佐渡おけさ(盆踊り唄)
〽ハー佐渡へ(アリャサ)
佐渡へと草木もなびくヨ(アリャアリャアリャサ)
佐渡はいよいか住みよいか(アリャサッサッサ)
〽佐渡へ 佐渡へと枯れ木を流す 流す枯れ木に花が咲く
〽来いと 言うたとて行かりょか佐渡へ 佐渡は四十九里波の上
〽波の 上でもおじゃるならおじゃれ 舟にゃ櫓もある櫂もある
〽雪の 新潟は吹雪で暮れる 佐渡は寝たかや灯が見えぬ
〽泣いて くれるな出船の際に 沖で櫓櫂が手につかぬ
〽おけさ 踊るなら板の間で踊れ 板の響きで三味ゃいらぬ
…おけさ節の代表格。村田文蔵をはじめとする名人の歌声がレコードで広まり全国的に大流行した。「おけさぞめき」「選鉱場おけさ」も共通にて省略する。
佐渡おけさ(勝太郎節)
〽ハー月の 出汐と約束したがヨ 月は早う出て森のかげ ハ アリャサ
〽島の 乙女の黒髪恋し 一度行きたい佐渡ヶ島
〽泣いて くれるな都が恋し 鳴くな八幡のほととぎす
〽異見 せられて差しうつむいて 泣いていながら主のこと
〽好いた お方に謎かけられて 解かざなるまい繻子の帯
〽泣いた 涙の乾かぬうちに またも泣かすか暁烏
〽離れ ばなれに咲いてはおれど 水に浮草 根はひとつ
〽おけさ 踊りについ夜が更けて 月も傾く佐渡の夏
…小唄勝太郎の十八番。自身のアレンジによる端唄風のおけさ節で、戦前に流行した。
佐渡おけさ(米若くずし)
〽ハー島の(アリャサ) 乙女の黒髪恋しヨ(ハ アリャアリャアリャサ)
「坊やはよい子だねんねしな 里の土産に
何貰うた(ハアリャアリャアリャサ)
〽徒し 徒波寄せては返す
「袖に松風 村時雨 島の娘が
船を待つ
〽おけさ 踊りについうかうかと
「月も踊るか佐渡ヶ島 おけさ踊りに
夜が更ける
〽佐渡へ 佐渡へと草木もなびく
「佐渡はいよいか住みよいか
唄で知られた佐渡が島
〽わしが 心は深山の紅葉
「ういの奥山 里遠く
秋が深まりゃ色を増す
〽雪の 新潟は吹雪に暮れて
「おけさくずしの音も冴えて
佐渡は寝たかや灯が見えぬ
〽五十 三里は踊りに更けて
「佐渡はよい島 情け島
月も一夜の宿を借る
〽真野の 入江は時雨に暮れて
「焦がれ待つ夜の磯千鳥
いつか浮名の波が立つ
〽波の四十九里 近そうに見えて
「私ゃ渚のつなぎ船
行くにゃ行かれず泣き明かす
新おけさ(歌謡調)
〽徒し波 寄せて返して岬は曇るヨ
逢えぬ辛さに日も曇るヨ(アリャアリャアリャサ)
〽流れ雲 せめて一夜は都の空へ わしが涙の雨と降れ
〽漁火の 燃ゆる思いに千鳥が鳴いて 主に逢瀬の夜が更ける
〽捨て小舟 櫓櫂なければ波風まかせ 佐渡と越後の間を行く
新おけさ(米若くずし)
〽奥山で ひとり米搗くあの水車ヨ
「誰を待つやらくるくると
回りつきせぬ 水車ヨ(アリャアリャアリャサ)
〽しちく竹 元は尺八 半ばは笛で
「末はそもじの筆の軸
思い参らせ 候かしこ
新潟おけさ
〽徒し 徒し徒波寄せては返すヨ
寄せて返して ヤーレー また寄せる
〽ままよ ままよ鹿島に神あるならば 逢わせ給いや 今一度
〽山で 山で蹴っ転がした松の木ゴロ太のようでも
妻と定まりゃ 辛抱する
…古町芸者による「おけさ節」、洗練された節回しの中に、頭3字の返しなど「ハイヤ節」の面影を残している。
はねおけさ(おけさアイヤ)
〽おけさアイヤーノ おけさおけさ今朝出たおけさヨ
今朝もおけさでヤーレ 目が覚めた
「裏の畑の莢豆は 一莢走ればみんな走る
私ゃお前さんにヤーレ ついて走る
〽おけさ 竹になりたや紫竹の竹に 元は尺八 中は笛
「末はそもじの筆の軸
思い参らせ 候かしこ
〽おけさ ありゃドンチャン揚屋の二階で おけさ踊りの 絶え間ない
…宴会のはね前に唄われた。魚沼方面のものが著名。
はねおけさ(塩沢)
〽おけさ ハーイヤ ハイヤ 踊るなら板の間で踊れヨ アリャサ アリャサ
板の響きで三味ゃいらぬ アリャサ アリャサ
〽おけさ踊るとて三味のバチ投げた 三味は鳴らぬが唄が出る著名。
浜おけさ(長岡おけさ)
〽押せやインヨー 押せや押せ押せ下関までもヨ(ハヨンヤサ)
押せば港がヤーレ 近くなる(ハヨイヨイヨイサ)
〽山で 山で伐る木はたくさんあれど 思い切る気は さらにない
「あらし畑の莢豆は ひと莢走れば皆走る
私ゃお前さんに ついて走る
出雲崎おけさ
〽おけさ踊りと磯打つ浪はノ(ハ ヨシタヨシタ ヨシタナ)
いつも心がソーレイ いそいそと(ハ ヨシタヨシタ ヨシタナ)
「越後 出雲崎 良寛様は 破れ衣に鉄鉢持ちて
子供集めて毎日日にち 手毬つくやらかくれんぼ
鬼にされてもその身は仏
仏心にソーレイ 鬼はない(ハ ヨシタヨシタヨシタナ)
〽今じゃ天下の良寛様も 昔ゃ行脚の 草枕
「鉢崎 柿崎 柏崎下へ下りて出雲崎 新潟の隣の松ヶ崎
松前鰊に佐渡わかめ
五十嵐ゃ干子は 砂だらけ
〽行こか柏崎帰ろか新潟 ここが思案の 出雲崎
「海の出雲崎ちょいと来て見やれ 春は鰯で大漁の浜よ
夏は小鯛で舌鼓 秋は秋鯖 嫁には内緒
冬は鱈の味噌汁 雪見酒
〽こぼれ松葉を手にかき寄せて 殿のご飯を 炊いて待つ
「下は下げて上は上だり 沖はおつけでへた嵐
あの船この谷へ入れたなら
定めし出雲問屋が 繁昌しょかね
…賑やかな節で、長囃子の末尾にて字の節の下句に返るところに特徴がある。
小木おけさ
〽ハー 小木の(アリャサ)
三崎の四所御所桜ヨ(アリャアリャアリャサ)
枝は越後へ葉は佐渡へ(アリャサッサッサ)
〽おけさ 正直なら側にも寝しょが おけさ猫の性でじゃれかかる
〽小木の 港も静かに暮れて とまり舟より立つ煙
…素朴な節回し。これが洗練されて現在の佐渡おけさになった由。
寺泊おけさ
〽厚司ヤー(ヨイヨイ)
エヤー縄帯腰には矢立ヨ(ハ ヨイヨイヨイヨイ)
伝馬通いがヤーレ 止めらりょか(ハ ヨイヨイヨイヨイ)
〽佐渡へ 八里のさざ波越えて 鐘が聞こゆる 寺泊
〽行こか 出雲崎 帰ろか新潟 ここが思案の 寺泊
「十七島田 しらはの娘 晒手拭ふわりとかぶり
寺の大門すたばた行けば 寺の和尚はそれ見るよりも
答えてやれぬ やれないけれども和尚の身なら
呼ぶに呼ばれず 手にゃ招かれず
崖の桜で 見るばかり
〽朝な 夕なの神信心を 一つぁ身のため 主のため
「オヤオヤ オヤオヤ 瓜瓜 茄子茄子 ヨウガの手
土手まま這い出す南瓜の手 垣根に絡みつく糸瓜の手
川から手を出す河童の手 寝ていて手を出す兄さの手
その手を引っ張る姉さの手 手と手と手
後は野となれ 山となれ
…三味線のスタッカート奏法「三枚撥」=撥を持つ右手の親指を少し外に出し、弾いた途端に親指で糸を押さえ響きをとめる。出雲崎おけさ同様、長囃子の末尾で地の節の下句に返る。
壁塗りおけさ
〽踊り見るとて葦で目を突いたヨ(アリャサ アリャサ)
葦は生葦 目に毒だ(アリャサ アリャサ)
〽取っちゃ投げ取っちゃ投げ枕はいらぬ 枕三十八みな投げた
〽三條の鍛冶屋が鍋づる飲んだ お前この酒なぜ飲まぬ
…十日町方面の伝承。
柏崎おけさ
〽吹けよ西風 上がれや日傘ヨ(アーリャ ヨイヨイヨイヨイ)
かわい殿さのヤーレ 顔見たや(ハ アリャサー ヨイサー)
「一反畑のさや豆が オヤ ひとさや走れば皆走る
私ゃあなたにヤーレ ついて走る(ハ アリャサー ヨイサー)
〽竹の小口にシコタンコタンとなみなみたっぷり 溜まりし水は
澄まず濁らず 出ず入らず
〽あだし徒波 寄せては返す 寄せて返して また寄せる
「鉢崎、柿崎、柏崎 下へ下がれば出雲崎
新潟おしもの松ヶ崎 松前にしんで佐渡わかめ
五十嵐ほしこで 砂だらけ
〽厚司縄帯 腰には矢立 伝馬櫂かく ほどのよさ
〽おさん何する 行灯のかげで かわい男の 文を読む
〽お前と添うなら 死んでもよいが 添うてみたれば 死にとない
三十おけさ(鹿瀬おけさ)
〽三十エー 三十五反の帆を巻き上げてヨ
沖をめがけて エー乗り出だす
「行くよだ来るよだ 足音するよだ
角田おけさ
〽おけさ おけさ見るとて橋からとんと落ちてヨ
おけさ見ないでヤーレ 哀れみた
「おけさの囃子は梁がなきゃ天井まで
地蔵堂おけさ
〽弥彦山から分水見ればヨ(ハ アリャヨイヨイヨイ)
今は盛りのヤーレ 桜花
〽金の地蔵堂で名高いとこは 越後蒲原 地蔵堂町
「日本で名高い信濃川 大河津分水東洋一
朝の嵐の狭の里 西行泣かした尼がいる
〽今日も地蔵堂で良寛さんが遊ぶ 子供相手に手まり唄
「国上山寺ほとりに住んで 墨の衣に菅笠かむり
歌や俳諧経読みまつり 五合もらえばまた遊ぶ
三条おけさ
〽姉さポンポン下駄鼻緒が切れた 兄さたってくりゃれ後生になる
〽盆だてがんね茄子の皮の雑炊だ
あまり盛り付けられて鼻のてっこを焦がした
〽姉さ天上見やれ夜が明けるそだ 天の川原が西東
〽ハー佐渡へ(アリャサ)
佐渡へと草木もなびくヨ(アリャアリャアリャサ)
佐渡はいよいか住みよいか(アリャサッサッサ)
〽佐渡へ 佐渡へと枯れ木を流す 流す枯れ木に花が咲く
〽来いと 言うたとて行かりょか佐渡へ 佐渡は四十九里波の上
〽波の 上でもおじゃるならおじゃれ 舟にゃ櫓もある櫂もある
〽雪の 新潟は吹雪で暮れる 佐渡は寝たかや灯が見えぬ
〽泣いて くれるな出船の際に 沖で櫓櫂が手につかぬ
〽おけさ 踊るなら板の間で踊れ 板の響きで三味ゃいらぬ
…おけさ節の代表格。村田文蔵をはじめとする名人の歌声がレコードで広まり全国的に大流行した。「おけさぞめき」「選鉱場おけさ」も共通にて省略する。
佐渡おけさ(勝太郎節)
〽ハー月の 出汐と約束したがヨ 月は早う出て森のかげ ハ アリャサ
〽島の 乙女の黒髪恋し 一度行きたい佐渡ヶ島
〽泣いて くれるな都が恋し 鳴くな八幡のほととぎす
〽異見 せられて差しうつむいて 泣いていながら主のこと
〽好いた お方に謎かけられて 解かざなるまい繻子の帯
〽泣いた 涙の乾かぬうちに またも泣かすか暁烏
〽離れ ばなれに咲いてはおれど 水に浮草 根はひとつ
〽おけさ 踊りについ夜が更けて 月も傾く佐渡の夏
…小唄勝太郎の十八番。自身のアレンジによる端唄風のおけさ節で、戦前に流行した。
佐渡おけさ(米若くずし)
〽ハー島の(アリャサ) 乙女の黒髪恋しヨ(ハ アリャアリャアリャサ)
「坊やはよい子だねんねしな 里の土産に
何貰うた(ハアリャアリャアリャサ)
〽徒し 徒波寄せては返す
「袖に松風 村時雨 島の娘が
船を待つ
〽おけさ 踊りについうかうかと
「月も踊るか佐渡ヶ島 おけさ踊りに
夜が更ける
〽佐渡へ 佐渡へと草木もなびく
「佐渡はいよいか住みよいか
唄で知られた佐渡が島
〽わしが 心は深山の紅葉
「ういの奥山 里遠く
秋が深まりゃ色を増す
〽雪の 新潟は吹雪に暮れて
「おけさくずしの音も冴えて
佐渡は寝たかや灯が見えぬ
〽五十 三里は踊りに更けて
「佐渡はよい島 情け島
月も一夜の宿を借る
〽真野の 入江は時雨に暮れて
「焦がれ待つ夜の磯千鳥
いつか浮名の波が立つ
〽波の四十九里 近そうに見えて
「私ゃ渚のつなぎ船
行くにゃ行かれず泣き明かす
新おけさ(歌謡調)
〽徒し波 寄せて返して岬は曇るヨ
逢えぬ辛さに日も曇るヨ(アリャアリャアリャサ)
〽流れ雲 せめて一夜は都の空へ わしが涙の雨と降れ
〽漁火の 燃ゆる思いに千鳥が鳴いて 主に逢瀬の夜が更ける
〽捨て小舟 櫓櫂なければ波風まかせ 佐渡と越後の間を行く
新おけさ(米若くずし)
〽奥山で ひとり米搗くあの水車ヨ
「誰を待つやらくるくると
回りつきせぬ 水車ヨ(アリャアリャアリャサ)
〽しちく竹 元は尺八 半ばは笛で
「末はそもじの筆の軸
思い参らせ 候かしこ
新潟おけさ
〽徒し 徒し徒波寄せては返すヨ
寄せて返して ヤーレー また寄せる
〽ままよ ままよ鹿島に神あるならば 逢わせ給いや 今一度
〽山で 山で蹴っ転がした松の木ゴロ太のようでも
妻と定まりゃ 辛抱する
…古町芸者による「おけさ節」、洗練された節回しの中に、頭3字の返しなど「ハイヤ節」の面影を残している。
はねおけさ(おけさアイヤ)
〽おけさアイヤーノ おけさおけさ今朝出たおけさヨ
今朝もおけさでヤーレ 目が覚めた
「裏の畑の莢豆は 一莢走ればみんな走る
私ゃお前さんにヤーレ ついて走る
〽おけさ 竹になりたや紫竹の竹に 元は尺八 中は笛
「末はそもじの筆の軸
思い参らせ 候かしこ
〽おけさ ありゃドンチャン揚屋の二階で おけさ踊りの 絶え間ない
…宴会のはね前に唄われた。魚沼方面のものが著名。
はねおけさ(塩沢)
〽おけさ ハーイヤ ハイヤ 踊るなら板の間で踊れヨ アリャサ アリャサ
板の響きで三味ゃいらぬ アリャサ アリャサ
〽おけさ踊るとて三味のバチ投げた 三味は鳴らぬが唄が出る著名。
浜おけさ(長岡おけさ)
〽押せやインヨー 押せや押せ押せ下関までもヨ(ハヨンヤサ)
押せば港がヤーレ 近くなる(ハヨイヨイヨイサ)
〽山で 山で伐る木はたくさんあれど 思い切る気は さらにない
「あらし畑の莢豆は ひと莢走れば皆走る
私ゃお前さんに ついて走る
出雲崎おけさ
〽おけさ踊りと磯打つ浪はノ(ハ ヨシタヨシタ ヨシタナ)
いつも心がソーレイ いそいそと(ハ ヨシタヨシタ ヨシタナ)
「越後 出雲崎 良寛様は 破れ衣に鉄鉢持ちて
子供集めて毎日日にち 手毬つくやらかくれんぼ
鬼にされてもその身は仏
仏心にソーレイ 鬼はない(ハ ヨシタヨシタヨシタナ)
〽今じゃ天下の良寛様も 昔ゃ行脚の 草枕
「鉢崎 柿崎 柏崎下へ下りて出雲崎 新潟の隣の松ヶ崎
松前鰊に佐渡わかめ
五十嵐ゃ干子は 砂だらけ
〽行こか柏崎帰ろか新潟 ここが思案の 出雲崎
「海の出雲崎ちょいと来て見やれ 春は鰯で大漁の浜よ
夏は小鯛で舌鼓 秋は秋鯖 嫁には内緒
冬は鱈の味噌汁 雪見酒
〽こぼれ松葉を手にかき寄せて 殿のご飯を 炊いて待つ
「下は下げて上は上だり 沖はおつけでへた嵐
あの船この谷へ入れたなら
定めし出雲問屋が 繁昌しょかね
…賑やかな節で、長囃子の末尾にて字の節の下句に返るところに特徴がある。
小木おけさ
〽ハー 小木の(アリャサ)
三崎の四所御所桜ヨ(アリャアリャアリャサ)
枝は越後へ葉は佐渡へ(アリャサッサッサ)
〽おけさ 正直なら側にも寝しょが おけさ猫の性でじゃれかかる
〽小木の 港も静かに暮れて とまり舟より立つ煙
…素朴な節回し。これが洗練されて現在の佐渡おけさになった由。
寺泊おけさ
〽厚司ヤー(ヨイヨイ)
エヤー縄帯腰には矢立ヨ(ハ ヨイヨイヨイヨイ)
伝馬通いがヤーレ 止めらりょか(ハ ヨイヨイヨイヨイ)
〽佐渡へ 八里のさざ波越えて 鐘が聞こゆる 寺泊
〽行こか 出雲崎 帰ろか新潟 ここが思案の 寺泊
「十七島田 しらはの娘 晒手拭ふわりとかぶり
寺の大門すたばた行けば 寺の和尚はそれ見るよりも
答えてやれぬ やれないけれども和尚の身なら
呼ぶに呼ばれず 手にゃ招かれず
崖の桜で 見るばかり
〽朝な 夕なの神信心を 一つぁ身のため 主のため
「オヤオヤ オヤオヤ 瓜瓜 茄子茄子 ヨウガの手
土手まま這い出す南瓜の手 垣根に絡みつく糸瓜の手
川から手を出す河童の手 寝ていて手を出す兄さの手
その手を引っ張る姉さの手 手と手と手
後は野となれ 山となれ
…三味線のスタッカート奏法「三枚撥」=撥を持つ右手の親指を少し外に出し、弾いた途端に親指で糸を押さえ響きをとめる。出雲崎おけさ同様、長囃子の末尾で地の節の下句に返る。
壁塗りおけさ
〽踊り見るとて葦で目を突いたヨ(アリャサ アリャサ)
葦は生葦 目に毒だ(アリャサ アリャサ)
〽取っちゃ投げ取っちゃ投げ枕はいらぬ 枕三十八みな投げた
〽三條の鍛冶屋が鍋づる飲んだ お前この酒なぜ飲まぬ
…十日町方面の伝承。
柏崎おけさ
〽吹けよ西風 上がれや日傘ヨ(アーリャ ヨイヨイヨイヨイ)
かわい殿さのヤーレ 顔見たや(ハ アリャサー ヨイサー)
「一反畑のさや豆が オヤ ひとさや走れば皆走る
私ゃあなたにヤーレ ついて走る(ハ アリャサー ヨイサー)
〽竹の小口にシコタンコタンとなみなみたっぷり 溜まりし水は
澄まず濁らず 出ず入らず
〽あだし徒波 寄せては返す 寄せて返して また寄せる
「鉢崎、柿崎、柏崎 下へ下がれば出雲崎
新潟おしもの松ヶ崎 松前にしんで佐渡わかめ
五十嵐ほしこで 砂だらけ
〽厚司縄帯 腰には矢立 伝馬櫂かく ほどのよさ
〽おさん何する 行灯のかげで かわい男の 文を読む
〽お前と添うなら 死んでもよいが 添うてみたれば 死にとない
三十おけさ(鹿瀬おけさ)
〽三十エー 三十五反の帆を巻き上げてヨ
沖をめがけて エー乗り出だす
「行くよだ来るよだ 足音するよだ
角田おけさ
〽おけさ おけさ見るとて橋からとんと落ちてヨ
おけさ見ないでヤーレ 哀れみた
「おけさの囃子は梁がなきゃ天井まで
地蔵堂おけさ
〽弥彦山から分水見ればヨ(ハ アリャヨイヨイヨイ)
今は盛りのヤーレ 桜花
〽金の地蔵堂で名高いとこは 越後蒲原 地蔵堂町
「日本で名高い信濃川 大河津分水東洋一
朝の嵐の狭の里 西行泣かした尼がいる
〽今日も地蔵堂で良寛さんが遊ぶ 子供相手に手まり唄
「国上山寺ほとりに住んで 墨の衣に菅笠かむり
歌や俳諧経読みまつり 五合もらえばまた遊ぶ
三条おけさ
〽姉さポンポン下駄鼻緒が切れた 兄さたってくりゃれ後生になる
〽盆だてがんね茄子の皮の雑炊だ
あまり盛り付けられて鼻のてっこを焦がした
〽姉さ天上見やれ夜が明けるそだ 天の川原が西東