「お座敷騒ぎ・上」 南地金龍
さあ皆さんご陽気に、サーエ
<二上り甚句>
○ハー 拙者此のところに推参つかまつるは 余の儀にござなく候えど
貴殿見たさにまかり越す オヤオヤそうですかいな ほんとにそうならすまないね
<ぼんち可愛や>
○ぼんちかわい ねんねしな 品川女郎衆は十匁
十匁の鉄砲玉 玉屋が川へすっぽんぽん
<ラッパ節山寺くずし>
○山寺の和尚さんは 鞠を蹴りたし鞠はなし
猫をちゃん袋へ放り込んで ポンと蹴りゃニャンと鳴く
ニャンと鳴きゃポンと蹴る ポポンがポンと蹴りゃ ニャニャンがニャンコロリと鳴くわいな
<わしほど因果な>
○わしほど因果なものはない 小さい頃から二親に 別れて苦労をするわいな
身は中山 石灯籠 身は中山 石灯籠 今宵はどなたが灯すやら
<ヤッチョロマカセ>
○一の谷越え 二の谷越えて オヤ ヤッチョロマカセのヨイヤマカセ
○踊り踊るなら しなよく踊れ オヤ ヤッチョロマカセのヨイヤマカセ
<チョンキナ>
○チョン脱げチョン脱げ チョンチョンチョン脱げ チョンが菜の葉でヨイヨイのホイ
○チョン脱げチョン脱げ チョンチョンチョン脱げ チョンが菜の葉でヨイヨイのホイ
あいこでホイ
「お座敷騒ぎ・下」 南地金龍
<捨てとけほっとけ>
○月が重なりゃおなかがふくれ どうしょうぞいな おなかが どうしょうぞいな
取り上げ婆でも呼んで来か さあ さあ 捨てとけほっとけ
○できたその子がお多福顔で どうしょうぞいな お多福 どうしょうぞいな
そこで長者の門口へ さあ さあ 捨てとけほっとけ
○捨てたその子が野蛮な??で どうしょうぞいな 野蛮な どうしょうぞいな
?????でも呼んで来か さあ さあ 捨てとけほっとけ
<よしこのくずし>
○粋な書生さんの???? こちゃ????…
ほんにお前さんは似合いもせぬのに 駒下駄ちょいとはいて??? オヤ
○粋な袴の???? わしゃ???? 通る
ほんにお前さんは似合いもせぬのに ????? 乙にすまして ねえあなた
<三階節>
○忘れた忘れた 寝忘れた 枕 枕の小屏風に朝日の差すまで寝忘れた
「紫節」 南地金龍
○紫の 袴ゆかしき姫君の みけしき桜 げにおもしろき花の山
上野 飛鳥山 向島 散れ散れ散るなら さっと散れ さっとね
チリツテシャン なんて間がいいんでしょ
○ハイカラの 姿やさしき二人づれ 行く先ゃいずこ げにのどかなる春景色
神社 仏閣 ひとめぐり 汽車乗れ ちょいと乗れ さっと乗れ さっとね
チリツテシャン なんて間がいいんでしょ
○今宵こそ 必ず来るとのこの手紙 今鳴る鐘は いりあい除夜の鐘々と
なぜにこんなに遅いのが ちょいと来な 来るならさっと来な さっとね
チリツテシャン なんて間がいいんでしょ
○弁慶は 山伏姿に身をやつし 行く先ゃ安宅 富樫の情けにつつがなく
勧進帳を読み上げて 行け行け 行くならさっと行け さっとね
チリツテシャン なんて間がいいんでしょ
○春の日に 和歌浦公園 散歩する 行く先ゃ公会堂 げにおもしろきケーブルカー
みなさんお上がり天狗山 乗れ乗れ 乗るならさっと乗れ さっとね
チリツテシャン なんて間がいいんでしょ
「万歳くずし」 南地金龍
○表の方より ちょこちょこ走りで 走り来る
エンエーン ソラ アイエンナ ソラソラソラ
○一つ目狂言は 義理と人情の 刀の傷
エンエーン ソラ アイエンナ ソラソラソラ
○いざり勝五郎 車に乗せて 引けよマタ 初花 箱根山
エンエーン ソラ アイエンナ ソラソラソラ
○忠臣蔵は五段目の猪は 山崎の アー
エンエーン ソラ アイエンナ ソラソラソラ
○竹に雀はしなよくとまる 止めてマタ とまらぬ色の道
エンエーン ソラ アイエンナ ソラソラソラ
○わしが鳥ならあの家の屋根に 焦がれマタ 鳴く声きかせたい
エンエーン ソラ アイエンナ ソラソラソラ
「名古屋甚句」 南地金龍
○トコドッコイドッコイショ アーヨー トコドッコイドッコイショ
今度この町にゃ風呂屋ができたエー トコドッコイドッコイショ
アー風呂屋の看板眺むれば 松竹梅と書いてある
これこれ風呂屋の三助さん 松竹梅とは何のこと
知らなきゃ三助教えましょか ぬるけりゃ私が竹であろ
熱けりゃ私が梅てやろ お客さんのないときゃヨーホホイ
松であろエ トコドッコイドッコイショ
○アーヨー トコドッコイドッコイショ
娘十七八ゃ嫁入り盛りエー トコドッコイドッコイショ
アー箪笥長持はさみ箱 これほど持たせてやるからにゃ
必ず戻ると思うなよ もうしかかさんそりゃ無理じゃ
西が曇れば雨とやら 東が曇れば風とやら
千石積んだ船でさえ 風が変わればヨーホホイ
出て戻るエ トコドッコイ ドッコイショ