節(その1・その2)、おいとこ節、琉球節(新琉球節・字余り新琉球節)、木曾節、御嶽節(伊那節・伊那節かっぽれくずし・木曾へ木曾へ)、ラッパ節(旧調・新調・早口ラッパ節・すまないね節・新ラッパ節・大正節奈良丸くずし・青島節旧調・青島節新調・炭坑節)、真っ黒け節(ヤッコラヤノヤ節)、ストトン節(新ストトン節)、ハイカラ節(自転車節)、なるほど節、何て間がいい節、オヤマカチャンリン節(越後いたこ)、東京節、注意節、帽子片手に、磯節(大洗甚句・変調・磯節追分くずし・新磯節・飛行機節・燕節)

その10 
流行小唄 出雲節(仙台節・船方節・さんこ節・安来節1・安来節2・安来拳)、関の五本松(変調・新関の五本松1・新関の五本松2・五本松くずし・よしよし節)、米山甚句(変調・字余り・新米山節・米山くずし)、串本節(旧調1・旧調2・新調)、博多節(旧調・旧調字余り・新調)、おわら節(越中おわら1・越中おわら2・越中おわら3・越中おわら4・越中おわら5・津軽小原・津軽小原函館大火)、桑名の殿様、篠山節(デカンショ節1・デカンショ節2・後藤節)、三国節(その1・その2)、おばこ節(山形おばこ・秋田おばこ・新おばこ)、豪傑節(新豪傑節・隊長さん節)、追分節(松前節・越後追分・隠岐追分・本匠追分・信濃追分)、福知山音頭、新ドンドン節、アノネソカネ節、初対面節

その11 
流行小唄 よほん節、ありがたい節、おやおや節、ヤレコリャ節、隆斉節、復興節(困ったね節・帰ろ節)、大工さん、認定戸籍改節、なさぬ仲節、ないしょ節、ほどのよさ、勉強せえ節、ほんだよ節、ショクリショ節、サーヤレ節、三国富士節、宮島節(エッサッサ節・エッサエッサ節)、おんこと、ぼんち可愛や、ネッチョン節、山中節(その1・その2)、草津節(チョイナ節・チョイナ節米若くずし・ヨホホイ節、ハイヤ節(鹿児島ハンヤ・呼子はいや・アイヤエ・おけさ節・おけさ米若くずし・新おけさ・新おけさ米若くずし・新潟おけさ)、かっちり節、キンキラキン(キンキラキンくずし)、お影まいり、世去れ節(南部よしゃれ)、ポンポコニャ、伊香保音頭、新庄節、新宮節、たんと節、ダンチョネ節、お安くない節、御大典節、大島節(古調・新調・新調字余り・変調・変調字余り・大島節虎造くずし)、小原良節(小原良節かっぽれくずし)、浜唄(その1・その2)、からめ節、昭和節、会津磐梯山、黒田武士

その12 
新小唄 赤城の唄、仇討禁止令の唄、糸屋の娘、浮名くずし、唄の弥次喜多、お菊の唄、お夏清十郎、祇園ながし、北山時雨、京の夢大阪の夢、源太しぐれ、五月雨傘、三人吉三の唄、十三夜、十七島田、知らなきゃ恥だよ本当だよ、しんとろとろり、すみだ川、そんなお方があったなら、旅笠しぐれ、月は宵から、千鳥格子(みだれ髪)、徳利の別れ(赤垣源蔵の唄)、夏は嬉しや、波まくら、野崎小唄、ほっとけ節、ほんとに嬉しい、むらさき小唄、もしも気侭に、モダーンかっぽれ、廻り燈籠、雪の渡り鳥、夜半の鐘(追分くずし)、恋慕草紙

新小唄「赤城の唄」
☆水の流れと諦めながら いつか情けも薄月夜 エー薄月夜
☆お山つつじよ曇らば曇れ どうせ浮世は根無草 根無草
☆昔恋しい三日月さまも 落ちりゃ涙の黄楊の櫛 黄楊の櫛
☆空は晴れても浮名は晴れぬ 憎や赤城は霧隠れ 霧隠れ

新小唄「仇討禁止令の唄」
☆鐘は鳴る鳴る夜明けの鐘が 旧き習は消ゆれども
 消えぬ怨みは仇討つ人の 憎や仇討 エー禁止令
☆御国思えば縁も恋も 恋の命も惜しまねど
 さすが哀しや勤王襷 泣いて人斬る この心
☆恋のしがらみ涙で絶てど 義理の枷杭詮もなし
 ままよ一度は棄てたるこの身 棄てて二つの 誠立て

新小唄「糸屋の娘」
☆見たか聞いたか糸屋の娘 恋を知るころ悩むころ
☆ほんに気になるあの薄化粧 誰に思いをかけるやら
☆今日も通るよ糸屋の娘 紅緒のぽっくり鈴が鳴る

新小唄「浮名くずし」
☆冴えたお前の音締ゆえ 末は女房になりたいと
 願をかけたも私から ほんに女子は悪性もの
☆好きな勝負や茶碗酒 止めて私が投げ島田
 更けりゃ泣けます三の糸 ほんに女子は悪性もの
☆永の別れのこの宵に 主の音締をしみじみと
 聴いて行きたやあの世まで ほんに女子は悪性もの

新小唄「唄の弥次喜多」
☆弥次さん喜多さん来てみれば 川を拝んで泣いてる女
 「おいおい弥次さん身投げだよ
 「それは気の毒助けよう、ちょいと待ちなせおかみさん
 死んで花実が咲くものか
 「何をするのさトンチキね、そこをお離し嫌な人、勘違いしちゃ困るわよ
 これは歯痛の呪いよ アハハハハハハこりゃおかし
 これは歯痛の呪いよ

新小唄「お菊の唄」
☆一枚数えてひとしずく 二枚数えてふたしずく
 お皿に怨みの数々を 九枚数えてまた涙
 「お菊哀しや ええ、お皿が一枚なくなった
☆ちろり時雨の降る宵は 哀れお菊の声がする
 お皿に怨みの数々を 泣いて数えるあの声が
 「お菊哀しや ええ、なくしたお皿を出しとくれ
☆仮令どのよに責めらりょと 嫌な殿御になびかりょか
 お皿に怨みの数々を 泣いて散りますお菊井戸
 「お菊哀しや ええ、お皿が一枚足らぬゆえ

新小唄「お夏清十郎」
☆かわいお夏を小舟に乗せて 花の清十郎に焦がせたや
 春は夜明けの ソレ 焦がれ潮
☆向こう通るは清十郎じゃないか 笠がよう似た菅笠が
 なぜに恋しい 顔隠す
☆清十郎殺さばお夏も殺せ 生きて思いをさしょよりも
 なまじ情けが 仇となる

新小唄「祇園流し」
☆艶姿 宵は祇園の花の雨 都踊の振袖に
 秘めて 秘めて一夜の濡れ燕
 「忘れまいぞえ京なまり ほんにえ
☆髪飾り 花はなでしこ京の紅 初心な蛍に誘われて
 夜宮 夜宮逢瀬の塗木裏
 「忘れまいぞえ京なまり ほんにえ
☆箏囃子 待てど来ぬ夜の辻占は 目ン無い千鳥も散り散りに
 明けて 明けて涙の懸想文
 「忘れまいぞえ京なまり ほんにえ

新小唄「北山時雨」
☆更けて灯陰に エー背中と背中 帰しゃ思い寝 帰さにゃ浮き寝
 覚めた思案に北山時雨 思い直せと泣いて降る
☆離れ小窓に エー影と影 会えば別れの 会わねば夢の
 未練話に北山時雨 音も侘しく焦がれ降る
☆もやい蛇の目に エー肩と肩 寄れば心に 寄らねば袖に
 濡れてかかるよ北山時雨 糸にもつれてこぼれ降る

新小唄「京の夢、大阪の夢」
☆春はおぼろにだらりの夢に 色は匂えど散りぬるを
 忍ぶ夜のその人通り 忘れられない京の夢
 「ほんにそうどす、そうどすえ ほんにそうどす、そうどすえ
☆行こか戻ろか南か北か 色は匂えど散りぬるを
 紅も愛嬌に浪花の夜は 更けてトロリと夢を見る
 「ほんまだっせ、そうだっせ ほんまだっせ、そうだっせ
☆恋の先斗町 身も夜も迫る 色は匂えど散りぬるを
 別れ悲しや川原の水に 涙流した京の夢
 「ほんにそうどす、そうどすえ ほんにそうどす、そうどすえ
☆一夜咲いても桜は桜 色は匂えど散りぬるを
 浪花夢見るこの花あかり 春が来た来た春が来た
 「ほんまだっせ、そうだっせ ほんまだっせ、そうだっせ

新小唄「源太しぐれ」
☆パラリパラリと時雨がそそぐ 恋と情けの振り分け荷物
 どちら濡れても立つ瀬がなかろ
 「わしが思いは磯打つ波よ 何はなくとも絶えやせぬ
  何はネ なくともイソ 絶えやせぬ
☆転ぶたんびの一転地六 地獄極楽となりに持ちて
 磯の源太が鼻唄聞けば
 「磯で名所は大洗様よ 松が見えますほのぼのと
  松がネ 見えますイソ ほのぼのと

新小唄「五月雨傘」
☆カラリコロリと浮いたか噂 蛇の目隠れの下駄の音
 稽古帰りか口三味線を 憎や燕がそっと覗く そっと覗く
☆容姿のよいのは緑の柳 なびくそぶりの糸切歯
 誘いかけたい月雨傘に 入れてあげたい人もあろ 人もあろ
☆誰に気兼ねを下町育ち 一人娘の黄八丈
 鬢の笄落ちよとままよ 思いひとすじ銀の雨 銀の雨

新小唄「三人吉三の唄」
☆月も朧に白魚の 篝も霞む隅田川 思いがけない百両に
 落ちた夜鷹は厄落とし 縁起がよいじゃあ ないかいな
☆駕籠にゆられてとろとろと 小判の夢か宝船 金と聞いては見逃せぬ
 取らぬ昔と諦めて さらりと貸しちゃあ くれめえか
☆とけぬ氷の川端に 白刃も踊る剣舞 いかに血の気が多いとて
 下手な八卦は一大事 おいらに任せて くんなせえ

新小唄「十三夜」
☆河岸の柳のゆきずりに ふと見合わせる顔と顔
 立ち止まり 懐かしいやら嬉しやら 青い月夜の十三夜
☆夢の昔よ別れては 面影ばかり遠い人
 話すにも 何から話す振袖を 抱いて泣きたい十三夜
☆空を千鳥が飛んでいる 今更泣いて何としょう
 さよならと こよない言葉かけました 青い月夜の十三夜 

新小唄「十七島田」
☆月の出汐と十七島田 チョイトネ なぜか心もほのぼのと
 浜のネ 浜の噂で ヤレ 気が揉める
☆沖の鴎に浴衣に染めて いつも白帆がちらちらと
 待てば 待てば焦がるる 焦がれます
☆吹くな波風なぶるな夜風 わしも十七チャラチャラと
 誰に 誰に見しょとの 紅たもと

新小唄「知らなきゃ恥だよ本当だよ」
☆さあさ急ぎのお方でも 聞いてお帰り瓦版
 夕べ山崎街道で 世にも稀なる大事件
 「知らなきゃ恥だよ本当だよ
☆アイヤこれから本文じゃ 元は浅野の家来にて
 悪の親玉定九郎が 金が欲しさに悪だくみ
 「知らなきゃ恥だよ本当だよ
☆さげた提灯ぶらぶらと そこへ来かかる与市兵衛
 首にかけたる財布には お軽身売りの五十両
 「知らなきゃ恥だよ本当だよ
☆それに目をつけ定九郎が 金をこっちに渡さぬか
 もしも嫌だと言うならば あとの文句はこの刀
 「知らなきゃ恥だよ本当だよ
☆さあさお後の結末は 勘平撃ち出す二つ弾
 悪が滅びる経緯を 買って読め読め瓦版
 「知らなきゃ恥だよ本当だよ

新小唄「しんとろとろり」
☆お月さまでもあるまいし 見れば見るほど美しい 女泣かせの優男
 「ヤーレしんとろとろりのノホホイ
☆逢えて嬉しいひとときは 熱いお酒にかこつけて 色もほんのりおぼろ月
☆夢に見るよじゃまだ浅い 忘れねばこそ夢に見ぬ いつか寂しい明けの月

新小唄「すみだ川」
☆銀杏がえしに黒繻子かけて 泣いて別れたすみだ川
 思い出します観音様の 秋の日暮れの鐘の声
「ああ、そうだったわね、あなたが二十、私が十七のときよ
 いつも清元のお稽古から帰ってくると、あなたは竹屋の渡し場で
 待っていてくれたわね、そうして二人の姿が水に映るのを眺めながら
 にっこり笑って寂しく別れた、ほんとに儚い恋だったわね
☆娘ごころの仲見世歩く 初春を待つ夜の年の市
 更けりゃ泣けます今戸の空に 幼馴染のお月さま
「あれから私が芸者に出たものだから、あなたは会ってくれないし
 いつも観音様にお参りするたびに、懐かしいすみだのほとりを歩きながら
 一人で泣いていたの、でも、もう泣きますまい
 恋しい、恋しいと思っていた初恋のあなたに逢えたんですもの
 今年はきっと、きっと嬉しい初春を迎えますわ
☆都鳥さえ一羽じゃ飛ばぬ 昔恋しい水の面
 逢えばとけます涙の胸に 河岸の柳も初春の雪

新小唄「そんなお方があったなら」
☆風は柳に鳥は木に その日その夜の出来心
 浮いて浮かれた人の世に 色も常盤の男松 そんなお方があったなら
☆桜ばかりが花じゃない お顔ばかりが人じゃない
 秘めた女の真心を たずねたずねて旅枕 そんなお方があったなら
☆星の青空 月の夜は 泣いて笑ってなぐさめて
 昔語りもしみじみと 明けりゃ振り分け共苦労 そんなお方があったなら

新小唄「旅笠しぐれ」
☆赤いたすきの娘の唄を 聴けば松葉の刺すような 涙まじりの雨となる
☆泊り重ねて情けに明けりゃ 家並々々もうるわしや 朝は朝露夜は夜露
☆松の並木の木漏れ日あびて 旅の疲れもいつしかに 夜の星かや憂い星

新小唄「月は宵から」
☆月は 宵からトロリと濡れて 恋の小窓に泣いてやら
 エーサとろりと泣いてやら
☆月は 雲間にほんのり見せて 恋の小路を照らしてか
 エーサほんのり照らしてか
☆月は 夜明けにほろろととけて 思い出させて消えてゆく
 エーサしらじら消えてゆく

新小唄「千鳥格子(みだれ髪)」
☆みだれ髪 みだれ髪 あだな姿のこの吹雪
 おぼろおぼろの降る雪に 路地の細道 格子縞
☆川風に 川風に やせる未練のあの千鳥
 いとしいとしと鳴く夜さは 肌に冷たき緋縮緬
☆降る雪に 降る雪に 更けて待てども風の音
 うつらうつらと忍び寝に 歌を思いを口うつし

新小唄「徳利の別れ(赤垣源蔵の唄)」
☆さげた徳利をなでながら 仇を討つ日はいつのこと
 明日は明日はで酔うて寝りゃ 夢で兄者がまた叱る
☆右の一足唄で出し あとの一足泣いて踏む
 酔うた酔うたの千鳥足 流す涙を誰か知る
☆叱る兄者の心より 聞かぬそぶりの身が辛い
 せめてひとこと言いたいが ままにならない武士の道
☆やがて時来りゃ優曇華の 花もひとりで咲くであろ
 徳利枕にそれまでは しばし転寝高いびき

新小唄「夏は嬉しや」
☆夏は嬉しや屋形の舟にヨ そえて流れる唄の節
 島田が見えたり隠れたり 隠れたり ヨイヨイヨイ
☆人の噂はうちわでよけて 恋の夜道を二人連れ
 焦がれて蛍が後を追う 後を追う
☆夏は嬉しや踊りの輪から 二人ずつ出る影法師
 お月さん遠慮で雲隠れ 雲隠れ
☆岸の柳の色香をたずね 濡れて燕が飛んで来る
 私が待つのは鳥じゃない 鳥じゃない

新小唄「波まくら」
☆あなた帆まかせ わしゃ波まかせ
 逢いに来いとは風まかせ 風まかせ トカヨ ノホホイ
☆出船止めたや あの西風は 七日七夜も吹けばよい 吹けばよい
☆波は寄る寄る かもめは帰る 遠い故郷のあかね雲 あかね雲
☆末はマカオか スマトラジャバか 知らぬ他国の月となる 月となる

新小唄「野崎小唄」
☆野崎参りは屋形舟で参ろ どこを向いても菜の花ざかり
 粋な日傘にゃ蝶々もとまる 呼んでみようか土手の人
☆野崎参りは屋形舟で参ろ お染久松せつない恋に
 残る紅梅久作屋敷 今も濡らすか春の雨
☆野崎参りは屋形舟で参ろ 音に聞こえた観音ござる
 お願かけよか打たりょか滝に 滝は白絹法の水

新小唄「ほっとけ節」
☆こちら向け向け起き上がり小法師 足はないとて悔やみなさるな
 男気で持て気負いでなしゃれ 泣くも転ぶも 腕次第
 「男は気で持て景気は目の前 取り越し苦労は捨てとけほっとけ
☆矢でも弾でも何でもござれ 地震も戦もにわかに勝った
 不景気くらいが何怖かろう 度胸試しか 運次第
 「男は気で持て景気は目の前 取り越し苦労は捨てとけほっとけ
☆ぐいと呑め呑め あおってかかれ かけりゃないまま度胸が光る
 度胸と気合に果報が光る 果報男の 腕次第
 「男は気で持て景気は目の前 取り越し苦労は捨てとけほっとけ
☆何をくよくよ川端柳 しおれ姿はしおれて映る
 柳々で苦労するが浮世 映る流れは 水次第
 「男は気で持て景気は目の前 取り越し苦労は捨てとけほっとけ
☆芽を出せ芽を出せ浜辺の柳 風の間に間に踊れよ青葉
 踊りゃ芽も出る葉も繁る 繁る柳 は風次第
 「男は気で持て景気は目の前 取り越し苦労は捨てとけほっとけ
☆泣くななびくな浮世は鏡 泣いて向かえば涙で曇る
 笑や笑顔の花が咲く 渡る浮世 は俺次第
 「男は気で持て景気は目の前 取り越し苦労は捨てとけほっとけ

新小唄「ほんとに涼しい」
☆二人揃うて絞りの浴衣 焦がるるナントショ
 涼む月夜で橋の上 涼みゃ涼しい ジツほんとにね お月さま
☆庭へ打ち水 夕顔咲いて 焦がるるナントショ
 いっそう夜風が身に染みて 涼みゃ涼しい ジツほんとにね 蚊帳の月
☆柳がくれの新内流し 焦がるるナントショ
 涼む小窓へ恋の唄 涼みゃ涼しい ジツほんとにね 撥さばき

新小唄「むらさき小唄」
☆流す涙がおしろいならば 何の苦労もあるまいに
 濡れて燕のなく声は あわれ浮名の女形
☆好いちゃいけない好かれちゃならぬ 仇な一夜の浮気舟
 乗せて流れていつまでか 忍び逢うのも恋じゃない
☆嘘か誠かにせむらさきか 男ごころを誰か知る
 散るも散らすも人の世の いのち寂しやうす牡丹

新小唄「もしも気侭に」
☆もしも気侭になるならば たとえ十日が一夜でも
 赤い手絡でちょいと恥ずかしく あなたあなたと呼んでみたや
☆もしも気侭になるならば 見たい逢いたい恋の夜は
 鐘の合図でちょいと忍び合い 嬉し嬉しと泣いてみたや
☆もしも気侭になるならば 思い焦がれた二人仲
 晴れて叶うてちょいと水入らず いとしいとしと暮らしたや

新小唄「モダーンかっぽれ」
「かっぽれかっぽれ ダンスでかっぽれ カフェーでかっぽれ
 ヨイトナ ヨイヨイ
☆ダンス中学 イロハのイの字 ヨイヨイ
 カフェー大学 ロックで終えて 銀座柳と洒落てはみたが
 燗のなる木は はて見つからぬ 見つからぬ
「かっぽれかっぽれ ビールでかっぽれ お酒でかっぽれ
☆呑めばため息 呑まぬと寝るが
 軽い財布のため涙 ままよドライブ ダンサーと行けば
 とんだ不貞婦 あれ足が出た 足が出た
「かっぽれかっぽれ あなたでかっぽれ あたしでかっぽれ
☆あなたご無事か 恋しい笑顔
 お声聞かせてお姿見せて 身まま気ままにならない謎は
 思わせぶりな あれテレビジョン テレビジョン

新小唄「廻り燈籠」
☆暮れて人目を忍ぶの垣に 思いひとすじ増すものを
 「廻り燈籠のくるくるくると いつもお上手うそばかり
☆泣くが無理かよ泣かすが無理か 咲いて愛しや恋の花
 「廻り燈籠のくるくるくると いつもお上手うそばかり
☆泣いて見上げりゃ月さえ暗い まして心はなお暗い
 「廻り燈籠のくるくるくると いつもお上手うそばかり
☆謎をかけかけ咲かせておいて 咲けば一人で泣けとやら
 「廻り燈籠のくるくるくると いつもお上手うそばかり

新小唄「雪の渡り鳥」
☆荒い潮風下田の海で 度胸鍛えた男伊達
 恋に破れてアノ泣いたとて 腕の筋金鈍りゃせぬ
☆花に嵐の寝刃を研いで 鬼になろうか蛇になろか
 思い直して唇噛んで またたび草鞋のやるせなや
☆あの世この世の二重の帯に かけた情けや義理の数
 行こか天国落ちよか地獄 一度死んだら二度死なぬ
☆ざんざ降る雪真っ赤に染めて 罪の重荷は身ひとつに
 送らる者も見送る人も ぬぐう涙の雪の朝

新小唄「夜半の鐘(追分くずし)」
☆鐘が鳴るのに夜中の鐘が こうこうと なぜか聞こえぬ片だより
☆夢になりとも逢いたいものを しみじみと なぜか今夜も目が冴える
☆憎い仕打ちと泣いてるくせに さめざめと なぜか片とき忘れられぬ

新小唄「恋慕草紙」
☆お顔見たさに忍んで来たが
 月の出端で 月の出端で エー恥ずかしや
 ソコスッチャン チャラリコソーヨ ソコスッチャン チャラリコソーヨ
☆思い切る気はさらさらないが
 今日のそぶりは 今日のそぶりは 気にかかる
☆あまり邪険に言わずにおくれ
 伊達に涙が 伊達に涙が 出るものか
☆かわいかわいとおだてて褒めて
 好きにさしたは 好きにさしたは 誰かいな

流行小唄「よほん節」
☆誘う嵐に散りゆく花の ヨホンヨホンヨホンエ ヨホンヨホンエ
 せめてしばしは 香がかり袖には残れ
 ヨホンヨホンヨホンエ ヨホンヨホンエ
☆軒の橘枕にかかる 小夜の寝覚めに 言訪う山ほととぎす

流行小唄「ありがたい節」
☆ありがたいぞえ成田の不動 ノホヨホエ これもご利益 ノホヨホエ
 「のうまくさんまんだ ばさらだん せんだん
  まかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん
☆ありがたいぞえ身延のお山 これもご御利益
 「南無妙法蓮華経 南無妙法蓮華経
☆ありがたいぞえ清水様は これもご利益
 「松風や 音羽の滝は 清水の
☆ありがたいぞえ弘法様は これもご利益
 「おんあぼきゃあ べえろしゃなあ まかもだら
  まにはんどせ じんぱら はらはりたや
☆ありがたいぞえ金神様は これもご利益
 「天地神の大御神様 教祖金光大神様
☆ありがたいぞえ天理王の尊 これもご利益
 「悪しき払うて助けたまえ 天理王の尊

流行小唄「おやおや節」
※大正半ばに関西で流行したが、あまり長続きしなかった。
☆エー エーエー 身は衣 数珠を片手に和尚様 朝な夕なに鉦いじり
 南無阿弥陀仏阿弥陀仏 夜は酢蛸で大浮かれ オヤ オヤオヤオヤ
☆小夜更けて 意気な座敷の四畳半 好いたお客に手折られて
 お酒を飲んで金貰うて ふっと気がつきゃ夢かいな
☆小夜更けて 意気な座敷の四畳半 膝にもたれた高島田
 やいのやいのを決められて 目をば開けたら夢かいな
☆そこ行くは 花ちゃんかいなどちらまで 問えども先じゃ知らぬ顔
 こんな筈ではなかったと よく見りや男と二人づれ
☆たまげたよ 電車の中から煙が出る さては故障か焼打か
 見れば片えのひさし髪 提げた包に湯気が立つ
☆親父さん 今日は彼岸の寺参り 息子は店の用足しと
 別れ別れに出た二人 茶屋の廊下で顔と顔
☆ひさし髪 海老茶袴に靴履いて 本を抱えた女学生
 おぼこ娘は表向き 下に結んだ岩田帯
☆口に髭 身にはフロック高帽子 葉巻くわえた大紳士
 自動車乗りは立派だが 実はお宅は火の車
☆緋の袴 白衣千早のお巫女さん 朝な夕なに神詣で
 あなあなかしこあなかしこ 夜は島田であらちょいと
☆真夜中に ミシリミシリと屋根で音 さてはジゴマか五右衛門か
 ビクビクながら出てみれば 上じゃ三毛めが痴話狂い
☆汽車の中 意気な女子とただ二人 マッチ一つが縁となり
 燃ゆる思いを打ち明ける 暇にすられた金時計
☆電車中 ハイカラ美人と乗り合わし 腰をかけたはよかったが
 あまり見とれてうかうかと 降りるところを乗り越した

流行小唄「ヤレコリャ節」 
☆今年ゃ世の中 よい出来秋はノ 五穀もどっさり ヤレコリャ大下がり 
 「ぐいぐいぐい オーサ オーサ しんぐいぐい 
☆そそる度ごと下駄の歯が欠ける こんな腐れな 路地はない 
 「しんぐいぐい しんぐいぐい 
☆ゆうべ三人 今宵も四人 回す夜毎に可愛い男にゃ おいそれじゃ 
 「しんぐいぐい しんぐいぐい 
☆ひいき薪水こま蔵に男女蔵 芸も市川 団蔵は 
 「しんぐいぐい しんくだり 
☆新地女郎衆が釣舟借りて 客の鼻毛を 釣りに出る 
 「しんぐいぐい しんぐいぐい 
☆向こう通は与市兵衛じゃないか 縞の財布の中のお金が 気にかかる 
 「しんぐいぐい しんぐいぐい 
☆イロにはまって布子も袷も 合羽も羽織も夜着も布団も みないらぬ 
 「しんぐいぐい しんぐいぐい 
☆女芸者衆が勇みの形で 獅子の俄の 木遣唄 
 「しんぐいぐい しんぐいぐい 
☆あわや上総の情なし夫婦 浮気くらべの よそ歩き 
 「しんぐいぐい しんぐいぐい

流行小唄「隆斉節」
☆そうした邪見と初手から知れば こうした苦労はしやせまい
 「チリップ チャラップ アップク チキリキ アッパッパー
  リュウセイ リュウセイ アップク チキリキヤー
☆義理と人情の峠を越せば これから出雲へ何里ある

流行小唄「復興節」
☆うちは焼けても江戸っ子の 意気は消えない見ておくれ
 「あらま おやま たちまち並んだバラックに 夜は寝ながら
  お月さん眺めてええぞええぞ 帝都復興ええぞええぞ
☆田舎の父さんお見舞いに やって来て蒲田でびっくり仰天し
 「あらま おやま すっかり焼けたと聞いてきたが 焼けたやら焼けねやら
  どちらを向いても屋根ばかり 帝都復興ええぞええぞ
☆かかあが亭主に言うようは お前さんしっかりしておくれ
 「あらま おやま 今川焼さえ復興焼と 改名してるじゃないか
  お前さんもしっかりしてええぞええぞ 帝都復興ええぞええぞ
☆騒ぎの最中に生まれた子供 つけた名前が震太郎
 「あらま おやま 震地に震造、震子に復子 その子が大きくなりゃ
  地震も話の種ええぞえぞ 帝都復興ええぞええぞ
☆学校へ行くにもお供を連れた お嬢さんが茹で小豆を開業し
 「あらま おやま 恥ずかしそうに差し出せば お客が恐縮して
  お辞儀をして受け取るええぞええぞ 帝都復興ええぞええぞ
☆つんとすましていたことも 夢と消えたる奥様が
 「あらま おやま 顔の色さえ真っ黒け 配給米が欲しさに
  押したり押されたりええぞええぞ その意気その意気ええぞええぞ
●困ったね節
☆おれは川原の枯れ芒 日本国中に流行ったが
 「あらま おやま おやおやたまげた東京が 地震と火災で
  今度はまことに枯れ芒 まったくこいつは困ったね
☆西洋のベベ着て靴はいて 尻振ダンスはよけれども
 「あらま おやま 家へ帰れば火の車 掛取りゃ大勢
  子供はギャーギャー困ったね こいつはよっぽど困ったね
☆人の女房と心中する 有島病気が流行し
 「あらま おやま 亭主に砂かけ家出する これが純真の
  恋というなら困ったね こいつはちょっくら困ったね
☆淡路仮屋の沖合いに 深く沈んだ七十号
 「あらま おやま 千辛万苦はするけれど こいつはなかなか
  上がらないとは困ったね 五インチワイヤーがまた切れた
☆お助け申しますとレニン号 横浜入港はよいけれど
 「あらま おやま 調べてみたれば驚いた 積んだ荷物は
  古い煉瓦とは困ったね こいつは皆目困ったね
●帰ろ節
☆椰子の木は茂るし土人は恋をする 私一人が淋しいね
 「帰ろ 帰ろ タンタンタラララタンタン タンタララッタンタン
☆暑い暑いで三年暮らす いつになったら桜の島が見らりょうか
 「帰ろ 帰ろ タンタンタラララタンタン タンタララッタンタン
☆椰子の木は実るし土人は首を狩る 私一人がおお怖い
 「帰ろ 帰ろ タンタンタラララタンタン タンタララッタンタン
☆つまらんつまらんで三年暮らす いつになったら一杯呑んで忘れらりょか
 「帰ろ 帰ろ タンタンタラララタンタン タンタララッタンタン

流行小唄「大工さん」
☆恋の深さを 恋の深さを大工さんに問えば
 大工さんも棟梁さんも呆れ返って 鑿、鉋、墨壺、差金投げ出した
 「ト納豆々々 学生納豆 甘納豆
☆選挙どこへ行く 選挙どこへ行く陣笠かぶり
 有権者の玄関先 ガンガンガラガンの火事見舞い
 「ト納豆々々 学生納豆 甘納豆
☆はげた頭へ はげた頭へ灸を据えて 熱けりゃ汗出せ
 ジュンジュンジュラジュンの ジュウと消えまする
 「ト納豆々々 学生納豆 甘納豆

流行小唄「認定戸籍改節」
☆お前は南地の人でなし 北の新地
 エーと言うて新町じゃあるまいし 堀川ネー エー松島
☆お前は壮士俳優のようでなし 陰間か
 というて二輪加師じゃあるまいし 釈師か 落語家
☆お前は芸者のようでなし 奥さんか
 というて娘さんじゃあるまいし 権妻か 淫売
☆お前はゴロツキ書生のようでなし 厭世家か
 というて風流人ではあるまいし 茶人か 作者
☆お前はドイツトンビのようでなし 二重マントか
 というて被布じゃあるまいし 十徳か 吾妻コート
☆お前はお客のようでなし お弁慶か
 というて情夫のようでなし お茶亭か 男衆

流行小唄「なさぬ仲節」
☆二人の孫が左右にちょいと転び エッコラセ エッコラセ
 どちらを先に起こそやら
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
  イヤ ヤレコラサ コラ ドッコイナ
☆十年遇わずに普通でいるとても わけた血筋に変わりない
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
☆影を映した離れの座敷 庭じゃ真砂の忍び泣き
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
☆姉の亭主に袖褄ちょいと引かれ それじゃ兄さんすまないよ
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
☆二人どこまでも暮らした仲なれど 捨てちゃおかれぬ義理の仲
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
☆いとしいとしと思えばなおも 去るに去られぬ垣の外
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
☆生んだ我が子と口では言えど それと通じぬそら情け
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
☆指にはめたるダイヤの光 曇らぬ誠を照らす仲
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
☆四角な世間がこの世にできるとも 義理を守れば円くなる
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな
☆古い習わし廃れたとても 義理と人情にかわりない
 「なさぬ仲ではないかいな なさぬ仲ではないかいな

流行小唄「ないしょ節」
☆ないしょないしょでないしょ子ができて アイヨ できたその子が
 ネあなた よく似てる てなことないしょないしょ
☆ないしょないしょでないしょ金ためて できたお金で
 ネーチョイト 役者買い てなことないしょないしょ
☆ないしょないしょでないしょ文貰うて 貰うた手紙に
 ネあなた アイラブユー てなことないしょないしょ
☆ないしょないしょでないしょごとしたら 膨れたおなかが
 ネあなた どうしたらいいんでしょうねあなた てなことないしょないしょ
☆ないしょないしょでないしょの仕事 やってる仕事が
 ネあなた 高等内侍 てなことないしょないしょ
☆ないしょないしょで無理酒呑んで 酔うたふりして
 ネあなた よりかかる てなこと 失礼しました ないしょ
☆ないしょないしょとないしょ酒呑んで 咎められたら
 ネあなた 私ちょっとのぼせてるのよ あなたにね てなことないしょないしょ
☆ないしょないしょと人目を忍び もしも見つかりゃ
 ネあなた どうしましょ てなことないしょないしょ

流行小唄「ほどのよさ」
☆乙に絡んだ垣根のへちま ぶらりとさがったほどのよさかね かね
☆往復葉書で返事を聞けば 仲を切るよなこの始末かね かね
☆主の心は蒸気の煙 遠くなるほど薄くなるかね かね
☆米の相場も平気の二人 ままごとみたよな新世帯かね かね 

流行小唄「勉強せえ節」
☆私ゃナー 好んでするのじゃないが 芸妓になるのも金のため
 ハー座敷で三味線 勉強せえ 勉強せえ
☆浮気するのはやめたがよいよ わしが意見は主のため
 女房持たせて 辛抱せえ 辛抱せえ

流行小唄「ほんだよ節」
☆雛の祭りは掟の契り 主と私は妹背山
 お顔見ながらままならん オヤこれらもほんだよ
☆恋にのぼりて蓬に菖蒲 主と二人で寝た夜は
 向かい合わして笑い顔 これらもほんだよ
☆痴話の炬燵に手の平すずり 胸の巻紙文句は打っつけ
 思う丈をば指の筆 これらもほんだよ

流行小唄「ショクリショ節」
☆生姜畠に茗荷を植えて 今年や子をとる男の子とる
 ショクリショ ショショクリショ アイヨノー
☆忍ぶその夜の時雨は嬉し 濡れて車の音もせず

流行小唄「サーヤレ節」
☆上げたエー 上げた心地も優しき指に
 脆く 脆く折らるる サーヤレ 初わらび
☆粋な 粋な蛇の目が柳を潜る
 下を 下を燕が また潜る
☆あでな あだな色香に迷いはせぬが
 聞くと 聞くと情けが 迷わせた
☆かわい かわいがられた座敷を抜けて
 またもや またもや嫌がられに来たわいな


流行小唄「三国富士節」
☆三国の富士のお山に 雪が降ったり積んだり解けたり流れたり ヤーレヨイトナ
 その水は三島女郎衆の 手水紅カネ化粧水夜明けの酔い醒まし ヤーレヨイトナ
☆浅草の市の土産に 何を買うたか当ててみな
 弓破魔に鞠に羽子板に 金のついたる大きなお松茸
☆奥山に雉と狐と 猫と犬とが集まりて何と言うて鳴いていた
 雉ケンケンコンコンニャンニャンワンワンケンコンニャンワン
 雉ケンコンニャンニャンワンワン 雉ケンケンコンコンニャンニャンワンワン
☆吉原のおはぐろとぶへ 紫のきれが流れた
 そのきれは花魁のしごきか または助六さんの横っちょの鉢巻か

流行小唄「宮島節」
☆安芸の宮島廻らば七里 浦は七浦七恵比寿 ヨイヨイヨイヨイ
☆阿波に妻置き讃岐に住めば 鶉鳥かや粟恋し
☆宮島名所で見せたいものは 長の廊下に百八灯篭
☆海の鳥居に七浦恵比須 外にないのは紅葉谷
☆田舎なれども安芸さんは 沖のとなかに厳島
●エッサッサ節
☆安芸の宮島廻らば七里ヨ 浦は七浦七恵比寿 ヨイヨイヨイ
 エッサエッサ エッサッサ エッサッサ
☆唐に色置き名古屋に住めば 二日酔いかよ唐恋し
☆阿波に色置き讃岐に住めば ねぐら鳥かよ阿波恋し
☆美濃に色置き尾張に住めば 雨も降らぬに蓑恋し
●エッサエッサ節
☆主は罪だよ来る度ごとに かたい私をジツ 迷わせる
 サササ エッサエッサ エッササノサー
☆雨に打たれて色も香も失しょう 散らせともなや 梅の花

流行小唄「おんこと」
☆御琴々々 ちょいと三味よ ちょいとした端唄で ちょいと笛よ
 トッチンチチテン スタスタスタ チンチンチンチン 太鼓の音
 ちょいとした胡弓で チョチョンガチョイ

流行小唄「ぼんち可愛いや」
〽ぼんち可愛い寝んねしな 品川女郎衆は十匁
 十匁の鉄砲玉 玉屋が川へスッポンポン
〽もしもし車屋さん ここから柳町ゃなんぼです
 大勉強で二十五銭 五銭負けちょけアカチョコベ 
〽一度は気休め二度は嘘 三度のよもやに騙されて
 浮気男の癖として 女房にするとは洒落かいな 
〽もしもし床屋さん 髪をハイカラさんに刈っておくれ
 後ろ短く前長く なるたけ別嬪さんの惚れるよに 
〽もしもし髪結いさん 髪を新蝶々に結っておくれ
 前髪高く鬢低く なるたけ殿御の好くように

流行小唄「ネッチョン節」
〽山は晴りょとて思いは晴れぬ ヨホホイ
 様は浮雲 ネッチョン 旅の空 ヨホホイノホイ
〽晴れぬものなら雨など降らせ どうせ軒端の 濡れ燕
〽主が来たかと開いた雨戸 主は来もせで 風ばかり
〽おぼこ娘は紅葉に桜 嬉し恥ずかし 恋の色
〽逢うて行かんせついでじゃないか 嫌で別れた 仲じゃない
〽浮気同士がこうなりながら 浮気されたら 腹が立つ

流行小唄「山中節」
※昔はいろいろな節があった。今は返しをつけない唄い方が主流だが、戦前に豆千代や山村豊子が吹き込んだレコードでは返しがついている。また片山津多助などは、下5字の部分で半音下がって都節になる節で吹きこんでいる。
●その1
☆ハー 薬師山から湯座屋を見れば 獅子が髪結うて身をやつす
 獅子が 獅子が髪結うて身をやつす チョイ チョイチョイ
☆送りましょうか送られましょか せめて二天の橋までも
 せめて せめて二天の橋までも
☆忘れしゃんすな山中道を 東ゃ松山 西ゃ薬師
 東ゃ 東ゃ松山 西ゃ薬師
●その2
☆ハー 山が高うて山中見えぬ 山中恋しや山憎や チョイチョイ
☆お前見初めた去年の五月 五月菖蒲の湯の中で
☆加賀の山中恐ろしとこよ 夜の夜中に獅子が出る
☆鉄砲かついで来た山中で 猪も撃たずにお湯の中
☆私の心と薬師の山は ほかに木はない松ばかり

流行小唄「草津節」
●チョイナ節
☆草津よいとこ一度はおいで ドッコイショ
 お湯の中にもコリャ 花が咲くヨ チョイナチョイナ
☆お医者様でも草津の湯でも 惚れた病は 治りゃせぬ
☆草津よいとこ白根の麓 暑さ知らずの 風が吹く
☆草津よいとこ紅葉の名所 虹の流るる お湯の川
☆積もる話のつきない内に 憎や時間湯の 鐘が鳴る
☆お医者様でも草津の湯でも 惚れた病は 治りゃせぬ
☆錦織りなす草津の広野 浅間の煙も あかね染め
●チョイナ節(米若くずし)
☆佐渡へ佐渡へと草木もなびく ドッコイショ
 「佐渡はいよいか住みよいか 唄で知られた
 コリャ 佐渡ヶ島ヨ チョイナチョイナ
☆主の門出を笑顔で送り
 「乙女心に胸せまり 泣いて明石の
 磯千鳥
☆嫌なお客の長いつづけで
 「隣座敷に主の声 ままにならぬが
 世のならい
●ヨホホイ節
☆草津よいとこヨーホホーイ 夏来てみればヨ 
 軒端近くにヨーホホーイ 四季の花トカヨ
☆草津よいとこ 里への土産 袖に湯花の 香が残る
☆暑さ白根の 山風受けて 草津娘の 夕涼み
☆草津電車に 飛び込む蛍 燃ゆる思いを のせて行く
☆白根登れば お畑の畑 草津町には 湯の畑
☆夏の盛りも 知らない顔で 固く結べる 氷谷
☆湯もみ馴染みが 手に手を取りて 松の木間を わらび狩
☆草津よいとこ 白根に登りゃ 蕾桜に 春霞
☆紅葉燃え立つ 湯川の流れ 里にゃ乙女の 唄い声

流行小唄「ハイヤ節」
※ハイヤ節から浦々を経ておけさ節に変遷し、それぞれが全国流行の様相を呈した。その過程で百は下らなかったであろう節のバリエーションが「おけさ節」「ハンヤ節」の2つに集約された感があり、殊に「おけさ」に至っては佐渡おけさをもってしてこれが標準であるかのような扱いであった。流行小唄的な位置づけの中で、いきおい土地ごとの個性が損なわれた感があったが、昭和初期より徐々にその土地々々の節がSP盤や放送で紹介され、全国に普及していった。
●はんや節(鹿児島)
☆はんやエーはんや はんやで半年暮れた ハヨイサーヨイヤサー
 後の半年ゃサーマ 寝て暮らすナ
 「エーサ 今来たにせどん良かにせどん
  相談かけたらはちこそなにせどん ヨイサーヨイヤサー
☆ツワの 一日干し豆腐としめて 好いたにせどんと岡のぼり
 「どっからからな鹿児島からな 使いもやらずによう来た様じゃ
☆お前さんと 暮らさば唐芋も米じゃ 欠けた茶碗も良か茶碗
 「お前さんばかりが倉持ちか 私もちょっとした倉持ちじゃんさおと
☆鹿児島 言葉で金ぢょか茶ぢょか いっぺこっぺさるたやさましったいだれもした
 「どんどんまた出た鞘豆が 一鞘走れば皆走る
●ハイヤ節(呼子)
☆大島捲き出しゃ太助じゃ止めたヤー アシッチョサーシッチョサート
 太助捲き出しゃ サーマ 呼子止めヤー
 「アーサ 段々畑の莢豆が 一莢走れば皆走る
  私ゃお前さんについて走る ついて走る エーサエイ
☆大島女子の死んだはまこと 三味も太鼓も皆棚に
 「アオサやったとの届いたか 届いて煮て焼いて食うて舌焼いたぞ
  今からあんなもんなやんなさんな やんなさんな
☆志佐で提灯買うて厨房じゃつけた 田平渡して消やされた
 「奥州仙台川わかみ竿 み竿で届かぬ浮いていけ 浮いていけ
☆わしがままなら船乗りゃさせぬ 命ゃ帆で巻きゃ帆で枕
 「蒸気ゃ出て行く帆かけて走る 様のほそめは出てないか 出てないか
●アイヤエ(宮津踊り)
☆あいやエー あいや可愛いや今朝出た船は どこの港へ ソーレ着いたやら
☆船が 船が入れば灯が揺れる 恋し宮津の 灯が揺れる
☆あいや あいいやそれ枕はいらぬ 互い違いの お手枕
●おけさ節
〽ハー佐渡へ 佐渡へと草木もなびくヨ
 佐渡はいよいか住みよいか アリャアリャアリャサ
〽佐渡へ 佐渡へと枯れ木を流す 流す枯れ木に花が咲く
〽来いと 言うたとて行かりょか佐渡へ 佐渡は四十九里波の上
〽波の 上でもおじゃるならおじゃれ 舟にゃ櫓もある櫂もある
〽雪の 新潟は吹雪で暮れる 佐渡は寝たかや灯が見えぬ
●おけさ米若くずし
〽ハー島の 乙女の黒髪恋しヨ
 「坊やはよい子だねんねしな 里の土産に
 何貰うた アリャアリャアリャサ
〽徒し 徒波寄せては返す
 「袖に松風村時雨 島の娘が
 船を待つ
〽おけさ 踊りについうかうかと
 「月も踊るか佐渡ヶ島 おけさ踊りに
 夜が更ける
〽佐渡へ 佐渡へと草木もなびく
 「佐渡はいよいか住みよいか 唄で知られた
 佐渡が島
〽わしが 心は深山の紅葉
 「ういの奥山里遠く 秋が深まりゃ
 色を増す
〽雪の 新潟は吹雪に暮れて
 「おけさくずしの音も冴えて 佐渡は寝たかや
 灯が見えぬ
〽五十 三里は踊りに更けて
 「佐渡はよい島情け島 月も一夜の
 宿を借る
〽真野の 入江は時雨に暮れて
 「焦がれ待つ夜の磯千鳥 いつか浮名の
 波が立つ
〽波の四十九里 近そうに見えて
 「私ゃ渚のつなぎ船 行くにゃ行かれず
 泣き明かす
●新おけさ
〽徒し波 寄せて返して岬は曇るヨ
 逢えぬ辛さに日も曇るヨ アリャアリャアリャサ
〽流れ雲 せめて一夜は都の空へ わしが涙の雨と降れ
〽漁火の 燃ゆる思いに千鳥が鳴いて 主に逢瀬の夜が更ける
〽捨て小舟 櫓櫂なければ波風まかせ 佐渡と越後の間を行く
●新おけさ米若くずし
〽奥山で ひとり米搗くあの水車ヨ
 「誰を待つやらくるくると 回りつきせぬ
 水車ヨ アリャアリャアリャサ
〽しちく竹 元は尺八半ばは笛で
 「末はそもじの筆の軸 思い参らせ
 候かしこ
●新潟おけさ
〽徒し 徒し徒波寄せては返すヨ 寄せて返して
 ヤーレ また寄せる ヨシタヤー ヨシタヤ
〽ままよ ままよ鹿島に神あるならば 逢わせ給いや 今一度
〽山で 山で蹴転がした松の木ゴロ太のよでも 妻と定まりゃ 辛抱する

流行小唄「かっちり節」
※関西で唄われた流行小唄が博多で郷土化したもので、広く流行した。
☆打ち出す太鼓にかき出すヤマは 博多若い衆の のう三四郎さん 威勢比べ 
 「それもそうだよ そりゃ嘘ないぞえ トコトンノカッチリカッチリ
☆言うちゃすまんばってん家の嬶手利き 夜着も蒲団も のう三四郎さん 丸洗い
 「それもそうだよ そりゃ嘘ないぞえ トコトンノカッチリカッチリ
☆家の親父は位がござる 何の位か のう三四郎さん 酒狂い
 「それもそうだよ そりゃ嘘ないぞえ トコトンノカッチリカッチリ
☆春のどんたく賑わう博多 杓子叩くも のう三四郎さん 芸のうち
 「それもそうだよ そりゃ嘘ないぞえ トコトンノカッチリカッチリ 
○屋島壇ノ浦に滅びし平家 海の藻屑と のう三四郎さん 消えてゆく
 「それもそうだよ そりゃ嘘ないぞえ トコ源氏が勝ったり勝ったり

流行小唄「キンキラキン」
☆肥後の刀の提げ緒の長さ 長さばい ソラキンキラキン
 まさか違えば玉だすき それもそうかいキンキラキン
 「キンキラキンの蟹正どん 蟹正どんの横ばいばい
☆おらが稚児さんばこなさばこなせ こなせばい ソラキンキラキン
 腰の朱鞘は伊達じゃない それもそうかいキンキラキン
 「キンキラキンの蟹正どん 蟹正どんの横ばいばい
☆しんとろとろりと見とれる殿御 殿御ばい ソラキンキラキン
 殿は伊達者でよい男 それもそうかいキンキラキン
 「キンキラキンの蟹正どん 蟹正どんの横ばいばい
☆南無妙法蓮華経ドロツクドンの太鼓 太鼓ばい ソラキンキラキン
 肥後の名物本妙寺 それもそうかいキンキラキン
 「キンキラキンの蟹正どん 蟹正どんの横ばいばい
☆肥後の熊本のキンキラキンなご法度 ご法度ばい ソラキンキラキン
 キンキラキン唄えば首がない それもそうかいキンキラキン
 「キンキラキンの蟹正どん 蟹正どんの横ばいばい
●キンキラキンくずし
☆一丁どぎゃんかな前垂り買うてやろか やろかばい ソラキンキラキン
 前垂りゃ一腰当てとる一腰なえとる親切あってくださるならせんが良い
 それもそうばいキンキラキン
 「キンキラキンの蟹正どん 蟹正どんの横ばいばい 田んぼの端までごっそごそ
☆馴染みおっ取られち庄屋どんに頼みゃ 頼みゃばい ソラキンキラキン
 馴染みゃ知られんばってん嫁は知る それもそうかいキンキラキン
 「キンキラキンの蟹正どん 蟹正どんの横ばいばい 田んぼの端までごっそごそ

流行小唄「お影まいり」
☆お影まいりは 胸つき雁木に桜馬場
 石の玉垣手水鉢 名高はなめしの田楽や
 「オヤお影とせ 叶うたとさ 願い通りにやれめでた
☆今朝も早うから 髪結ってしもうて紅つけて
 顔にほんのり薄化粧 これから殿御さんを待つばかり
 「お影とせ 叶うたとさ 願い通りにやれめでた
☆お前百まで わしゃ九十九まで辛抱して
 ともに白髪の生えるまで 赤鞘の杖ついてお影まいり
 「お影とせ 叶うたとさ 願い通りにやれめでた

流行小唄「世去れ節」
☆山家深山のあの山奥で 大工いらずの掘っ立て小屋 竹の柱に笹の屋根
 忠臣蔵ではなけれども 雨の降るとき師直で 風の吹くとき由良さんで
 寝てて大星拝むとも 縞の財布がお軽でも 主とそうなら厭やせぬ
 ヨサレ ソーラヨイヨ
☆電信柱に燕がとまる 停車場々々々に汽車とまる 港々に船泊まる
 竹に雀じゃなけれども 止めて止まらぬ恋の道
☆生まれ故郷は忍の里よ 尊き和尚と言われたる 清水お寺の清玄は
 ふいと見初めし桜姫 恋に焦がれてこのように 破れ衣に破れ笠
 山川庵に閉じこもり 描きし姿を見るにつけ もいちど逢いたや桜姫
☆さても哀れなきりぎりす口説 時節来たとて 胡瓜きざんで籠住居
 売られて買わるる勤めの身 ほんにこの世は苦の世界
 わしより因果な者はない 親は草葉の蔭で鳴く 思いきれきれきれと泣く
 客に買われて夜を明かす ほんにこの身がままならば 早く行きたや主の側
●南部よしゃれ
☆よしゃれ茶屋のかかサ 花染めのたすき サーンヨー
 肩にかからねでサ 気にかかる ヨシャレ サーンヨー
☆よしゃれ置かしゃれ その手は食わぬ その手食うよな 野暮じゃない
☆よしゃれ駒下駄の 鼻緒が切れた 誰が立てたか また切れた
☆唄の折節ところで変わる ところで変わらぬ 竹の節
☆恋の九つ情けの七つ 合わせ十六 投げ島田

流行小唄「ポンポコニャ」
☆花の熊本 長六橋から眺むれば オヤポンポコニャ
 下は白川両芝居 少し下がればナ オヤ本山渡し舟
 オーサポンポコ ポンポコニャ
☆花の熊本 涼みがてらに眺むれば 清水湧き出る水前寺
 少し下がれば 江津湖の舟遊び
☆花の熊本 銀杏城から眺むれば 下は清正公菩提所
 少し下がれば 横手の五郎さん
☆花の京町 中坂越ゆれば金剛寺 楊弓かっちり信濃の善光寺
 少し下がれば ほんまに二十四輩

流行小唄「伊香保音頭」
☆伊香保出湯で子宝儲け 川という字の睦まじさ
 ヨイヨイヨイヨイ ヨイヤサ
☆誰へもの聴く山なす思い 告げよ一声ほととぎす
☆好いた蒸湯の気も合う同志 末は夫婦の二つ岳
☆早く伊香保へ暑さを避けて しばし座敷を仮の宿
☆千代を筧に尽きせぬ流れ 澄める常盤の水清し

流行小唄「新庄節」
☆ハー キタサ 新庄ならいか揚屋の作法か キタサ
 いつも仕切りか前勘定
☆最上タバコと八百屋のお七 恋でわが身を焼き捨てる
☆承知ないので承知をさせて 無理に咲かせた室の梅
☆天童照る照る若町曇る 中のやんべが雨となる
☆あの山高うて新庄が見えぬ 新庄恋しや山憎や
☆姉こ山から吹いてくる風は 遊山こえとの便り風
☆一度二度は爪折笠よ 三度笠から深くなる
☆好いたお方に杯さされ 飲まぬ先から赤い顔
☆洗い髪ほど心が解けて 主にまことを黄楊の櫛

流行小唄「新宮節」
☆新宮よいとこ十二社様の テモヨイヤサノセ
 神のましますよいところ エッサエッサ ヤレコノセ ヤーレ コレワイセ
☆御灯祭りは男の祭り 山は火の滝 下り竜
☆新宮三万七千石の すぎた丹鶴 沖見城
☆露の玉垣 速玉様の なぎの木の葉に縁結び
☆不老不死なら熊野へござれ 秦の徐福も来たところ

流行小唄「たんと節」
☆ハー 一つ一目の関所を破り 連れて行くのが現れた 現れた
 「コラーお江戸行くとて津軽へさ 津軽にお江戸があるものか
 業恥さらしてターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆二つ二人の口約束を どこのどいつが喋ったやら 喋ったやら
 「うちの女房の寝ているに 起こして聞かして腹立たせ
 あることないことターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆三つ導く和尚さん方も 今の浮世はあれじゃもの あれじゃもの
 「なむからたんの とらやあやあ 何遍申しても後生にゃならぬ
 姉チャに色目をターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆四つ夜酒コなかなかやめぬ バラの根コからバラコ出る バラコ出る
 「わしに似たどこどこもねえ 先の爺にそっくりだ
 冷でも燗でもターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆五ついずめ子を愛する親は 二つ三つの心持ち 心持ち
 「チョーチチョーチアワワアワワ ワワズボワワズボ カッペロリン
 も一つ笑えやターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆六つ婿嫁歩くとき知れる 西の小堰から鴨コ飛ぶ 鴨コ飛ぶ
 「なんぼ大家の兄チャでも 他人の納戸に手コ入れて
 知れたら恥だべターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆七つ仲人は七段語る 語り尽くして貰った嫁 貰った嫁
 「足が長いに手が長い 髪が縮れてツラ赤い
 それでもよいとてターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆八つ休みない女郎衆の勤め 見てはよいもの辛いもの 辛いもの
 「三年三月で十一両 お客にお金はさっぱりねえ
 暮らしに難儀してターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆九つこの世で悪するものは 死ねば地獄で責められる 責められる
 「赤鬼黒鬼口開いて 地獄の境で待っている
 黒金棍棒でターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆十に土佐節土産に貰った 猫に取られて南無三方 南無三宝
 「鼠捕らずの棚探し 下女のおさんに憎まれて
 いつも火箸でターントタント あいこの上作 そのわけだんよ
☆思い出すよじゃ惚れよが足らぬ 思い出さずに忘れずに 忘れずに
 「財布コはたいて嫁貰うて 銭コがなくなりゃ共稼ぎ
 惚れていりゃこそターントタント あいこの上作 そのわけだんよ

流行小唄「ダンチョネ節」
☆三浦三崎でヨ どんと打つ波はヨ
 可愛いお方のヨ 度胸だめしヨ ダンチョネ
☆沖の鴎に 深酒させて 可愛いあの娘と 朝寝する

流行小唄「お安くない節」
※大正末期に流行した。
☆あなた蒸気で私は汽船 身は互いに離れども
 落ち着くお先は別所の温泉 オヤほんとに アーお安くない

流行小唄「御大典節」
☆風にヒラヒラ あれ美しや 見事に並ぶ日の御旗
 今日のめでたい御大典 さあさどなたも祝いましょう
 「万歳 万歳 万々歳
☆旗に提灯 花輪に屋台 行列そろえてエッサッサ
 今日のめでたい御大典 さあさ皆で祝いましょう
 「万歳 万歳 万々歳

流行小唄「大島節」
●古調
※頗る悠長な節で、手拍子のみで唄う。
☆エー 私ゃ大島 御神火育ちヨ(ハーイハイトー)
 ヤレー 胸に煙はヨ 絶えやせぬナ(ハーイハイトー)
●新調
※現在大島で唄われている節で、大島里喜や野村ふさのレコードで知られた。古調に対しての新調であって、実際は古くから唄われている節である。藤本二三吉のレコードはこの節に近く、他の流行歌手によるものとは一線を画している。
〽アー 私ゃ大島 御神火育ちヨ(ハーイハイトー)
 胸に煙はナ 絶えやせぬナ(ハーイハイトー)
〽つつじ椿は 御山を照らす 殿の御船は 灘照らす
〽うつつ心で 柱にもたれ 起きていながら 主の夢
〽三浦岬に ドンと打つ波は 可愛いお方の 度胸試し
●新調(字余り)
〽竹の一本橋ゃ細くて長くてしなしなしのうて 危ないけれど
 私とあなたと二人で渡るにゃ 怖くない
●変調
※下田あたりの花柳界にて騒ぎ唄の節に変化したもので、大正年間より東京の花柳界に入り、全国的に流行した。急テンポの三味線に乗せて、高調子で唄い出して語呂のよい唄囃子を適宜挿入する。SP盤の時代に多くの歌手が吹きこみんだが、今は下火になっている。
〽ハー 島と名がつきゃ どの島も可愛ヨ(アハイノハイ)
 わけて利島はナー なお可愛ヨ
 「アーラ 一本歯の下駄はいて 四畳半をピョンピョンと
〽私ゃ大島 一重の桜 八重に咲く気は さらにない
 「おやりよおやりよ どんどんおやりよ
〽一丁二丁三丁 四丁五丁ある町で 中の三丁目が ままならぬ
 「てなこたナイショナイショ
●変調(字余り)
〽ハー 九尺二間の雨戸一枚と 私の心
 「あれあれ あちら立てればこちらが立たない
  こちら立てればあちらが立たない 双方立てれば
 ヤレコノドッコイショで 身が立たぬ
 「一本歯のズイノズイ どんぶり鉢ゃ浮いた浮いた
●虎造くずし
※所謂浪曲くずしの類で、広沢虎造の特徴的な節をうまく挿んでいる。
〽ハー 男伊達なら 桜か富士かヨ
 「清水港の次郎長と さても見事な
 宮柱ヨ(ハイノハイ)
〽国を売るのも 男の意気地
 「美保の松原小夜しぐれ 男次郎長が
 旅がらす
〽人情からめば 命も捨てる
 「清水港の次郎長が 降らす血の雨
 血の涙

流行小唄「小原良節」
※在郷の田舎節、下句にて陰旋になる節、一八節など種々ある。一八節をアレンジした喜代三節が最も平易で、全国的に流行した。新橋喜代三のレコードでは、唄囃子は一切省略している。
☆花は霧島煙草は国分 燃えて上がるは オハラハー桜島
 「良かならおじゃんせ来やしゃんせ
  親の譲りもんじゃ買うたもんじゃごっせん ヨイヨイヨイヤサ
☆見えた見えたよ松原越しに 丸に十の字の 帆が見えた
 「今来たニセどん良かニセどん 相談かけたらはっちこそなニセどん
☆月のひょいと出を夜明けと思うて 様を帰して 気にかかる
 「道端大根引かずにのすかい 思うに様どん引かずにのすかい
  ちゃんちゃん茶釜の蓋取る間もねえ 可愛いお前さの袖引く間もねえ
☆伊敷原良の巻上げの髪よ 髷に結うたなら なお良かろ
 「石川どんこが顔出した 昨日も出したまた出した 川にヒョウタン浮き上がり
  飛び上がりこげなこちゃめってなござはん めって座れば体がもたぬ
☆桜島には霞がかかる 私ゃおはんに 気がかかる
 「どんどんまた出た莢豆が 一莢走れば皆走る 私ゃお前さに向いて走る
☆永良部島から様がこと思うて 詰めた煙草も 飲まで来た
 「谷山丸木は一丁櫓じゃ上がらぬ 二丁も三丁も四丁櫓で漕ぎやい
  漕げば港が近うなる 加治木、重富、浜ノ市
  米が下らにゃ広い鹿児島根っから食わん食わん 薩摩の大根つけ大根
  右から押されて知らなんだ 知らば吉良どん討たれはすらめ
●かっぽれくずし
「かっぽれかっぽれ ヨイトナーヨイヨイ」
☆見えた見えたよ松原越しに
 「帆が見える 帆が見える 丸に十の字の帆が見えた
  八丁櫓でよ 八丁櫓でよ ヤレコノコレワノサ ヨイトサッサッサ
 主の乗る船 オハラハーかつお船 ヨイヨイヨイヤサ
☆坂は照る照る鈴鹿は曇る
 「街道の 街道の 馬方三吉親無し子
  「笠を手に持ち皆さんさらば いかいお世話になりました 
  泣き濡れて 泣き濡れて
 雨の土山 馬子の唄
☆今年ゃ豊年穂に穂が咲いて
 「豊年じゃ 万作じゃ 明日は旦那の稲刈りで
  小束にからげてちょいと投げた
 投げた枕に 咎はない
☆花は霧島煙草は国分
 「お山はヨ 富士の山 男は鹿児島健男児 その腕に その腕に
 燃えて上がるは 桜島
☆月のひょいと出を夜明けと思うて
 「きっとよ きっとね 騙しちゃ嫌よ本当に ご機嫌さん ご機嫌さん
 様を返して 機にかかる
☆可愛がられて寝た夜もござる
 「月が出た 月が出た 磯の松原とぼとぼと 千鳥にヨ 誘われて
 泣いて明かした 夜もござる
☆雨の降らぬにそむた川濁る
 「惚れたとて 惚れたとて どうせ私は捨て小舟 諦めて流しましょ
 伊敷原良の 化粧の水

流行小唄「浜唄」
※熊本から鹿児島にかけて流行した節が関西の花柳界に入り、全国流行の様相を呈した。昔は単に「浜唄」などと呼んでいたが、今は「鹿児島浜節」と呼ぶことが多い。
●その1
※騒ぎ唄調の節で、広く流行した。音丸のレコードが残っている。
☆鹿児島離れて キタショ 南へ八里 トコヨーイヤサッサ
 波にサイサイ 花咲く ヤサホイノ 吹上浜 トコヨーイヤサッサ
☆心の角々 鉋をかけて 四角の 家にも 丸く住め
☆島にま一度 渡らにゃならぬ 植えた 木もある 様もある
●その2
※唄い出しを追分調に引き伸ばす節で、その1よりも技巧に富んでいる。今はこちらの節の方が流行し、吹込みも多い。
☆東阿蘇山 西錦峰山 トカヨーイヤサッサ
 間を流るる ヤサホイト 江津の水 トカヨーイヤサッサ シテマタサイノサイ
☆ほととぎす啼いてほしげな 風情じゃないか 香る若葉の 銀杏城

流行小唄「からめ節」
☆からめからめと親父が責める なんぼからめてもからめだてならぬ
 「アードッコイドッコイドッコイナ
  からめて千貫 親父の借金 年賦で済ませろ
☆金のべここに錦の手綱 おらも引きたい引かせたい
 「からめてからめて握った手綱をうっかり離すな
☆鴉啼く啼くトコヤの屋根で お山繁盛と啼く鴉
 「どっこい千両どっこい万両
☆めでためでたの若松よりも 盛るお山の黄金花
 「どっこい千両どっこい万両 掘り出せ掘り出せ岩手の花だよ
☆金が出る出る白銀黄金 鉄も鉛も赤銅も
 亀鶴千年からめは万年
☆田舎なれども南部の国は 西も東も金の山
 「どっしり掘り出せお国の名物
☆朝の出掛けは千両に勝る 嫁ご笠もて送り出す
 「浮世は花だよ嫁ごは二十歳よ 握った手と手にお家はご繁盛
☆南部女子衆情けに弱い 恥はここらが捨て所
 「あの子もこの子もまったくよい子だ にっこり笑窪は南部の名物
☆お山下れば夕陽が落ちる 唄で招こよお月さん
 「唄えよ踊れよ踊って招けば ひょっこり顔出すお月さんだよ

流行小唄「昭和節」
☆昭和の文化はありがたい 旅をするにも飛行機で
 ちょっとの買い物でも地下鉄と うちにいて晩酌がてらにレコード聴く

流行小唄「会津磐梯山」
※地元の節を小唄勝太郎が端唄風の節回しにアレンジ、新しい三味線の手も考案し昭和10年頃にレコードに吹き込んだところ大流行し、日本中に知られた。地元の節と違うと非難されたこともあったが、勝太郎自身も後年、「私の会津磐梯山は地元の節とは違っていて、より親しみ易いように私がアレンジをしたものです」と、別物であることを名言していた。
☆イーヤー 会津磐梯山は宝の山よ 笹に黄金がエーマタ なりさがる
 チョイ チョイチョイチョイ チョイナ
 「小原庄助さん 何で身上しもうた 朝寝朝酒朝湯が大好きで
  それで身上しもうた ハーもっともだ もっともだ」
☆忠義一途のあの稚児桜 散りてその名も白虎隊
☆東山から日にちの便り 行かざなるまい顔見せに
☆会津磐梯山に振袖着せて 奈良の大仏さん嫁にとる

流行小唄「黒田武士」
※もとは「筑前今様」と呼んでいたが、赤坂小梅のレコード発売により1節目の文句から「黒田武士」とされ、瞬く間に全国流行した。戦後も再三再四の吹き込みにてその都度ヒットし、「黒田節」と改題されている。しかし唄の出自を考えれば「~節」とするのは違和感があり、「黒田武士」の用字が適切だろう。
☆酒は呑め呑め呑むならば 日の本一のこの槍を
 呑み取るほどに呑むならば これぞ真の黒田武士
☆峰の嵐か松風か 訪ぬる人の琴の音か
 駒引き止めて立ち寄れば 爪音高き想夫恋
☆皇御国の武士は いかなる事をか勤むべき
 ただ身に持てる真心を 君と親とに尽くすまで
☆夜須の朝日の弥四郎は 親に孝行尽くしつつ
 牛馬に鞭をあてざれば 愛持の田は作りどり
☆古き都に来て見れば 浅茅が原とぞなりにける
 月の光は隈なくて 秋風のみぞ身には沁む
☆春の弥生の曙に 四方の山辺を見渡せば
 花盛りかも白雲の かからぬ峰こそなかりけれ
☆花橘も匂うなり 軒のあやめも香るなり
 夕暮れ様の五月雨に 山時鳥名のるなり

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