新民謡「田染舞謡」 豊後高田市田染 ※「紅屋の娘」替唄
☆国東岬の名所とて サノ名所とて
 その名聞こえし田染郷 トコサイサイ田染郷
☆おっと田染に春が来りゃ 春が来りゃ 元宮神社の桜花 桜花
☆おっと田染に夏が来りゃ 夏が来りゃ 池部川原の夕涼み 夕涼み
☆おっと田染に秋が来りゃ 秋が来りゃ 月の間戸岩 屏風岩 屏風岩
☆おっと田染に冬が来りゃ 冬が来りゃ 西叡山の雪景色 雪景色
☆日毎々々に栄えゆく 栄えゆく 田染は詩の村 幸の村 幸の村

新民謡「朝来民謡」 安岐町朝来 ※「紅屋の娘」替唄
☆朝来は川茸 芹どころ サノ芹どころ
 娘の肌よい水どころ トサイサイ 水どころ
☆川霧ゃ三度立つ世界一 世界一 櫟山からお日がさす お日がさす
☆蛍は明治橋 恋どころ 恋どころ 若衆勇みの意気どころ 意気どころ
☆丸葉の月見に城山の 城山の 妻恋う棹鹿 鳴くところ 鳴くところ
☆夜霧に朝霧 夜明け霧 霧の海 朧の春なら朝霞 朝霞
☆夕焼け茜に両子山 両子山 芭蕉の宮なら つた紅葉 つた紅葉
☆弁分に久末に中の川 中の川 矢川 中野に上諸田 ヤレ小俣
☆朝来野公平の昔から 昔から 弁分の飛松にゃ鶴が来る 鶴が来る
☆ハエ飛ぶ安岐川漫々と 夏が来りゃ 朝来盆地はみな青田 みな青田
☆詣る護聖寺 玉林寺 西白寺 八坂の宮から神輿ゃ出る 神輿ゃ出る
☆男は意気だよ腕っ節 肝っ玉 女は情けの深緑 深緑
☆俺らの朝来だ盛り立てろ 盛り立てろ 私らの村だわ安穏に 安穏に

新民謡「亀川温泉の歌」 別府市亀川 ※「紅屋の娘」替唄
☆亀川温泉春が来りゃ サノ春が来りゃ
 浜田の砂湯や潮干狩り トサイサイ 潮干狩り
☆亀川温泉夏が来りゃ 夏が来りゃ ボートレースや釣り遊び 釣り遊び
☆亀川温泉秋が来りゃ 秋が来りゃ 滝湯の柴石亀陽泉 亀陽泉
☆亀川温泉冬が来りゃ 冬が来りゃ 血の池地獄や湯の煙 湯の煙
メモ:佐藤千夜子が唄って流行した「紅屋の娘」の替唄だが、節回しがやや変化している。戦前に愛唱されたが、唄われている名所のうち「浜田の砂湯」「潮干狩り」「ボートレース」が過去のものとなったこともあり、長らく忘れ去られていた。それを惜しむ声があり、平成24年に歌詞を一部改めて復元され、今後の普及が期待されている。

新民謡「野津原音頭」 野津原町 ※「紅屋の娘」替唄
☆東は胡麻鶴西は詰 サノ西は詰
 東西三里の野津原村 トサイサイ野津原村
☆殿様時代の野津原郷 野津原郷 お茶屋の跡や城の馬場 城の馬場
☆春秋賑わう宇曽山 宇曽山 霊験あらたな虫封じ 虫封じ
☆胃腸によく効く霊泉は 霊泉は 湧いて尽きない塚野の地 塚野の地
☆河鹿の声や蛍狩り 蛍狩り 流れも清き七瀬川 七瀬川
☆秋葉の山の空高く 空高く 勲を語る忠魂碑 忠魂碑
☆広さも富も人口も 人口も 郡内一の野津原村 自覚せよ
☆郷土を愛せよ村人よ 村人よ 家業に精出し勤しめよ 勤しめよ
メモ:10番まであった由。戦後の一時期には、青年団主導の盆踊りのときにも踊られていた。

新民謡「西野浦音頭」 蒲江町西野浦 ※「紅屋の娘」替唄
☆後ろにゃ仙崎 前にゃ海 サノ前にゃ海
 入江うるわし西野浦 トサイサイ 西野浦
☆天然自然の平和郷 平和郷 ここにいそしむ村人は 村人は
☆近く宮崎また対馬 また対馬 遠く南洋に雄飛する 雄飛する
☆進取の心や勤倹の 勤倹の 美風を培う我が郷土 我が郷土
☆気候温和に海凪ぎて 海凪ぎて 出船入船にぎわしや にぎわしや
☆とれど尽きせぬ海の幸 海の幸 みどり豊けし畠の幸 畠の幸
☆年毎に建つ家並みは 家並みは 村の栄えのしるしぞや しるしぞや
☆鎮守の森のうぶすなは うぶすなは 我らの永遠の守りなり 守りなり
☆自然のかたに生を受け 生を受け 神の訓えを鑑とし 鑑とし
☆いざや努めん人の道 人の道 いざや磨かん我が心 我が心

新民謡「上浦民謡」 上浦町 ※「紅屋の娘」替唄
☆後ろは彦岳 前は海 サノ前は海
 中に開けし東雲校 トサイサイ 東雲校
☆浦で名高い瀬会の浜 瀬会の浜 瀬会の神社に忠魂碑 忠魂碑

新民謡「米水津讃歌」 米水津村 ※「紅屋の娘」替唄 
☆キシメキ崎に鶴御崎 サノ鶴御崎
 米水津湾を抱きます トサイサイ 抱きます
☆かもめ夢見る波の上 波の上 金鱗銀鱗 魚とる舟 魚とる舟 
☆蚕飼いの妹のくたれ髪 くたれ髪 真玉白玉 まゆの玉 まゆの玉
☆浦代峠の山桜 山桜 松の緑に花の雲 花の雲
☆おっと米水津に秋が来りゃ 秋が来りゃ 嶺のオレンジ黄金色 黄金色
☆元越山の秋の月 秋の月 薄の原に鹿の声 鹿の声
☆浦曲に響く黄昏の 黄昏の 鐘に白帆が帰り来る 帰り来る
☆お国の栄え粟島の 粟島の 神に願かけ千代八千代 千代八千代

新民謡「土師音頭」 大野町土師 ※「紅屋の娘」替唄
☆障子ン岳や雲ヶ背の サノ雲ヶ背の 麓をめぐる村里は トサイサイ 村里は
☆春は桜の花曇り 花曇り 長尾の峰に霞み立ち 霞み立ち
☆夏は川辺の蛍狩り 蛍狩り 川面に浮かぶ月の影 月の影
☆秋は紅葉の唐錦 唐錦 柴北川に照り映える 照り映える
☆冬は山峰白妙の 白妙の 解けて流るるたずく川 たずく川

新民謡「真坂音頭」 三光村真坂地区 ※「東京音頭」替唄
☆ハー 真坂よいとこ チョイト 羅漢のそばよ(ヨイヨイ)
 耶馬の清流 耶馬の清流あおあおと
 サテ(ヤートナーソレヨイヨイヨイ ヤートナーソレヨイヨイヨイ)
☆山は緑よ川瀬が響きゃ 飛んで行きたい 飛んで行きたい鮎帰り
☆春は菜種よ蚕のさかり 娘蝶々で 娘蝶々で飛び回る
☆涼みがてらに真坂においで 真坂踊りは 真坂踊りは花じゃもの
☆盆の十六日 踊りを踊りゃ 月は箭山の 月は箭山の屋根の上
☆北は中津よ南は耶馬よ 音頭とる子は 音頭とる子は真ん中に
☆竹があるなら真坂にゃ送れ 佐知の細工は 佐知の細工は日本一
メモ:東京音頭は県内でもかなり流行したようだ。かつては供養踊りの余興として、伝承の盆口説と並んで杵築市や別府市などでもよく踊られていたとのこと。

新民謡「鶴居音頭」 中津市鶴居 ※「上州小唄」替唄
☆自治の巣立ちは宮殿までも 村名とどろく鶴の声
 鶴居七支部北斗のごとく さとす七星七光 アライエサカサカエ
☆驕り怒りは身をやく炎 消えて儚き長者跡
 耶馬は山陽 山陽は雲華 ゆかり古城の正行寺
☆二千余年の法華寺の鐘は 山の桜が咲いて散る
 松尾初夏さみどり越しに 飾る流鏑馬 騎手姿
☆昔温泉の湯屋ちょうしるし 湯気のかたちの葱がある
 これもその名を瑞泉寺の墓は 香の煙の絶え間ない
☆春は鶴市 地頭の桜 幹は朽ちても名は朽ちぬ
 水をたたえた大井出堰は 神のさながら鏡池
☆三口流れて群れ飛ぶ蛍 神幸あかしの真似をする
 もとは河原だ真田と稔り 小麦七石名も高い
☆金時人参束ねて積めば 昔龍王の犠牲の形
 官幣御渡御の宮瀬の秋は 白衣与丁の水の鳥
☆音も高瀬の水さえ落ちて 鮎も瀬張りに苦労する
 豊前市場の栄えはいつか 金に縁ある賃わたし
メモ:供養踊りや鶴市花傘鉾祭りなどの際に盛んに唄い踊られている。

新民謡「長洲小唄」 宇佐市長洲 ※「三朝小唄」替唄
☆川は駅水 サイショ 長洲町 ヨイトヨイトサノサ 浮名
 一人ゃ寝しゃせぬヨ ヤレ 寝しゃせぬヨ いなしゃせぬヨ
☆泣いて別れりゃ 空まで 曇る 曇りゃ城ヶ峰 城ヶ峰 雨となる
☆長洲よいとこ 初かえ お好き 出船入船 魚が 山と積む
☆御許山から 眺むれば 見える 松が鼻には 姫小松 周防灘
☆鼻を下りて 潮干狩 愉快 あさり見られぬ 戻られぬ 河豚のちり
☆夏の涼みは 小松橋 二人 思い出されて 恋しゅて どんならぬ
 ※どんならぬ=どうしょうもない
メモ:元唄の「三朝小唄」の字脚は77・75なのに、返しに違う文句をあてて77・7・35となっていて自由奔放な感じがする。戦前、長洲一円で広く唄われた由。
<参考> 三朝小唄
☆泣いて別れりゃ サイショ 三朝がエ ヨイトヨイトサノサ 曇る
 曇りゃ三朝がヨ ヤレ三朝がヨ 雨となるヨ

新民謡「三浦音頭」 香々地町三浦 ※「青い芒」替唄
☆尾牟礼おろしに宮川下りゃ 小畑・堅来に
 小畑・堅来に羽根・小池 見たか聞いたか三浦村
☆三浦よいとこ すみよいところ 人の情けも
 人の情けも知るところ 見たか聞いたか三浦村
☆それにあなたは素通りなさる 二度とこの地へ
 二度とこの地へ来ぬ気かえ 見たか聞いたか三浦村
☆春じゃ堅来じゃ粟島様よ 桃の花見て
 桃の花して潮干狩り 見たか聞いたか三浦村
☆夏は松津の地蔵さんで踊りゃ 袖がもつれて
 袖がもつれて夜も更ける 見たか聞いたか三浦村
☆秋じゃ小畑じゃお稲荷さんよ 松にしぐれて
 松にしぐれて燃ゆる蔦 見たか聞いたか三浦村
☆小池浜辺は夕焼け小焼け 沖のます網
 沖のます網おどる鯛 見たか聞いたか三浦村
☆羽根の港に出入りの船は 柿や唐芋の
 柿や唐芋の宝船 見たか聞いたか三浦村
☆藤と桜の八幡様や 今年ゃ豊年
 今年ゃ豊年かけ芝居 見たか聞いたか三浦村
☆村にすぎたはモダンな学校 それに御影の
 それに御影のいましょ橋 見たか聞いたか三浦村
☆三浦よいとこ すみよいところ お寺お寺にゃ
 お寺お寺にゃ鐘が鳴る 見たか聞いたか三浦村
メモ:佐藤千夜子の唄った新民謡「青い芒」が元唄だが、「三浦音頭」とは歌詞の長さが合わない。どういうことかというと、元唄(下記参照)の「青い芒に蛍の虫は、夜の細道、夜の細道通うてくる」の部分のみを利用しているのである。そして、元唄の間奏部分の節を使って「見たか聞いたか三浦村」と唄っている。「青い芒」の唄は今でもそれなりに知られてはいるが、もはや、知らない人の方が多くなっている。そのため「三浦音頭」を覚えている地元の人でも、「青い芒」の替え唄だということはだんだん、忘れられてきているかもしれない。三浦音頭の文句は、旧三浦村の景物をこれでもかと唄いこんでいる。村内の小畑・堅来・羽根・小池の4つの大字をほぼ均等に唄っている点など、中心部に偏らないように配慮して作詞されているようだ。「柿や唐芋の宝船」とか「モダンな学校」など素朴で田舎風の文句が微笑ましい。きっと旧三浦村の時代には盛んに唄われたのだろう。
<参考> 青い芒
☆青い芒に蛍の虫は 夜の細道 夜の細道 通うてくる(合)
 細い芒の姿がかわいネ かわい姿にこがれた蛍ネ(合)
 夏の短い夜は明けやすい 夜明け頃まで 夜明け頃まで通うてくる

新民謡「来浦小唄」 国東町来浦 ※「龍峡小唄」替唄
☆アー 沖の島から夜が明け初めて ここは来浦
 町に平和の風が吹くヨ ハヨイトヨイトヨイトサノ ヤレコノセ
☆両子・文珠に夕日が落ちて 町も夕霧 沖の島陰 灯が見える
☆沖にちらほら灯影が見える 漁りする灯か さては灯台 島の灯か
☆金比羅鼻から瀬戸内見れば 島は薄墨 通う白帆に 白帆に浮く
☆来浦川辺に飛び交う蛍 道の小草も 闇に黄金の花が咲く
☆水が届けた深山の紅葉 秋の深さを 告げに来浦 来の浜
☆来浦よいとこ稲穂は黄金 繭は白金 お国自慢の青莚
☆冬が来たぞえ来浦町に 来浦富士も 雪の薄化粧 あで姿
☆嶺の淡雪あとなく解けて 春の風吹きゃ 金比羅岬に花が咲く
☆鎮守大杉 八坂の宮と 古城 城址 これが名物見てござれ

新民謡「尾崎の石風呂」 緒方町小宛 ※「久住高原の唄」替唄
☆行きは高原眺めもよくて 風呂は谷間で花が咲く 花が咲く
☆尾崎石風呂むかしを偲ぶ 国で名高い風呂ですよ 風呂ですよ
☆風呂に入れば疲れも忘れ 腰は伸びます気も晴れる 気も晴れる
メモ:尾崎の石風呂の保存に尽力された三宮君男さんによる替唄。チョイナ節で唄う別の文句もある。

新民謡「蒲戸音頭」 上浦町蒲戸
☆蒲戸よいとこ綱引くところ ソリャ 引くところ
 不景気知らずのよいところ ソジャソジャ よいところ
☆大浜 納ヶ内 蒲戸 福泊 網代めぐり
 海からお金が湧いて出る 湧いて出る
☆海と空とが霞みに煙り 霞に煙り
 潤む灯台ありゃ水の子よ 水の子よ
☆波が高うても南風吹く日でも 南風吹く日でも
 蒲戸男の子にゃ鉄の腕 鉄の腕
☆男浪女浪は魚族を乗せて 魚族を乗せて
 太平洋から寄せてくる 無尽蔵
☆ハンマ発破の音にぎわしく 石山は
 納ヶ内 背平 三ツ石 塩屋浦
☆義理も人情も知らない人は 知らない人は
 蒲戸気質に来て染まれ 来て染まれ
☆夏が嫌なら蒲戸にござれ 皆おいで
 涼み万国 夏知らず 夏知らず
☆米がないなど思し召さるな 思し召さるな
 九十九浦の筆頭よ 田の広さ
☆白砂青松 見事な校地 その運動場は
 日本一だよ最勝海校 日本一

新民謡「土師小唄」 大野町土師
☆土師はよいとこ 住みよいところ ソリャ よいところ
 住むに心地のよいところ ソリャソリャ よいところ
☆土師はよいとこ 炭焼くところ 焼くところ
 山の小枝に金がなる 金がなる
☆花が見たけりゃ 土師までおいで 皆おいで
 土師にゃ人情の花が咲く 花が咲く